2025/10/11~10/12で開催された、茨城ロボッツ@群馬クレインサンダーズの試合をレビューしていきましょう。
戦前データ
まだ1節のみですが、両チーム試合をこなしているので、前節を振り返りつつチームの戦力を見て行きましょう。
茨城ロボッツ


昨シーズンを通じて茨城のことを取り上げるのは当サイトでは初めてですね。ロスターを見ると、昨シーズンから着実な強化を果たしているようです。今季加入した選手は以下の3選手。
- 小島元基:PG。サンロッカーズ渋谷から移籍。
- タイラー・クック:C。トルコリーグから移籍。アイオワ州立大学からドラフト外でNBAキャリアをスタートした経歴あり。3シーズン・65試合出場。
- ヤン・ジェミン:SF。アジア特別枠。仙台96ersから移籍。
まず、小島選手は中堅PGとしてのリーダーシップを期待されています。PGのオーバーラップがチームとして気になりますが、全員で競争させてその内の誰かを来シーズンの【B革新】に残していくか考えているのでしょうか?
また、小島選手自身も昨シーズンは所属チームに同ポジションにアンソニー・クレモンズ選手(今シーズンは越谷に移籍)、ベンドラメ礼生選手がおり、満足にプレータイムを与えられなかったので、出場機会を望んでいるハングリー精神もありそうです。
タイラー・クック選手はあまり情報が無いですが、28歳のビッグマン。206cm・113kgの体躯で、開幕戦の仙台戦では20得点に加えFG:9/9と完璧なスタートを切りました。
ちょっと理由は調査不足ですが、群馬との試合には2試合とも出れなかったので、どのようなプレーを見せるのか興味がありますね。
ヤン・ジェミン選手については一言で表現が可能で、最大の特徴は【ハッスル・プレイヤー】。プレースタイルは全く違いますが、こなしている役割はトロント・ラプターズ時代の渡邊雄太選手のような立ち回りの選手。
1試合目のレビューでも後述しますが、今、その瞬間、チームに足りない所を全力で補ってくれる、どのチームにも1人は欲しい、そんな選手ですね。
群馬クレインサンダーズ


前節で三河と星を分けた群馬。特にゾーンDFへのアジャストが上手く行かずに2戦目を落として、あまり良い状態で開幕節を終えたとは言えない状況で今節の茨城戦に臨みます。
特に今節第1戦目はケリー・ブラックシアーJr選手が規約違反で欠場となったので苦しい試合になりましたね。彼がいるかいないかで結構チームのリズムが異なってしまうことが良く分かる今節だったと思います。
10/11の試合データ
各チームを振り返ったところで、それでは今節の試合のデータを振り返っていきましょう。
尚、今シーズンからデータ内容を増やし、より詳細な分析が出来るように試みていますが、群馬の試合ではショットシチュエーションにも注目して分析していきます。
ただ、大変申し訳ないですが、10/4単体のショットシチュエーションデータを保存していなかったので、こちらの項ではXに投稿した内容のみの記載になります。
※ショットシチュエーションについて
基本スタッツ(10/11)
茨城ロボッツ | 群馬クレインサンダーズ | |
85 | PT | 79 |
35/73 47.9% | FG | 28/75 37.3% |
25/49 51.0% | 2P | 11/28 39.3% |
10/24 41.7% | 3P | 17/47 36.2% |
5/9 55.6% | FT | 6/7 85.7% |
45 | REB | 41 |
16 | OREB | 17 |
29 | DREB | 24 |
29 | AST | 25 |
17 | TOV | 17 |
12 | STL | 8 |
1 | BLK | 6 |
17 | F | 17 |
詳細スタッツ
茨城ロボッツ | 群馬クレインサンダーズ | |
71.4% | %FGM2P | 39.3% |
28.6% | %FGM3P | 60.7% |
67.1% | %FGA2P | 37.3% |
32.9% | %FGA3P | 62.7% |
58.8% | %PT2P | 27.8% |
35.3% | %PT3P | 64.6% |
5.9% | %PTFT | 7.6% |
23 | Points Off TOV | 23 |
15 | Fast Break Points | 7 |
10 | 2nd Chance Points | 12 |
46 | Paint In the Points | 20 |
49 | Bench Points | 23 |
3/4 (7) | After TO Results (Points) | 4/7 (10) |
-3 | After TO +/- | 3 |
アドバンスドスタッツ
