第21節|群馬クレインサンダーズ✕レバンガ北海道の試合レビュー

試合レビュー

つい先日まで群馬のチーム名を群馬クレインサンダー『ス』と言ってたし表記していたHEROです。正しくは群馬クレインサンダー『ズ』でした。その節は失礼しました。Bリーグは今シーズンから追っかけ始めたニワカなので許してくださいm_ _m

では、気を取り直して2025.2.8~2.9にかけて行われた、群馬クレインサンダーズとレバンガ北海道の試合をレビューしていきましょう。

戦前データ

戦前時点での順位は群馬が東2位、北海道東5位です。正直、13勝の北海道が地区中位の順位を持っているのは意外でしたが、他地区で見ると中地区なら8位(同地区8位の川崎ブレイブサンダースが12勝)、西地区なら7位(同地区7位の佐賀バルーナーズが11勝)くらいの順位に相当するようです。「東はレベルが低い」はNBAのみならずBリーグにも言えてしまうのでしょうか?

まずは前回の試合を振り返ってみましょう。

12/11の試合データ

基本スタッツ
群馬クレインサンダーズレバンガ北海道
74PT64
27/57
47.4%
FG24/63
38.1%
7/19
36.8%
3P6/25
24.0%
13/17
76.5%
FT10/12
83.3%
34REB34
7OREB11
27DREB23
19AST18
11TO14
6STL5
4BLK4
13F18
18被F13
詳細スタッツ
8ファストブレイクポイント8
24ペイントエリア内の得点28
19TOからの得点10
72nd Chance PTs13
アドバンスドスタッツ
群馬クレインサンダーズレバンガ北海道
68.48ポゼッション数71.28
試合のペース:69.88
108.06Offensive Rate89.79
89.79Defensive Rate108.06
50.0%REB%50.0%
23.3%OREB%28.9%
71.1%DREB%76.7%
70.4%AST%75.0%
1.08PPP0.90
0.30FTR0.19

リーグが20試合近く消化したこの時期、分析ソースもそれなりに多くなって信頼性も増し、両チームとも少しずつチームの「色」が分かりやすくなってきた時期の1戦。点差こそ10点差とそこまで大した差が無いようにも見えますが、Net Rating (Offensive RateとDefensive Rateの差)を見ると18.27点の差があるため、完全に群馬の試合でした。

ポゼッション数も2ポゼッション以上の差が生じており、その上で点差が10点離れたのは、群馬のオフェンスがより効率的で、群馬のディフェンスがより強固だったことを示しています。FG%の差からも裏付けされるデータですね。

別視点で、FTの欄を赤文字にしていません。基本的には比較して優れている方を赤文字にしていますが、後に各チームごとの分析でも述べる内容に関わるので敢えて挙げておきます。
FTの確率で言うと北海道の方が良いですが、FT試投数の差がある背景もあります。群馬はこの試合前まで平均15本のFTを相手チームに与えていましたが、この試合、それを下回りました。

FG試投数は北海道の方が多いのにFTは群馬よりも下回っていました。試合におけるオフェンスのアグレッシブさを図るFTR(FTA÷FGA)が0.19とかなり低め。ドライブやインサイドの合わせよりもミッドレンジのシュートが多かったのかな?と思ったら予想通りでした。

©りそなグループB.LEAGUE|両チームのショットチャート

インサイドにアタックせず、ミッドレンジに甘んじた結果、低効率なオフェンスに終始していたことが伺えます。「ミッドレンジが良くない!」という白黒の話ではなく、ミッドジャンパーを多用し過ぎていたことがFT試投数に差が生まれたのでしょう。FT試投数が少ないということは、相手のチームのファウルが少なくて、終盤でもディフェンスの強度が落ちにくくなるということにも繋がりますからね。

群馬クレインサンダーズ

過去の試合ではポゼッションが極めて遅いチームでかなり特徴的でしたが、ここ最近、横浜BC・越谷・FE名古屋というB1でも比較的ハイペースなチームとの試合が多かったこともあり、徐々にポゼッション数が70に近付いてきました。

そういう意味では自分たちのバスケットが展開しにくくなっていると見えますが、それでも直近5試合は3勝2敗とまずまずの経過。

ただ、ポゼッション数が多くなってきたことで課題が浮き彫りになってきたのがTO。前節のFE名古屋との第2戦ではTOが嵩んだことで敗北したと言っても過言ではないと個人的には思います。

