第4節|千葉ジェッツ✕群馬クレインサンダーズの試合レビュー

試合レビュー

2025/10/18~10/19で開催された、千葉ジェッツ@群馬クレインサンダーズの試合をレビューしていきましょう。

戦前データ

開幕から2週間経ち、割と両チームともに【色】【アイデンティティ】が出てきた印象です。その辺の観点から見て行きましょう。

千葉ジェッツ

今シーズン、ロスターを大きく変えたチームもいれば、昨シーズンのロスターから着実に強化を果たしたチームとに分かれるところですが、千葉は紛れもなく後者。

昨シーズン、DJ・ホグ選手と共にWエースを担ったクリストファー・スミス選手が退団した後釜に近い形で入ってきたのが、昨シーズンまでNBAでプレーしていたナシール・リトル選手。2023-24シーズンには、渡邊雄太選手とフェニックス・サンズでローテーションを争っていた選手としても、知っている人は知っているでしょう。

コアメンバーである富樫勇樹選手、渡邊選手、ホグ選手、ジョン・ムーニー選手が残留し、2ndユニットを引っ張る瀬川琉久りく選手も成長中。原修太選手はPGの役割を担う時間帯もあるなど、戦術の幅を広げています。

このチームのキーマンを挙げるとしたら、金近れん選手を個人的には挙げます。
昨シーズンはほぼピュアシューターとしての起用でしたが、彼はまだ22歳。このまま小さくまとまった選手にならずに、三遠の吉井裕鷹選手のように、ある程度自分でクリエイトできる選手になって欲しいなと思います。最終的には%FGAが%2P:%3Pが5:5くらいの割合の選手。

他にも、ムーニー選手がベンチに下がった時のローテーションも気になるところ。Cはマイケル・オウ選手がリザーブにいますが、平均出場時間を見比べると、明らかに計算が合わず、「ムーニー選手もオウ選手もいない」というNo BIGの時間帯が確実にあります。その時にどのような布陣で、どのような戦術を敷いているのかは注目したいです。

群馬クレインサンダーズ

エースのトレイ・ジョーンズ選手が、現状のシュート効率が51-50-100と驚異的な成績を残しています。BLKも1.2BLK残していて、攻守において35歳の選手が残していい成績ではありません(てか、最近、ハイパフォーマンスの高齢選手多いよね)。

他にも、チームのASTトップがインサイドのケリー・ブラックシアーJr選手であることも今シーズンの特徴。
昨シーズンはトレイ選手が4.9ASTがASTリーダーでしたが、今シーズンはインサイドの選手がOFのHubとなる役割で、シューター陣の得点を増やしていくスタイルを確立させつつあります。同じくインサイドプレーヤーであるヨハネス・ティーマン選手も、ASTを2.4→3.4と増えていることからも分かります。

このスタイルの強みは、巡り巡って、中村拓人選手やトレイ選手といった、バックコート選手のプレーメイクもやりやすくなること。それらが機能したのが、10/12@茨城戦、10/15北海道戦だったと思います。
特に、第2節の茨城戦後に【安定感はあるけど爆発力が無い】と群馬を称しましたが、前回の10/15北海道戦はOF Rateが142.49と爆発力を見せました。今回の相手が唯一の無敗チームである千葉なので、その流れが継続して欲しいですね。

10/18の試合データ

各チームを振り返ったところで、それでは今節の試合のデータを振り返っていきましょう。

尚、今シーズンからデータ内容を増やし、より詳細な分析が出来るように試みていますが、群馬の試合ではショットシチュエーションにも注目して分析していきます。
ショットシチュエーションについて

基本スタッツ

千葉ジェッツ群馬クレインサンダーズ
80PT79
25/66
37.9%
FG29/68
42.6%
16/32
50.0%
2P20/43
46.5%
9/34
26.5%
3P9/25
36.0%
21/25
84.0%
FT12/13
92.3%
44REB36
19OREB13
25DREB23
17AST23
10TOV10
5STL6
3BLK0
17F18

