第1節|アルバルク東京✕宇都宮ブレックスの試合レビュー

試合レビュー

2025/10/3、いよいよBリーグ10年目のシーズンが開幕しました。今回は推しではないですが、開幕戦ということで、アルバルク東京と宇都宮ブレックスの試合をレビューしていきます。

戦前データ

この日開幕したばかりなので、データというものはありませんが、現在のロスターから読み取っていきましょう。

A東京

A東京では以下の5選手が新加入となりました。

  • ブランドン・デイヴィス:C
  • 中村浩陸ひろむ:PG/SG
  • マーカス・フォスター:SG
  • スティーブ・ザック:C
  • アイラ・ブラウン:SF/PF

特に注目を集めているのは、SGのマーカス・フォスター選手。同選手は昨シーズン、イスラエルのチームに所属し、3Pシューターとしてユーロカップ優勝に大きく貢献した選手です。

ただ、懸念されるのはシーズン開幕から司令塔のテーブス海選手、コアメンバーのライアン・ロシター選手が離脱しているところ。両選手とも、A東京のアイコンとなるような選手なので、その影響がどの程度開幕序盤で出てしまうのか気になります。

恐らくですが、アイラ・ブラウン選手は同じ帰化枠であるロシター選手の緊急穴埋め契約という感じのような気がします。

このような状況にあるため、誰がチームのメインハンドラーになってゲームをコントロールするのかがA東京としては重要になってきそうです。

宇都宮ブレックス

対する昨シーズンB1優勝チームである宇都宮ブレックスは、青木ブレイク選手(PF)が新加入した以外は昨シーズンと全く変わっていません。

「優勝メンバーが変わらず残るなら、そりゃ強いでしょ」って感じです。ロスターの高齢化が進んでおり、中堅選手がほとんどいなかったので、昨シーズンも戦い抜けるのか疑問でしたが、全く問題にならなかった結果でしたね。

そんな宇都宮のロスターを振り返ると、エースは昨シーズンMVPのDJ・ニュービル選手はもちろんですが、宇都宮の強みは「2ndスコアラー」と言える選手が比江島慎選手、ギャビン・エドワーズ選手、グラント・ジェレット選手、アイザック・フォトゥ選手と4人もいることがメチャクチャ強力。
いずれの選手が一時的な不調でも、別の選手が2ndスコアラーとしてニュービル選手の負担を減らしてくれるので、ニュービル選手も自身のプレーに幅が出てきます。

試合データ

各チームを振り返ったところで、それではこの試合のデータも振り返っていきましょう。

尚、今シーズンからデータ内容を増やし、より詳細な分析が出来るように試みています。

基本スタッツ

A東京宇都宮ブレックス
56PT81
21/66
31.8%
FG29/68
42.6%
15/39
38.5%
2P19/31
61.3%
6/27
22.2%
3P10/37
27.0%
8/17
47.1%
FT13/19
68.4%
39REB50
13OREB15
26DREB35
16AST21
9TO13
5STL4
1BLK3
20F21

詳細スタッツ

A東京宇都宮ブレックス
71.4%%FGM2P65.5%
28.6%%FGM3P34.5%
59.1%%FGA2P45.6%
40.9%%FGA3P54.4%
53.6%%PT2P46.9%
32.1%%PT3P37.0%
14.3%%PTFT16.0%
11Points Off TO17
2Fast Break Points12
92nd Chance Points22
26Paint In the Points34
28Bench Points25
1/5
(2)
After TO Results
(Points)
0/2
(1)

アドバンスドスタッツ

A東京宇都宮ブレックス
69.48ポゼッション数74.36
試合のペース:71.92
80.60Offensive Rate108.93
108.93Defensive Rate80.60
38.1%TS%53.0%
36.4%eFG%50.0%
0.85POT Efficasy1.89
0.692nd Chance Efficasy1.47
43.8%REB%56.2%
27.1%OREB%36.6%
63.4%DREB%72.9%
76.2%AST%72.4%
10.9%TOV%14.5%
0.81PPP1.09
0.33After TO PPP0.50
0.26FTR0.28

