数字で見る男子バスケ日本代表【FIBAアジアカップ2025予選Window3】|Vol.3

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2025年2月20日と23日に開催されるFIBAアジアカップ2025の予選Window3に代表召集されている選手について、基本スタッツ・アドバンスドスタッツなどからその選手の特徴を見て行きましょう。今回は第2弾です。

※表記順はJBAのこちらの特設ページを基に作成しています。

井上 宗一郎

©越谷アルファーズ
  • ポジション:PF
  • 身長:201cm
  • 体重:105kg
  • 年齢:25歳
  • 所属:越谷アルファーズ
  • 主要な代表歴:2023年W杯、2022年アジア杯

今シーズン成績(~2025.2.9)

基本スタッツ

プレー時間 PTS FG FG% 3P 3P% FT FT% REB OREB DREB AST TO STL BLK 被BLK F 被F EFF +/-
08:252.30.8/1.941.5%0.5/1.535.3%0.3/0.476.9%0.60.20.80.30.40.20.10.01.30.30.9-2.9

アドバンスドスタッツ

ポゼッション TS% eFG% USG% PPP OF Rating DF Rating REB% OREB% DREB% AST% TO% FTR STL%
2.454.8%53.3%3.3%0.9396.79107.287.0%3.4%10.7%6.1%18.0%0.230.0%

直近5試合成績

試合日 対戦相手 H/A S プレー時間 PTS FG FG% 3P 3P% FT FT% REB OREB DREB AST TO STL BLK 被BLK F 被F EFF +/- ポゼッション TS% eFG% USG% PPP OF Rating DF Rating REB% OREB% DREB% AST% TO% FTR STL%
1月29日群馬H06:1200/10.0%0/10.0%0/00001100011-1-620.0%0.0%2.9%0.000.00126.010.0%0.0%0.0%26.9%50.0%0.000.0%
2月1日広島H02:5200/00/00/000000000000-100.0%133.260.0%0.0%0.0%0.0%
2月2日広島H11:5541/250.0%0/02/2100.0%10100001212-62.8869.4%50.0%3.9%1.39138.89104.744.8%0.0%9.9%0.0%0.0%1.000.0%
2月8日大阪08:0521/1100.0%0/00/000001110102-32100.0%100.0%2.8%1.00100.00112.550.0%0.0%0.0%0.0%50.0%0.000.2%
2月9日大阪02:1300/10.0%0/10.0%0/00000000000-1-710.0%0.0%1.3%0.000.0098.110.0%0.0%0.0%0.0%0.0%0.000.0%

考察

ホーバス体制になってから最早お馴染みの選手になっている井上宗一郎選手。「ストレッチ4(3Pが得意なPF)」スタイルの典型的な選手です。

逆に言うと、ストレッチ4としてのプレーしか出来ないのが欠点で、チーム状況的に、インサイドの起用ローテーションがジェフ・ギブス選手、LJ・ピーク選手、ティム・ソアレス選手、カイ・ソット選手という外国籍選手なので、プレーの幅が狭い井上選手は中々プレータイムを与えられません。

ただ、プレータイムさえ与えられれば活躍出来るのは延長を制した1/12千葉ジェッツ戦での活躍を筆頭に、度々証明されています。

15分以上出場した試合での主要スタッツ

  • 1/4@三河:20:11、4得点(FG0/3、FT4/4)
  • 1/5@三河:21:19、6得点(FG2/6、3P2/6)
  • 1/11千葉:33:40、8得点(FG3/7、3P2/5)
  • 1/12千葉:37:05、17得点(FG6/10、3P5/8)
  • 1/25@佐賀:19:10、3得点(FG1/6、3P1/6)
  • Average:7.6得点、FG2.4/6.4(37.5%)、3P2.0/5.6(35.7%)、TS%51.8%

並べるとストレッチ4の選手なのに3P%が36%弱なのはやや物足りないのも分からなくはないですが、得点の効率性などの観点では有力な選手です。

もちろん、代表での立ち位置的には長い時間オンコート出来る選手ではないので、ローテーションの隙間に出ていって、「この5~6分で1,2本3P決めて繋いで来い」という起用法が多いと思います。なので、短い出場時間で結果を残すというのは代表チームにおける井上選手の至上命題でしょう。ディフェンスもそこまで悪い印象はないので、3Pの調子如何によってはどんどんプレータイムも増えていきそうです。

佐土原 遼

©ファイティングイーグルス名古屋
  • ポジション:SF・PF
  • 身長:192cm
  • 体重:97kg
  • 年齢:25歳
  • 所属:FE名古屋
  • 主要な代表歴:2023 3✕3W杯、2022 3✕3W杯

今シーズン成績(~2025.2.9)

基本スタッツ

プレー時間 PTS FG FG% 3P 3P% FT FT% REB OREB DREB AST TO STL BLK 被BLK F 被F EFF +/-
30:3512.44.8/10.247.3%1.2/3.535.2%1.5/2.658.8%2.31.42.41.91.60.50.11.02.42.55.9-0.0