詳細スタッツ

千葉ジェッツ群馬クレインサンダーズ
64.0%%FGM2P69.0%
36.0%%FGM3P31.0%
48.5%%FGA2P63.2%
51.5%%FGA3P36.8%
40.0%%PT2P50.6%
33.8%%PT3P34.2%
26.3%%PTFT15.2%
15Points Off TOV13
2Fast Break Points8
242nd Chance Points11
32Paint In the Points26
18Bench Points25
2/3
(3)
After TO Results
(Points)
1/5
(2)
1After TO +/--1

アドバンスドスタッツ

千葉ジェッツ群馬クレインサンダーズ
68.00ポゼッション数70.72
試合のペース:69.36
117.65Offensive Rate111.71
111.71Defensive Rate117.65
51.9%TS%53.6%
44.7%eFG%49.3%
1.50POT Efficasy1.30
1.262nd Chance Efficasy0.85
55.0%REB%45.0%
45.2%OREB%34.2%
65.8%DREB%54.8%
68.0%AST%79.3%
11.5%TOV%11.9%
1.18PPP1.12
1.00After TO PPP0.40
0.38FTR0.19

戦評

お互いの強みを消し合ったアジャスト合戦

戦前、千葉は全勝中チームということもあって、OF Rateがリーグ1位。その裏付けとしては、G・Fの選手のリムアタックによるFTAの獲得でした。最終的に25本のFTAを獲得しましたが、前半は僅か6本に抑えられ、それが前半リードを許していた要因でしょう。

恐らく、千葉側にとって1つの誤算だったのが、バックアップPGの瀬川選手があまり機能しなかったことでしょうか?3Pの他に得意であるはずのMid-Jumperも決まらず、FGM:0本。FTこそ2/2というものの、プレータイムが8:32と伸び悩みました。過去の試合で怪我をしたとの情報もあったはずなので、やや気がかりですね。

対する群馬は3P%がリーグでも上位のチームですが、この試合は3P%が36.0%と確率は良いものの、平均3PFGA:34.2本から見ると、この試合は25本。
特にCatch&Shootがこれまでの試合では平均Attemptが28本ありながら、この試合は10本以上少ない15本。Wide-Open 3Pも1試合平均4.8本のAttemptを獲得していましたが、この試合は僅か3本。その3本も外れてしまい、流れを作ることが出来ませんでした。

勝負を分けたのはリム周辺の精度

FGの面を見ると、千葉は37.9%、群馬は42.6%と両チームにとって低水準ながら群馬に軍配。TS%も53.6%、eFG%も50%に迫るなど、群馬も決して引いていませんでした。だからこそ、試合最終盤まで決着がもつれ込んだのでしょう。

ただ、渡邊・DJ・ムーニーのビッグラインナップを敷く千葉にとっての最大の強みがOREBとそこからもたらされる2nd Chance PTs。2nd C.PTsは24-11と大きく違いを見せつけ、Efficacyでも1.26-0.85でした。Game Winnerとなったホグ選手のダンクも、渡邊選手のPull-Up→富樫選手の2nd C.Shoot→ホグ選手のプットバックでした。

このタイミングの時には群馬もブラックシアーJr選手がいましたが、試合を通して4ファウルでプレータイムや強度に制限が掛かる中での試合だったのでそこに付け込まれたかもしれません。
そういう意味では、エドゥ選手がDREB4本、ティーマン選手も4本というところがDREB%が54.8%に留まってしまった要因で痛かったですね。

注目だった千葉・ムーニー不在の時間帯

この試合、バックアップCであるマイケル・オウ選手がロスター外。代わりに荒尾岳選手となりますが、プレータイムは1:33とローテーションの一角とは言えない感じ。

ではどうしていたか?となると、ホグ選手もしくはリトル選手がビッグマン役を務めていました。リトル選手は公式では199cmですが、ティーマン選手と並んでもあまり差が無いように見えるので、少なくとも200cmは超えていそうですね。