茨城ロボッツ | 群馬クレインサンダーズ | |
77.96 | ポゼッション数 | 78.08 |
試合のペース:78.02 | ||
109.03 | Offensive Rate | 101.18 |
101.18 | Defensive Rate | 109.03 |
55.2% | TS% | 50.6% |
54.8% | eFG% | 48.7% |
1.35 | POT Efficasy | 1.35 |
0.63 | 2nd Chance Efficasy | 0.71 |
52.3% | REB% | 47.7% |
40.0% | OREB% | 37.0% |
63.0% | DREB% | 60.0% |
82.9% | AST% | 89.3% |
18.1% | TOV% | 17.9% |
1.09 | PPP | 1.01 |
1.75 | After TO PPP | 1.43 |
0.12 | FTR | 0.09 |
戦評
茨城・駒沢颯選手のキャリアハイ!28得点、3P:6/9
この試合を語る上で避けて通れないのが駒沢選手のキャリアハイの話題。この試合、ベンチスタートながら序盤からオンファイアで、第1Qにはトップの深い位置からブザービーターで3Pを決めるなど大活躍でした。
2P:3Pも均一でFGA・FGMともに五分五分。ハンドリングするとTOVが5本と嵩みましたが、ムービングシューターとしてコート上を動き回り、他の選手との連動も上手くかみ合って、群馬のDFが駒沢選手を見失うことが多かったです。そういった中でMoving3Pが3/3だったのは脅威でした(尚、Catch & Shootも3/4)。
やはり効果的だった対群馬のゾーンDF
明らかに前節の三河戦を観ていたであろう、茨城のDF。それがかなりハマりました。
試合を通して%FG2PがMade・Attemptいずれも40%を切りました(%FG2PA:39.3%、%FG2PM:37.3%)。ゾーンDFを崩す場合、インサイドでの得点が重要になりますが、完全に攻めあぐねていました。
この試合、前述したようにブラックシアーJr選手がリーグ懲罰の対象で出場停止。ビッグマンがAJ・エドゥ選手のみ(ヨハネス・ティーマン選手は個人的にはウイングの選手)で、ペリメーターからのクリエイト能力の低さがかなりOFの足を引っ張りました。せめてペイントエリアでのフローターが上手くなってくれると、かなり打開出来たと思うんですが…。
バックコート陣もインサイドでの得点が重要だという意識が強過ぎて、3Pのショットセレクションが前半、かなり酷かったです。試合を通してWide-Openな3Pシチュエーションでは6/6ではありましたが、試合を観ていた体感はAttemptが3~4本増えていてもおかしくない試合でした。
適正なショットチャンスを逃して、最後にタフショットを落としてトランジションを奪われる。ゾーンDFに翻弄される典型的な悪パターンになってしまいました。
重要だった茨城のスモールラインナップの時間帯
第4Q開始から残り7:19までの2分41秒間、茨城は小島・駒沢・ヤン・陣岡・中村という4ガードという駒沢選手・陣岡選手が188cmというビッグガードながら、ラインナップの平均身長が188cm、ビッグマン役のヤン選手が201cmという超スモールラインナップを敷いていました。
これは第3Qに群馬が追い上げたことにより、エリック・ジェイコブセン選手がクラッチタイムに万全に戦えるようにした布陣でしたが、ハンドオフを積極的に繰り出し、機動力を生かしてOF・DFともに奮闘。群馬がトレイ・ジョーンズ選手・エドゥ選手・ティーマン選手というビッグラインナップで対応している中、この時間帯リードを取っていたのは茨城でした(6-5)。
また、この時間帯奮闘したのが茨城:ヤン選手。上記のビッグラインナップに対して真っ向からインサイドで戦い、DREB:1本、P.I.Pts:2得点を記録。しっかりジェイコブセン選手に繋ぎました。
10/12の試合データ
基本スタッツ
茨城ロボッツ | 群馬クレインサンダーズ | |
56 | PT | 76 |
23/58 39.7% | FG | 31/75 41.3% |
16/34 47.1% | 2P | 20/38 52.6% |
7/24 29.2% | 3P | 11/37 29.7% |
3/8 37.5% | FT | 3/7 42.9% |
35 | REB | 47 |
12 | OREB | 22 |
23 | DREB | 25 |
19 | AST | 23 |
20 | TOV | 15 |
5 | STL | 11 |
1 | BLK | 4 |
15 | F | 13 |
詳細スタッツ
茨城ロボッツ | 群馬クレインサンダーズ | |
