第26節|名古屋ダイヤモンドドルフィンズ✕群馬クレインサンダーズの試合レビュー

試合レビュー

2026/3/28~3/29で開催された、名古屋ダイヤモンドドルフィンズ@群馬クレインサンダーズの試合をレビューしていきましょう。

前週は東アジアスーパーリーグのファイナル4の試合が執り行われたため、1週間の休止期間が発生して迎えた今節。ともに直近の試合から連勝を記録しているチーム同士の対決は、どちらがその流れを引き継いで来たのでしょうか?

本記事では関連サービスを紹介しています。なお、当該部本文は筆者の判断で作成しています。

戦前データ

名古屋ダイヤモンドドルフィンズ

現在西地区2位の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ(以下、名古屋DD)ですが、勝率で言えば首位長崎と同率となっています。今シーズンベストバウンドの1つとも称され、当サイトでもレビューが大バズりした長崎との2連戦節は星を分け合う熱戦となりました。

名古屋DDを語る上で欠かせないのがやはりDF力。DF Rate:94.88は堂々リーグトップの数字です(※公式と数値が違うのは採用しているポゼッション数の計算式が異なるためです。採用している計算式はこちらを参照してください)。

DFが強力である背景は明確にあって、それは「TOVからの失点(被P.O.T)が少ないこと」にあります。全てのチームを観測しているわけではありませんが、今シーズンの東西地区上位5チームの中で最も少ない失点数になります。

逆に自チームが獲得したP.O.Tもリーグトップの20.59得点。相手チームにTOVを誘発させている数値も16.61本とかなり多いので、それだけDFで圧力を掛けてきている強さがあることが分かります。

ただ、DFだけでリーグトップクラスのチームにはならず、ひっそりと武器になっているのは実はOREB。REBに強みを持っている琉球の更に上を行く平均:15.73本はリーグトップ(尚、TREB:42.82もトップ)であり、OREBから生み出される2nd Chance PTs:15.59得点はリーグ2位の成績です。

ビッグマン3人(アラン・ウィリアムズ選手:2.3本、カイル・リチャードソン選手:2.4本、スコット・エサトン選手:3.3本)はもちろんのこと、バスケ選手としては明らかにアンダーサイズであるはずの齋藤拓実選手でさえ0.8本平均しているのは面白いデータでしょう。

Efficacyが1.00を下回っているため、効率面はやや悪いですが、ポゼッションゲームに持ち込むと強さを発揮するタイプのチームと言えます。近年はポゼッションの重要性が高くなっていると、本場NBAでも言われてきていましたからね。

群馬クレインサンダーズ

前節、A東京に2連勝して現在東地区5位に位置する群馬。CS出場のためには負けられない戦いがまだまだ続きます。

バイウィーク前後で調子を崩していたOF面が復調し、連勝している直近4試合のOF Rateは126.53と素晴らしい数字を残しています。バイウィーク前、ハンドラー不足でかなり苦しかったですが、トレイ・ジョーンズ選手の復帰やコー・フリッピン選手の判断力の修正などが効いてOFが回りやすくなりました。

OF面の話を続けると、FG%:46.7%はリーグ3位、3P%:36.2%はリーグ2位と最上位にある中、FT%:79.6%は佐賀と並んでリーグトップの数字です(試投数の多少で佐賀が公式では1位)。
この数字の優位性を得るには、やはりハンドラー陣の奮起は必要で、現状、チームトップのFTAはケリー・ブラックシアーJr選手(以下、KBJ)の5.0本ですが、攻守両面で主要な場面をKBJに頼り切っているので、藤井祐眞選手(FTA:2.2本)やトレイ選手(同:2.4本)との獲得バランスがカギになりそうです。

特に名古屋DDはSTL:9.27本とリーグトップ。バイウィーク以前はハンドラーへのハイプレッシャーに負けて、高い位置でのTOVを犯す場面が多く、それが敗因となっていたところがあるため、落ち着いて対応することや、早いところ、ビッグマンのペイントアタックに繋げていきたい所です。