時々ホグ選手をビッグマンに据えて、他は瀬川・田代・金近・原というラインナップの時間帯もありましたが、OF・DFの両面でホグ選手とリトル選手を併用している時の方が流れが良かったような気がします。
リトル選手のウィングスパンが218cmという長さが活かされ、「OFはホグ、DFはリトル」という棲み分けが出来ていましたね。ディフェンシブなスタッツを見ても、リトル選手の方が高く、DREB:7本(ホグ選手:2本)、BLK:2本(同:0本)、STKs(STL+BLK):3本(同:2本)でした。

10/19の試合データ

基本スタッツ

千葉ジェッツ群馬クレインサンダーズ
84PT70
30/58
51.7%
FG24/68
35.3%
19/31
61.3%
2P16/36
44.4%
11/27
40.7%
3P8/32
25.0%
13/16
81.3%
FT14/18
77.8%
41REB33
9OREB14
32DREB19
25AST18
18TOV10
3STL6
2BLK1
19F15

詳細スタッツ

千葉ジェッツ群馬クレインサンダーズ
63.3%%FGM2P66.7%
36.7%%FGM3P33.3%
53.4%%FGA2P52.9%
46.6%%FGA3P47.1%
45.2%%PT2P45.7%
39.3%%PT3P34.3%
15.5%%PTFT20.0%
8Points Off TOV18
15Fast Break Points2
92nd Chance Points19
34Paint In the Points28
31Bench Points17
0/3
(0)
After TO Results
(Points)
2/6
(5)
-5After TO +/-5

アドバンスドスタッツ

千葉ジェッツ群馬クレインサンダーズ
74.04ポゼッション数71.92
試合のペース:72.98
113.45Offensive Rate97.33
97.33Defensive Rate113.45
64.6%TS%46.1%
61.2%eFG%41.2%
0.80POT Efficasy1.00
1.002nd Chance Efficasy1.36
55.4%REB%44.6%
32.1%OREB%30.4%
69.6%DREB%67.9%
83.3%AST%75.0%
21.7%TOV%11.6%
1.13PPP0.97
0.00After TO PPP0.83
0.28FTR0.26

Shoot Summary

そう言えばこれまで忘れてましたが、ショットシチュエーションデータも提示します。
ショットシチュエーションについて

千葉ジェッツ群馬クレインサンダーズ
7/15
46.7%
Self-Shootmake5/18
27.8%
5/7
71.4%
MID-Jumper3/8
37.5%
3/7
42.9%
Floater2/8
25.0%
6/8
75.0%
Lay-Up6/11
54.5%
2Dunk0
6/14
42.9%
Catch&Shoot4/15
26.7%
2/4
50.0%
Moving3/7
42.9%
3/9
33.3%
Pull-Up2/10
20.0%
0/1
0.0%
Wide-Open0/3
0.0%

戦評

大きく差が開いたシュート効率ーTS%で18ポイント差

勝敗を分けた最大の要因は分かりやすくシュート効率。千葉のTS%:64.6%、eFG%:61.2%に対して群馬はTS%:46.1%、eFG%:41.2%と大きく差を広げられました。

特に顕著だったのが3P%。1戦目は36.0%と比較的高水準でしたが、この試合は25.0%(8/32)と低迷。Attemptは25本→32本と増えたのは良いものの、肝心の確率が下がってしまいました。

3P%が低迷した要因は1戦目にも指摘した3Pのショットシチュエーションにも起因します。一般的に3Pの確率はCatch&Shoot>Moving>Pull-Upと言われていますが、最も期待値の高いCatch&ShootのAttemptが1戦目と同様に奮わず15本。3P全体のAttemptが増えても、得点期待値の高いショットシチュエーションを演出できませんでした。

対する千葉は渡邊選手が第1QからOn-FIRE。特に第1Qは3P:3/3を含む15得点、第3Qにも3P:3/6を含む12得点でした。第2・4Qでは得点を挙げなかったので、これがこの試合の全得点になりますが、合計27得点はゲームハイの高得点でした。

そんな渡邊選手はDeepな3Pもお構いなしに放ってきました。FIBAルールを取り入れているBリーグとNBAの3Pラインが異なることは周知のことだと思いますが、NBA選手だった渡邊選手にとってはDeep3Pも「普通の3P」なのだと物語っていました。207cmの高身長選手がBリーグで自信をもってDeep3Pを放って、それが当たるんだから最早止めようがありません。