戦評

シュート効率の差が勝敗に直結

試合を通して最も際立ったのが両チームのシュート効率。3P%こそ、宇都宮も27.0%と苦しんだものの、TS%がA東京が38.1%に対し宇都宮は53.0%、eFG%がA東京36.4%に対し宇都宮が50.0%と、2PやFTによる得点効率の高さが勝敗を分けた印象です。

A東京は2PFG%が38.5%と、決定力不足が顕著でした。P.I.Ptsが26得点なので、ミッドレンジの得点が計算上、僅か4得点。%FGA2Pが59%と考えると、やはり物足りない結果になりました。

ターンオーバーとトランジションの攻防

TOはA東京が9本、宇都宮が13本とA東京が優勢に立ちましたが、P.O.Tをみると、A東京が11得点、宇都宮が17得点と大勢は逆転。P.O.T Efficasyを見ても、A東京は僅か0.85に対し、宇都宮は1.89でした。

これから読み取れることは実にシンプルですが、両チームのTO後のディフェンスが明暗を分けたと言えるでしょう。

加えて、Fast Break PointsがA東京:2得点-宇都宮:12得点と大きく差が出ました。
元々、A東京はスローテンポでの試合を展開することが昨シーズンも多かったですが、やはりメインハンドラーとなるテーブス選手、オフェンスのHub(中継点)となるロシター選手の不在が影響し、本来の持ち味であるデザインオフェンスが難しい状況でした。だから、このトランジションの攻防で差が大きく出てしまったのは、中々痛かったです。

リバウンド争いとセカンドチャンス

REB面では宇都宮が明確に優位示しました。総REB数はA東京39に対し宇都宮50と圧倒。特にDREBで宇都宮は35本を奪い、A東京2nd Chance Pointsを制限しています。

また、その2nd Chance Pointsについても、OREB1本あたりの効率から見ると、宇都宮は15本のOREBに対し22得点と、2nd Pts Efficasyでも1.47と高水準でした。REB%も56.2%と圧倒しています。

なお、この試合で最もREBを獲得したのがDJ・ニュービル選手の12REB。ASTでも8本記録し、開幕戦でいきなりトリプルダブルを記録しようかという凄まじいパフォーマンスでした。正に、「リバウンドを制する者は試合を制す」って感じですね。

新たに始めたAfter Time Outの分析

今回からの新たな取り組みとして、After Time Out(ATO)、要するに【タイムアウト後の分析】を始めました。コーチ陣によるアジャストメント能力や、チームとしての遂行力をスクリーニング的に評価するための指標になります。

この試合、オフィシャルタイムアウトも含めて6回のタイムアウトが発生。A東京はケガ人も出て、終始流れが悪かったために自チームのタイムアウトも4回申請しました。しかし、ATOの得点効率を示すATO.PPPは0.33に留まり、ほとんど成果が得られませんでした。

ベンチポイントは宇都宮を上回り、安藤周人選手がベンチからチームハイの16得点を挙げましたが、繰り返しになるものの、テーブス・ロシター両選手の欠場もあってか、TO後のデザインオフェンスが上手く機能しなかった印象を受けます。

まとめ

大差の試合になったことで、あまり今後の参考にならなそうです。
そういう意味では、A東京はしっかり切り替えられる試合かと思います。アリーナのこけら落としとなったこの試合での結果としては苦しいですが、テーブス選手・ロシター選手が戻ってくるまでは辛抱のシーズンになりそうです。

宇都宮は相変わらずの強さを見せつけましたね。今シーズンもこのチームは常に追われる立場で戦っていく、王者としての振る舞いが求められそうです。

今回からATOの分析を始めましたが、今後、もっと色々なデータ収集を考えているので、どうぞお楽しみください。今シーズンもよろしくお願いします!

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