69.6% | %FGM2P | 64.5% |
30.4% | %FGM3P | 35.5% |
58.6% | %FGA2P | 50.7% |
41.4% | %FGA3P | 49.3% |
57.1% | %PT2P | 52.6% |
37.5% | %PT3P | 43.4% |
5.4% | %PTFT | 3.9% |
14 | Points Off TOV | 19 |
5 | Fast Break Points | 17 |
7 | 2nd Chance Points | 23 |
30 | Paint In the Points | 36 |
22 | Bench Points | 32 |
2/5 (3) | After TO Results (Points) | 0/1 (0) |
3 | After TO +/- | -3 |
アドバンスドスタッツ
茨城ロボッツ | 群馬クレインサンダーズ | |
69.52 | ポゼッション数 | 71.08 |
試合のペース:70.3 | ||
80.55 | Offensive Rate | 106.92 |
106.92 | Defensive Rate | 80.55 |
45.5% | TS% | 50.6% |
45.7% | eFG% | 48.7% |
0.93 | POT Efficasy | 0.95 |
0.58 | 2nd Chance Efficasy | 1.05 |
42.7% | REB% | 57.3% |
32.4% | OREB% | 48.9% |
51.1% | DREB% | 67.6% |
82.6% | AST% | 74.2% |
24.5% | TOV% | 16.1% |
0.81 | PPP | 1.07 |
0.75 | After TO PPP | 0.00 |
0.14 | FTR | 0.09 |
戦評
DFからリズムを作った群馬
試合を通してDFが機能した群馬。1戦目も延長で負けてしまってはいますが、後半の失点は23失点だったので、復調の兆しはありました。
この試合も前半の失点は25失点。試合を通しては、茨城をFG%:39.7%、3P%:29.2%に抑え込んでいます。特に1戦目で爆発した駒沢選手に対してはチェイスDFが引きはがされないよう努めていたように思います。
加えて、ハーフコートでも結構トップの位置までプレッシャーをかけていたり、Pick&Rollの時のショウDF(スクリナーに対していたDFがハンドラーにプレッシャーをかけに行くDF)もハードに仕掛けていました。相手にスペースを与えても、ハンドラーを自由にさせないことを選びました。
その結果、スクリナーだったビッグマンがトップ付近でボールを受け取ることが多くなり、そこでクリエイトできないビッグマンのミスを誘いました。
シチュエーションをそこまで意識して見られませんでしたが、ジェイコブセン選手のTOV:7本が物語っているかと思います。3Pを決めてはいるものの、キャリアで3PA:2.0本未満のノンシューターなので群馬の仕掛けが効いた可能性があります。
数字上も、DF Rateが80.55とトップクラス。茨城のP.I.Ptsを1戦目の46得点から30得点に減少し、TS%:45.5%、eFG%:45.7%という数字からも、如何に群馬のDFが機能したことが伺えます。
ブラックシアーJr選手がOFで違いを見せた
1戦目に苦戦していたゾーンDF。インサイドでのクリエイションが足らないことで停滞を呼んでいましたが、1戦目に欠場していたブラックシアーJr選手が違いを見せつけました。
スコアリングエリアこそリム周りでしたが、ハイポストからのパスの供給が有効的で、ASTはシレっと8本を記録。この試合、13得点・13REBを記録しているので、あわやトリプルダブルに迫るパフォーマンスでした。
それだけが効いたわけではないかも知れませんが、%FGAは%2P:50.7%、%3P:49.3%とバランスの良いAttemptで%PTも%2P:52.6%、%3P:43.4%と得点のバランスも良かったです。
Catch&Shootはこれまでの試合、チームとして35.1%・EPS:1.05とまずまずなので、チームの強みを活かせたOFだったでしょう。
REBの支配と2nd Chanceが大きい
ブラックシアーJr選手の復帰の大きい部分はこのREBの部分でもあります。
エドゥ選手との2ビッグに加え、ティーマン選手も加わったビッグラインナップでOREBが取りやすく、ブラックシアーJr選手は6本、エドゥ選手とティーマン選手はそれぞれ5本と、3人で16本のOREBを獲得しました。