北海道を見下している意図はないというのは前提ですが、普通にやったら負けないと思います。だけど、TOの悪癖を何とかしないと足元をすくわれる可能性は十分ありそうです。

レバンガ北海道

最近、日本ハムファイターズのホーム球場であるエスコンフィールドでのバスケットボールの試合が行われて少し話題に上がったレバンガ北海道ですが、東地区5位、Bリーグ全体で18位に沈んでいます。
残りのシーズン全勝するくらいの勢いがあればCSワイルドカード枠に滑り込めそうですが、今後、宇都宮や千葉、琉球などの連戦節も控えているため、他チームの勝率を考えると現実的ではありません。

そんな北海道のチームとしての特徴、というか負けが込んでいる原因は結構明らかです。それは「プレーのソフトさ」です。何故そういう印象を持ったか、数値で表してみましょう。

  • FT試投数:13.6本(リーグ24位)
  • 被BLK数:3.26本(リーグ22位)
  • F数:19.29本(リーグ9位)
  • 被F数:17.03本(リーグ22位)
  • FTR(FT試投数/FG試投数):0.21(リーグ24位)

このようにFT試投数やFTを得る割合の指標となるFTRはリーグ最下位。被F数もリーグ最低レベルです。
前述したように比較的ミッドジャンパーを多用するチームなので、ペイントアタックの頻度が少ないことがこの要因と考えられますね。

被BLK数も平均3.26本とかなり多いです。ロスターの平均身長が189.4cmとリーグ23位なので仕方が無いと言えば仕方がありませんが、インサイドを支えるライアン・クリーナー選手(208cm)、トーマス・ウィルシュ選手(213cm)でさえ、平均の被BLK数がそれぞれ0.8本、0.4本とやや多め。オフェンスにとっても当たりが弱いため、相手ディフェンスのブロックポジションに上手く入られてしまっている可能性があります。

F数はリーグ9位でどちらかと言えば多い方。F数が少ないから良い・多いから悪いと一概には言えませんが、Defensive Rateが110点近い中でF数が嵩んでいるのは、ディフェンスにおいてもアグレッシブさが足りず、「ファウルで止めることしかできない」という考察に至りもします。

以上から、総じて「ソフトなチーム」という印象・表現になってしまっているわけです。これでFG%がリーグトップレベルに高ければ、「スマートなチーム」という評価も出来たんでしょうけどね。

戦前比較まとめ

群馬は普通にやれば恐らく負けないと思いますが、再三書いている通り、嵩みやすいTOをどうにかする必要があります。でないと、今節は2連戦なのでアジャストされたら足元をすくわれる可能性が大いにあります。

対して北海道は群馬のTOに付け込みたい所。プレーがソフトであることは一朝一夕に修正することは困難なので、TOからの得点が勝敗のカギを握りそうです。

2/8の試合データ

基本スタッツ
群馬クレインサンダーズレバンガ北海道
70PT55
23/56
41.1%
FG22/59
37.3%
6/23
26.1%
3P5/30
16.7%
18/23
78.3%
FT6/6
100%
34REB35
7OREB7
27DREB28
19AST13
5TO10
4STL3
2BLK1
15F24
24被F15
詳細スタッツ
6ファストブレイクポイント4
22ペイントエリア内の得点20
12TOからの得点2
42nd Chance PTs11
アドバンスドスタッツ
群馬クレインサンダーズレバンガ北海道
64.12ポゼッション数64.64
試合のペース:64.38
109.17Offensive Rate85.09
85.09Defensive Rate109.17
49.3%REB%50.7%
20.0%OREB%20.6%
79.4%DREB%80.0%
82.6%AST%59.1%
1.09PPP0.85
0.41FTR0.10

戦前、群馬は課題のTOを減らすのがカギ、北海道はFTや被Fが少なくてソフトなチームという展望を挙げましたが、あまりにも思った通りの結果になって少し驚いてます。

群馬は前節のFE名古屋戦でTOが16・15と嵩みましたが、この試合では僅か5本に抑えることに成功しました。ASTが19本と一見少なく見えますが、AST%は82.6%とかなりの高水準。持ち前のパッシングオフェンスを如何なく発揮したと言えるでしょう。

また、FTRは今シーズン5番目タイに高い数値を挙げ、北海道の弱点であるファウルディフェンスを引き出すアグレッシブさが光った試合でした。

対する北海道は課題だったFT試投数が増えず、被F数も15本とシーズン平均よりも少ない結果に終わりました。逆手に取りたかったTOからの得点も、逆に群馬の後手に回る、ハッキリ言って完敗でした。