3/28の試合データ

各チームを振り返ったところで、それでは今節の試合のデータを振り返っていきましょう。

基本スタッツ

名古屋DD群馬クレインサンダーズ
79PT88
27/56
48.2%
FG30/71
42.3%
23/39
59.0%
2P21/41
51.2%
4/17
23.5%
3P9/30
30.0%
21/25
84.0%
FT19/23
82.6%
34REB36
10OREB16
24DREB20
18AST26
14TOV9
6STL6
6BLK3
24F22
基本スタッツの略語について

詳細スタッツ

名古屋DD群馬クレインサンダーズ
85.2%%FGM2P70.0%
14.8%%FGM3P30.0%
69.6%%FGA2P57.7%
30.4%%FGA3P42.3%
58.2%%PT2P47.7%
15.2%%PT3P30.7%
26.6%%PTFT21.6%
12Points Off TOV21
14Fast Break Points7
102nd Chance Points15
44Points In the Paint30
20Bench Points31
2/6
(4)
After TO Results
(Points)
1/3
(3)
1After TO +/--1
詳細スタッツの略語について

アドバンスドスタッツ

名古屋DD群馬クレインサンダーズ
71.00ポゼッション数74.12
試合のペース:72.56
111.27Offensive Rate118.73
118.73Defensive Rate111.27
59.0%TS%54.2%
51.8%eFG%48.6%
1.33POT Efficasy1.50
1.002nd Chance Efficasy0.94
48.6%REB%51.4%
33.3%OREB%40.0%
60.0%DREB%66.7%
66.7%AST%86.7%
17.3%TOV%10.0%
1.11PPP1.19
0.67After TO PPP1.00
0.45FTR0.32
アドバンスドスタッツの略語について

Shoot Summary

名古屋DD群馬クレインサンダーズ
10/22
45.5%
Self-Shootmake6/17
35.3%
3/9
33.3%
MID-Jumper5/11
45.5%
4/4
100.0%
Short-Jumper4/7
57.1%
1/3
33.3%
Push0/1
0.0%
5/11
45.5%
Floater3/6
50.0%
6/8
75.0%
Lay-Up8/14
57.1%
4Dunk1
0Tip-In0
2/8
25.0%
Catch&Shoot4/12
33.3%
0/1
0.0%
Moving2/5
40.0%
2/9
22.2%
Pull-Up3/13
23.1%
1/4
25.0%
Wide-Open0/1
0.0%
Shoot Summaryについて

戦評

勝負を分けたのは第2Q

試合を通して、「群馬の時間」「名古屋DDの時間」というのが分かりやすかった試合でした。50:50だった第1Qを終えて、第2Qは群馬が序盤8-2のランをかまして主導権を握りました。Q毎の得点差はこの第2Qが11点差と最も多かったことから、この試合の勝敗を分けたQになったのは明白です。

そんな第2Qを支配したのはKBJ。貢献度を示すETFは11。7得点(FG:2/2、FT:3/3)・1REB・1ASTももちろん素晴らしいですが、特筆すべきはFoul Draw:3本。その相手はエサトン選手とリチャードソン選手が含まれ、最終的に両選手とも4Foulで満足にプレーをさせませんでした。

特筆されたKBJのFoul Drawの他でも、このQだけで試合の半数近くの10本の名古屋DDのFoulを誘発させました。内、6本のFoulは前述の2選手を含めビッグマン3人。名古屋DDの強みとされるビッグマンを半ば機能停止させた第2Qでした。

効率の悪さを量でカバーした群馬

スタッツを振り返ると、シュート効率は群馬より名古屋DDの方が優勢でした。

名古屋DD群馬クレインサンダーズ
27/56
48.2%
FG30/71
42.3%
59.0%TS%54.2%
51.8%eFG%48.6%

戦前と比べると、群馬はFG%:▲4.4%、TS%:▲4.4%、eFG%:▲6.5%とかなり効率の悪いゲームになりました。

その代わり、POSS:74.12と名古屋DDのそれよりも3POSS分多くOFシチュエーションを獲得。OREB:16本、誘発したTOV:14本と名古屋DDのお株を奪う試合運びを見せました。
この試合、シュート効率は悪かったものの、3P%:30.0%と及第点を下回りながらも持ちこたえ、FGMの差がちょうど3本。この3POSS差がそのまま物量の差に繋がったとも言えそうです。