チームの2nd Chance Ptsは23得点を記録。また、OREB%:48.9%とかなり高い水準であり、個人スタッツに反映されないチームOREBも4本あったことから、上記3選手のみではなく、チームとしてOREBの意識が高かったことの表れでしょう。
トランジションDFの修正
1戦目、茨城のP.O.T:23得点、F.B.Pts:15得点だったのを、この試合ではそれぞれ14得点・5得点に抑えました。
群馬としてもTOV:15本と多くはあったため、そこは修正の余地が大いにありますが、P.O.T.Eを1.00未満に抑えたのは、しっかりDFの意識が高かった前述の余韻でしょう。攻守の切り替えの速さは良かった点だと思います。
1戦目の茨城のLay-Up Madeが14本(ダンクも含めると15本)でしたが、この試合は半減で7本(ダンク含めると8本)。もちろん、トランジションシチュエーションのみのデータではないものの、トランジションDFが機能している根拠になり得ると思います。
まとめ
群馬は今節も1勝1敗で星を分け合いました。中村拓人選手やブラックシアーJr選手といった昨シーズン広島組が良いパフォーマンスをしていますが、その影響と言えるのか、ロスター内のパワーバランスがまだ定まっていない感もありそう。
その辺の咬み合い、特に藤井選手と中村選手の共存が上手く行くと今年も強豪チームとしてやっていけそうではあります。
個人的にはOFオプションの序列を藤井選手<中村選手にした方が良いか?と思っています。ちょっと藤井選手はハンドラーとしてはスコアリングの意識が強すぎるし、かと言ってスコアリングの能力も近年は今一つ…、という印象なので。
あとは、スモールサンプルながらDFの波も気になります。OF Rateが100中盤~110を記録しているので、試合の中でも波はありつつも4試合安定している感はありますが、DFは機能する時としない時の差が激しいです。
現状、【OFに安定感はあっても爆発力はない、DFは機能したらトップクラスだが、波が大きい】というのがチームの状況。となると、修正すべきはDFになってきますね。
次節は今話題沸騰中のレバンガ北海道とのホーム開幕戦。今シーズン頑張って欲しいチーム(と言うか、富永選手に頑張って欲しい)なので、どちらを推して観戦するかも難しいですが、楽しみにしていましょう!
PR:Bリーグを観るには?
Bリーグ戦においては、近年、地上波TVでも観戦することが出来ますが、録画などを忘れると基本的には再放送されないので見ることは出来ません。やはりその場合はオンデマンドサービスが有用です。
バスケットLIVE

日本のバスケ配信サービスと言えば?という問いに「バスケットLIVE」と答えられるくらいには地位が確立してきた感のある同サービス。
スマホアプリでは操作性に難があると言った口コミも目にしますが、日本のバスケ全試合がほぼ全て見放題なところが魅力。日本代表やBリーグはもちろん、天皇・皇后杯やU18の日清食品トップリーグ、中学生のウィンターカップ、ミニバス全国大会に至るまで視聴が可能です。
未来の日本代表の発掘もしたい人にとっては嬉しいサービスでしょう。
DAZN

サッカーやモータースポーツの印象が強いDAZNですが、バスケットボールも視聴が可能です。
DAZNは国際サービスともあり、日本代表だけでなくユーロの大会やアメリカ杯の試合も配信されるので、よりレベルの高い国の試合を観戦したい人にとってもおススメです。
また、地味ながらDZANの評判の良いところは、試合中の実況・解説がTVを含めた他の配信サービスよりも良い意味で控えめというところ。
他のサービスだと、絶え間なく実況アナウンサーが喋り続けて、観る側からしたら「まだそこまでじゃないけど…」というようなタイミングでも大袈裟に「決まったーッ!!」と騒いだり、必要以上に選手を持ち上げて、試合観戦に集中できないというコメントがよく目に付きます。
その点、DAZNでは必要十分な実況・解説コメント(TVとかは過剰過分)で、選手やプレーを称える瞬間も大騒ぎしません。海外スポーツの中継は割とこういったメリハリが主流ですよね。
ただ、DAZNは競技ごとの料金が無く、月額料金が3,200円~と、他と比べてお高めなので、その辺はよく検討してください。
蛇足かもしれませんが、アニメなどサブカルにも興味がある人は、【DMMプレミアムDAZNホーダイ】も検討の余地アリです。

DAZN視点だと、月額3,200円~に+280円(税込み)するだけで、アニメや漫画などのサブカル作品が見放題。もちろん、DMMにもスポーツアニメが多数存在します。
「バスケしか見ないのに3,200円は高い」と思っても、「+280円でアニメや漫画も見れる!」という嬉しさがありますね。
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