ただ、1つ光明が見えたのが、OREBと2nd Chance PTs。北海道には現在REB数がリーグ1位のウィルシュ選手がいますが、OREB数でもリーグ2位、2nd Chance PTsではリーグ11位にも位置している選手です。
OREB数は同数でOREB%も20.6%とおよそ一般的な数値でしたが、OREB1本あたりの2nd Chance PTsは1.57点とかなりの期待値があります。2戦目ではREB争いを制することが出来れば、もしかしたら金星を挙げることが出来るかも知れません。

2/9の試合データ

基本スタッツ
群馬クレインサンダーズレバンガ北海道
73PT68
22/57
38.6%
FG23/65
35.4%
11/30
36.7%
3P13/36
36.1%
18/24
75.0%
FT9/9
100%
35REB43
7OREB13
28DREB30
19AST11
9TO12
7STL3
5BLK1
15F27
27被F15
詳細スタッツ
6ファストブレイクポイント3
20ペイントエリア内の得点10
14TOからの得点8
52nd Chance PTs20
アドバンスドスタッツ
群馬クレインサンダーズレバンガ北海道
69.56ポジション数67.96
試合のペース:68.76
104.95Offensive Rate100.06
100.06Defensive Rate104.95
44.9%REB%55.1%
18.9%OREB%31.7%
68.3%DREB%81.1%
86.4%AST%47.8%
1.05PPP1.00
0.42FTR0.14

群馬がスコア以上の強さを見せつけた前戦とは打って変わって、試合終了間際まで競った展開に。際立ったのが第2Qで、北海道の盛貫海翔かいと選手の3/4を含む、3Pを7本入れ込んでチームのQ内得点が29得点と荒稼ぎしました。

また、2戦目の展望で「OREBからの2nd Chance PTsを狙っていけば、北海道はワンチャンあるかも」的なことを考察しましたが、まるでカンニングされていたかのように2nd Chance PTsが20点。前戦のスタッツから見えた、およそ期待値通り(OREB1本あたり約1.5得点)の数値でした。

Fの状況については相変わらず。北海道側がFTR:0.10→0.14と若干改善しましたが、ディフェンスにおいてはやはりFをしないと止められないというディフェンスの弱さが群馬のFTRにも現れています。試合最終盤のファウルゲームを差し引いてもFT試投数は21本も群馬が得ていますからね。前述しましたが、この辺の改善は一朝一夕にはいかないので、こういうチームのままシーズンを終えてしまう可能性が高そうです。

群馬側にこの試合に関して言えることとしては、際立ったFG%の低さでしょう。この試合、FG%は38.6%と今シーズン2番目に低い割合でした。メインハンドラーである藤井祐眞選手がFG:2/8、コー・フリッピン選手がFG:0/4とブレーキになりました。パッシングオフェンスが強みであることは疑う余地もありませんが、こういったハンドラー役のフィニッシュ能力が低いのを隠すためのスタイルなのかもしれません。

ただ、朗報としてはエースのトレイ・ジョーンズ選手がコンディション調整のためプレータイムに制限がある中、チームハイの21得点(FG:6/10、3P:3/6、FT:6/7)と活躍しました。34歳という年齢もあるため、あまり頼りすぎたくはないので、今後の藤井選手とコー選手の奮起に期待したい所です。

まとめ

群馬は今節、格下の相手だったとは言え、課題だったTOをそれなりに修正していたのがわかる試合内容でした。今月はこれから代表活動のためのバイウィークとなり、シーズン再開は3月からですが、仙台89ERSとの2連戦を終えた後は渋谷サンロッカーズ→宇都宮ブレックス→千葉ジェッツと強豪との連戦になるため、優勝を目指すなら弱みは見せたくないところです。

代表活動と言えば、群馬からは細川一輝選手がアジア杯予選Window3のロスター候補に召集されましたね。もうアジア杯の本戦出場は決定しているので、日本代表ホーバスHCとしてはメインメンバーの他のXファクターとなるような選手を発掘したいのでしょう。是非ともアピールしてきて欲しいですし、群馬から日本代表を輩出したいです。

ちなみに、細川選手自体は最近3Pが好調です。

  • 2/1@FE名古屋:3/6(50.0%)
  • 2/2@FE名古屋:3/5(60.0%)
  • 2/8北海道:2/4(50.0%)
  • 2/9北海道:2/6(33.3%)

※シーズン平均:2.4/5.9(40.1%)

近々、また候補選手の紹介・分析を行っていきますよー!

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