特にOREB%:40.0%が素晴らしく、勝利をもたらした第2Qでは8本のOREBを奪いました(第2QのOREB%:66.7%)。2nd Chance PTs:15点も名古屋DDの10得点を上回り、ポゼッションゲームを制したと言える試合展開でした。

ビッグマンのファウルトラブルが厳しかった名古屋DD

前半の内にウィリアムズ選手・リチャードソン選手が2つ、エサトン選手が3つというFoul数で苦しいタイムシェアリングを強いられた名古屋DD。
流れを持ってきた第3Qでもウィリアムズ選手が2つFoulを重ね、ゲームを決めたい第4Qスタートの段階で、4FoulでDF面に難のある状態で迎え、案の定、得失点差:6点で群馬に上回れてしまいました。

名古屋DDの弱点が露呈したと言えるのか、外国籍ビッグマンのFoulトラブルに対応できないロスターバランスなのかも。サイズ的に見劣りしないのはアイザイア・マーフィー選手と今村佳太選手ですが、ポジションはバックコート。
外国籍ビッグマンの代役が務められる選手と言えば、日本代表でも重要なロールプレイヤーとして活躍していた張本天傑選手。ですが、34歳の年齢で、インサイドプレイヤーとしてはアンダーサイズですから、中々厳しい部分もありそうです。

3/29の試合データ

基本スタッツ

名古屋DD群馬クレインサンダーズ
74PT78
27/59
45.8%
FG25/67
37.3%
21/36
58.3%
2P12/33
36.4%
6/23
26.1%
3P13/24
38.2%
14/19
73.7%
FT15/20
75.0%
37REB40
11OREB17
26DREB23
16AST13
17TOV13
5STL11
4BLK1
24F22
基本スタッツの略語について

詳細スタッツ

名古屋DD群馬クレインサンダーズ
77.8%%FGM2P48.0%
22.2%%FGM3P52.0%
61.0%%FGA2P49.3%
39.0%%FGA3P50.7%
56.8%%PT2P30.8%
24.3%%PT3P50.0%
18.9%%PTFT19.2%
15Points Off TOV21
7Fast Break Points7
112nd Chance Points15
36Points In the Paint18
17Bench Points19
1/3
(1)
After TO Results
(Points)
4/7
(9)
-8After TO +/-8
詳細スタッツの略語について

アドバンスドスタッツ

名古屋DD群馬クレインサンダーズ
73.36ポゼッション数71.80
試合のペース:72.58
100.87Offensive Rate108.64
108.64Defensive Rate100.87
54.9%TS%51.5%
50.8%eFG%47.0%
1.15POT Efficasy1.24
1.002nd Chance Efficasy0.88
48.1%REB%51.9%
32.4%OREB%39.5%
60.5%DREB%67.6%
59.3%AST%48.0%
20.0%TOV%14.6%
1.01PPP1.09
0.33After TO PPP1.29
0.32FTR0.30
アドバンスドスタッツの略語について

Shoot Summary

名古屋DD群馬クレインサンダーズ
9/21
42.9%
Self-Shootmake10/21
46.6%
3/4
75.0%
MID-Jumper3/7
42.9%
2/4
50.0%
Short-Jumper1/4
25.0%
0/0
Push0/2
0.0%
4/10
40.0%
Floater0/6
0.0%
10/15
66.7%
Lay-Up7/11
63.6%
0Dunk0
2Tip-In1
4/12
33.3%
Catch&Shoot7/17
41.2%
0/1
0.0%
Moving2/6
33.3%
2/10
20.0%
Pull-Up4/11
36.4%
0/2
0.0%
Wide-Open1/3
33.3%
Shoot Summaryについて

戦評

ケンカみたいな荒れた試合に…。

Foul数が多かった第1戦以上に多くなり、名古屋DD:24本・群馬:23本と荒れた試合になりました。

X上では名古屋DDブースターの方が「今日のクソみたいな審判」と審判を批判するポストをしているのを見ましたが、あくまで個人的な意見ですが、ジャッジは公平だったかな?と思います。まぁ、負けたチームのファンが審判を批判して、勝ったチームのファンが審判を肯定しているのは中々美しくないな、とは思ってますが。

