【FIBAアジア杯2025】日本✕シリアの試合レビュー

8/5から開幕したFIBAアジア杯2025。日本の初戦となった8/6のシリア戦をレビューしていきましょう。

尚、筆者のリアルタイム観戦は第2Q:残り8分~第4Q:残り8分程度の約20分のみで、それ以外はハイライトでの観戦です。
※2児の父親で21時には寝かしつけやってるから仕方ないね。

スタッツデータ

まずはスタッツを振り返ってみましょう。

Qスコア

©FIBA※画像がリンクしています。

基本スタッツ

日本
(FIBAランク:21位)
シリア
(FIBAランク:71位)
99PT68
38/72
52.8%
FG27/62
43.5%
24/40
60.0%
2P24/51
47.1%
14/32
43.8%
3P3/11
27.3%
11/16
68.8%
FT11/18
61.1%
41REB35
11OREB8
30DREB27
22AST15
10TO15
9STL4
4BLK0
18F18

詳細スタッツ

日本シリア
25Points Off Turnover14
12Fast Break Points18
62nd Chance Points9
46Points in the Paint44
29Bench Points30

アドバンスドスタッツ

日本シリア
77.87ポゼッション数76.32
試合のペース:77.09
127.14Offensive Rate89.10
89.10Defensive Rate127.14
62.6%TS%48.6%
62.5%eFG%46.0%
1.67POTE1.40
0.552nd Chance Efficacy1.13
53.9%REB%46.1%
28.9%OREB%21.1%
78.9%DREB%71.1%
57.9%AST%55.6%
12.8%TO%19.7%
1.27PPP0.89
0.22FTR0.29

戦評

ここからは個人的な戦評を語っていきます。

試合の前半は「ホーバスJAPAN最低レベル」?

冒頭にもお伝えしたように、リアルタイムでは途中観戦・途中離脱の中途半端な観戦になってしまいましたが、その前提の上でも言えることは、「前半(特に第2Q)だけ見ると、過去のホーバスJAPANでは最低レベルの試合」だったと言えます。

スタッツだけでは見えてこない部分ではありますが、前半はシュートを打ってもリムにクルクルっと回って弾かれてしまう、プレーヤーにとってはストレスを感じるシュートミスが多く、その影響もあって重たい展開になってしまったのは擁護しても良い部分かも知れません。

第2Q大失速

第2Qはとにかく流れを引き寄せるどころか、立ち切ることすらままなりませんでした。
昨今の日本バスケファン界隈では、八村塁選手のJBA・ホーバスHCに対する批判的発言から「ホーバス否定派」が声を大きくしていますが、誤解を恐れずに言うと、筆者は「非・ホーバス否定派」です(擁護派ではなく、あくまで中立)。それを度外視しても、今回の前半の戦いは否定派の声を大きくするものだったように思います。

その根拠として、第2Q開始から残り6:54の約3分間で3-14のスコアリング・ランをかまされたこと。途中、残り7:28でタイムアウトを取りましたが、その直後のディフェンスでも相手に3Pを沈められている辺り、アジャストメント出来ていたとは言えませんでした。

謎采配…(悲)

また、Xでは他の観戦勢も訴えていたことですが、テーブス海選手を引っ張り過ぎていたこと。2nd PGの富樫勇樹選手が合流間もないことや怪我明けであること、また、事実として直前の強化試合では若手主体のチームをテーブス選手が牽引していたことを考慮しての采配だと理解は出来ます。

しかし、このランの間にテーブス選手が2TOを喫し、そのいずれも失点に繋がっていました。ディフェンスの修正が必要だったのは明らかでした。
なのに、何故、そのランの最中に吉井裕鷹選手を引っ込めて川真田紘也選手を投入したのか?富樫選手のことを配慮したなら、ハーパーJr選手をワンポイントでもテーブス選手と交代させても良かったのではないか?

もちろん、これらは素人目線に過ぎず、トップチームの視点では、1試合・4Q・40分の中全体を俯瞰している(はず)だから、ベンチにもそれなりの思惑があったのはそうでしょう。

ただ、それでも、今大会優勝を目指す上で避けて通れないであろうオーストラリア・中国・イラン・韓国などの強豪チームに今日のような試合をしていたら中々厳しいと思います。次のイラン戦でどのように修正してくるか、ベンチワークにも注目したいです。

スタッツを振り返っていくと、ハーパーJr選手以外の11人の選手が得点を記録。そのハーパーJr選手も1:53の短い出場時間ながら3ASTと結果を残しました。以前、Xでもポストしましたが、現ロスターの中では、予選Windowでグアム戦に出場してから試合の度にPGとして成長している選手だと思うので、もっと出場機会を与えて欲しいところです。

後半の巻き返しと理想的なオフェンススタッツ

前半こそシュート効率に苦しんだものの、最終的なOF Rate:127.14、TS%:62.6%、eFG%:62.5%が示すように後半圧倒的な巻き返しでシリアの集中力を奪っていきました。

3P%は富樫選手の3/5、吉井選手の3/3を筆頭に、最終的には43.8%という優秀な結果に。
よくこのデータを提示されると「3Pが上振れたから勝てた」と、あたかも「運が良かった」という解釈をする人がいますが、少なくともこの試合に関しては違うと思います。
というのも、FGAの内、2Pと3Pが占める割合である%FGAは55.6%:44.4%、総得点の内、2Pと3Pが占める割合が48.5%:42.4%とホーバスJAPANにとっては理想形とも言えるデータになりました。序盤、無理打ちの場面も少なくなかったので、ケチの付け所はありますが、賞賛すべきデータだと個人的には思います。

流れを変えた大エース「俺たちの吉井裕鷹」

この試合、最も貢献度が高かったのはETF:38・+/-:26のジョシュ・ホーキンソン選手ですが、勝利に導いたのは間違いなく吉井選手でしょう。

ハーフタイム中にロッカールームで色々とコミュニケーションがあったのでしょう。それをリーダー自ら体現するかのように、第3Q残り9:21の3Pシュートを皮切りに、残り8:38までの1分に満たない間に8得点を記録し、一気に1点差まで詰め寄りました。

シリアがタイムアウトを取った直後も吉井選手はSTL・Fドローンを記録。その直後には吉井選手のアシストにより、ホーキンソン選手の得点を演出するなど、この時間帯、紛れもなく吉井選手が試合を支配していました。

試合を通しての課題としては、リバウンドの部分。OREB・DREBと上回ってはいますが、その質の部分に課題が残ります。

新指標「2nd Chance Efficacy」から見える課題

今回、新たに採用している独自指標に「2nd Chance Efficacy」という指標を追加しました。
独自指標なので簡単に説明すると、【OREB1本あたりの2nd Chance Pointsの期待値】ということにしています(計算式:2nd Chance Points/OREB)。

日本よりシリアの方が高く長いフィジカルをしている影響は多分にありますが、この2nd Chance Efficacyが1.13と期待値が1.00以上を超えています。次戦は長身選手が揃うイラン、次々戦は屈強なフィジカルを誇る、予選Windowでも苦戦したグアムなので、この数字を減らすことが重要になってくるでしょう。

また、30点以上点差を離していても、Fast Break Pointsが上回られているも課題です。次戦のイラン戦では今日以上に相手にOREBを確保されてしまう可能性が高いので、余分なTOは防いでいきたい所です。逆にディフェンスの意識を強く持って、Points Off Turnoverのスコアを伸ばして戦っていってほしいですね。

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