シュート効率の差の裏にあるのはプレーメイカーの出来

前項ではシュート効率に着目しましたが、その背景にはプレーメイカーのパフォーマンスにも影響していると思います。

まず、両チームの2P%を比べると、千葉:61.3%(19/31)、群馬:44.4%(16/36)でした。その2Pシュートの全てのシチュエーションを拾っているわけではありませんが、Mid-Jumper、Floater、Lay-Upいずれのシチュエーションでも千葉が優勢でした。
とりわけ、Lay-Up:75.0%(6/8)、Floater:42.9%(3/7)とリング周辺で確実に得点を積み上げました。P.I.Ptsも34得点だったことからも、リムアタックを軸に組み立てた千葉のOFが機能したことを示しています。

また、チームのASTが25本であることに加え、記録した選手全員が複数ASTを記録していることから、ボールムーブが多かったことも影響しているでしょう。

対する群馬側が痛かったのが、中村選手が比較的早い時間帯にファウルトラブルに陥ったこと。最終的には3Fに留まりましたが、プレータイムも18:09と20分を満たしませんでした。
群馬のOFの流れが良い時は、トレイ選手や中村選手がペイントアタックしてMid-JumperやFloaterの選択肢を持ち、そこを軸にしてハーフコートOFを展開していましたが、この試合、エースのトレイ選手にその比重が多くなり過ぎました。

代わりにPGとして出てきた藤井選手も5ASTと悪くはないですが、基本的に自分が打ちたい選手なので、ゲームコントロールの点では中村選手に劣ります。個人的に【PG:藤井祐眞】はあまり好きになれないんですよね。それでシュート効率が良いなら良いんですが…。

全体的に攻守にチグハグだった群馬

この試合、以下のようにデータ上では群馬が千葉に優勢を取っていた部分もそれなりにありました。
※【】内は千葉のデータです。

  • OREB:14本【9本】
  • 2nd Chance PTs:19得点【9得点】
  • TOV:10本【18本】
  • Point Off Turnover:18得点【8得点】
  • TOV%:11.6%【21.7%】

特に千葉のメインハンドラーとなる富樫選手:4本、ホグ選手:4本、瀬川選手:2本と3選手で10本のTOVを誘発させていたのは良かった点だと思います。POTEを見ても、1.00と及第点でした。

ただ、Fast Break Pointsが僅か2得点。TOVを18本も誘発して、F.B.Ptsに展開しやすいSTLも6本記録しておきながら、僅か2得点でした。元々ペースコントロールが信条のチームなので、F.B.Ptsが伸びにくいチームではあるものの、これでは流れを持ってくるのはなかなか難しいと言わざるを得ません。

また、OREB、2nd C.Ptsで上回っているものの、P.I.Ptsでは28-34と水を開けられました。これは、OREB→リバウンダーが直接シュートではなく、(少なくともこの試合の流れにおいては)期待値の低かったセットOFを組み立て直そうとしたことがチグハグさに拍車をかけました。

その点、千葉はTOVの誘発は少なかったものの、DREB→F.B.Ptsの展開が多く、正にDFから流れを作った試合だったと言えるでしょう。

まとめ

肉薄した1戦目を含め、戦績上でもデータ上でも今シーズンの千葉の強さが存分に発揮された2試合でした。

今シーズン、リーグのチームが増えたことで、各チームの複数試合カードが少なくなったため、同じ相手にやり返すことや、前の試合からどの程度改善されたかが分かりにくくなるシーズンになりました。その点、各チームの課題を修正することが出来るかどうかがより重要な試合になりそうです。

実際に、千葉と群馬が次に戦うのはCSの舞台。どちらか一方が進出できないor途中敗退すると実現しないカードになります。もっともっと質の高いチームとなって、CSの舞台でやり返してほしいですね。

千葉はこれでB1リーグ記録に並ぶ開幕7連勝。次の試合、サンロッカーズ渋谷に勝てたら開幕8連勝でリーグ新記録になります。イチファンとしてかなり楽しみな試合です。

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