ただ、それ以上に言えるのは、「本来、もっと笛が吹かれてもおかしくない試合だった」とも思います。序盤から名古屋DD:ウィリアムズ選手と群馬:JTがバチバチにやり合って、お互いがお互いのFoulを誘い合っていました。

その結果、最終的に両選手とも5Foulで退場処分に至ったのですが、他の選手にも波及するかのように激しいDFやそれに対抗するためにOF時にヒートアップしていました。先日のFIBA W杯2027アジア予選Window1での台湾戦のような笛の軽さなら、両チームとも30本を超えたFoulがコールされていてもおかしくなかったと思います。

本場NBAなら警告試合として審判から咎められてしまうようなケンカのような試合で、観ていてもあまり気分の良い試合ではありませんでした。

とは言え、両チームともDF力を基調にしたチームとも評されているので、そういうチーム同士の試合では時折こういう試合が起こり得ます。ちょうどそういう日だったということでしょうね。

STLからの得点が光った群馬

そういった激しいDF合戦となった試合で光ったのが群馬側。この試合、STL:11本も奪い、STLからの得点は10得点(Bリーグ公式のテキスト速報から抜粋※恐らく見落としあり)に上りました。名古屋DDに誘発したTOV:17本の内、およそ7割弱をLIVEで奪ったことになり、そのほとんどが得点に繋がっていました。

STLの仕方も「DFの読みで奪った」という場面もあれば、フィジカルで負けずに、相手がボールをこぼした一瞬を逃さなかった場面も多かったです。

また、地味な視点ですが、名古屋DDのOFでDFのズレを作らせなかったことも大きく、ハンドラーのSelf-Shootmakingにしっかり対応していたのも良かったですね。

エース対決はほぼ互角、勝敗を分けたのはサポーティング・キャスト

名古屋DD:アーロン・ヘンリー選手と群馬:トレイ・ジョーンズ選手のエース対決はほぼ互角。と言うか、ゲームハイはヘンリー選手(23得点)だったり、スタッツ的には【ヘンリー>トレイ】の図式でした。

勝敗を分けたのは彼らの周辺にいた選手たち。ヘンリー選手もトレイ選手もアイソレーションが得意な、「The エース」という選手でしたが、その選手たちにとって重要なのは自身のプレーメイクのためのスペース。

群馬は序盤から細川一輝選手のCatch&Shootが好調で、藤井選手も第2Qのブザービーターの印象を名古屋DD側に強く植え付けてOF面では引力になっていました。
対する名古屋DDは、本来スコアリングハンドラーとしてアイソレーションを展開するはずのヘンリー選手の周りに好調なシューターがおらず、得点シーンがヘンリー選手のアイソレーションか、ビッグマンのポストアップという単調なOFに陥ってしまっていました。

ここで、トレイ選手とヘンリー選手のOF時のスペースの違いが分かるデータを表示しましょう。

アーロン・ヘンリートレイ・ジョーンズ
6/13
46.2%
Self-Shoot make4/8
50.0%
2/3
66.7%
Mid-Jumper0/0
2/7
28.6%
Floater0/1
0.0%
1/2
50.0%
Lay-Up4/6
66.7%
0/2
0.0%
Pull-Up 3P2/4
50.0%

このデータを見ると、トレイ選手の方がLay-Upまで到達できているのに対し、ヘンリー選手は見方を含むビッグマンに進路を阻まれているのか、Lay-Upまで行けず、Floaterの選択をしているのが見え隠れします。

また、アイソレーションの選択肢であるPull-Up 3Pも、ヘンリー選手の選択の頻度が少ないです。その時のOFの流れなどにも影響されるため一概には言えませんが、ビッグマンのDFやミッドレンジの精度や期待値などを考慮した上で、群馬DFが上からハードに当たっていた背景があるのかもしれません。

トレイ選手はミッドレンジでのフィニッシュを少なく、【リム周りor3P】と、コートを広く使ってフィニッシュに持って行ったことが分かります。これは自由にクリエイトできるスペースが無いと出来ない芸当なので、シューター陣による隠れたASTとも言えるのではないでしょうか?

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