アドバンスドスタッツ

ポゼッション TS% eFG% USG% PPP OF Rating DF Rating REB% OREB% DREB% AST% TO% FTR STL%
12.953.2%50.8%17.2%0.9295.68108.436.4%4.7%8.3%10.8%13.0%0.280.0%

直近5試合成績

試合日 対戦相手 H/A S プレー時間 PTS FG FG% 3P 3P% FT FT% REB OREB DREB AST TO STL BLK 被BLK F 被F EFF +/- ポゼッション TS% eFG% USG% PPP OF Rating DF Rating REB% OREB% DREB% AST% TO% FTR STL%
1月29日三遠32:35164/1330.8%2/540.0%6/6100.0%633131124411-1318.6451.2%38.5%22.6%0.8685.84120.519.0%9.4%8.6%4.2%16.1%0.460.0%
2月1日群馬H35:36166/1060.0%0/20.0%4/757.1%110110002513-714.0861.2%60.0%19.5%1.14113.64126.741.6%2.4%0.0%5.0%7.1%0.700.0%
2月2日群馬H36:44115/1050.0%0/30.0%1/333.3%312230001381614.3248.6%50.0%19.6%0.7776.82108.404.6%3.9%5.1%9.7%20.9%0.300.0%
2月8日長崎H38:33197/1450.0%3/742.9%2/366.7%514710124320116.3262.0%60.7%21.3%1.16116.42123.757.5%2.9%12.6%30.6%6.1%0.210.0%
2月9日長崎H25:17196/1060.0%5/862.5%2/2100.0%2021110102192911.8887.3%85.0%15.6%1.60159.9386.344.4%0.0%7.7%7.0%8.4%0.200.1%

考察

本Window3のキャプテンである吉井裕鷹選手がW杯で知られるようになってから、その泥臭く闘争心むき出しのプレースタイルから、「俺たちの吉井」と呼ばれるようになりましたが、その系譜を受け継いでいるのか、Bリーグ公式から「俺たちの佐土原」と紹介されている佐土原遼選手。今シーズンからBリーグを追っかけているので、どちらが初出か知りませんが(笑)

吉井選手のように闘争心むき出しなプレースタイルかどうかは分かりませんが、スタッツ上はUSG%17%にしてAST%が10.8%と自分で自分のオフェンスをクリエイトする、かなりアグレッシブなプレーをする選手であると読み取れます。

佐土原選手のアグレッシブスタイルを裏付けるデータは他にもあります。

  • 平均得点:12.4点(日本人選手登録で11位)
  • 平均FG試投数:10.7本(同10位)
  • 平均2PFG試投数:6.7本(同7位)

【日本人登録選手】となると、Bリーグの公式上、帰化選手も日本人としてカウントされていますが、これらの項目で佐土原選手よりも明確に上にいるのは、ジョシュ・ホーキンソン選手とライアン・ロシター選手しかいません。なので、今回招集されたメンバーの中では平均得点が最も高い選手ということになります。このアグレッシブさは5人制とレギュレーションの異なる3✕3で磨かれたものなのかもしれませんね。

そのアグレッシブさが逆に仇となっているのが、TOやファウル状況。USG%17%に対してTO%13%は少し高過ぎです。2ndエースとしてボールを保持していることが多い選手なので、その中で13%ポゼッションを失っていることになりますからね。そこが改善されるとオフェンスの効率性(PPP:0.92、OF Rating:95.68)もだいぶ上がってくるかもしれません。

また、ファウルを貰うことも多い選手ですが、同時にファウルを冒すことも多い選手。平均2.4回ですが、4ファウルやファウルアウトになることもしばしば。その辺は少し吉井選手に似てますね。

記事編集時点では中国戦が終わり、その試合はロスター外でしたが、モンゴル戦では投入されるはず。是非とも大暴れしてもらいたい所です。

中村 拓人

©広島ドラゴンフライズ
  • ポジション:PG
  • 身長:184cm
  • 体重:79kg
  • 年齢:23歳
  • 所属:広島ドラゴンフライズ
  • 主要な代表歴:ー

今シーズン成績(~2025.2.9)

基本スタッツ

プレー時間 PTS FG FG% 3P 3P% FT FT% REB OREB DREB AST TO STL BLK 被BLK F 被F EFF +/-
25:5210.84.4/10.044.2%1.2/3.733.3%0.7/1.260.5%1.50.42.12.92.21.40.00.62.31.85.0-2

アドバンスドスタッツ

ポゼッション TS% eFG% USG% PPP OF Rating DF Rating REB% OREB% DREB% AST% TO% FTR STL%
12.849.9%49.1%17.4%0.8384.80112.715.2%1.8%8.5%21.3%17.0%0.120.1%

直近5試合成績

試合日 対戦相手 H/A S プレー時間 PTS FG FG% 3P 3P% FT FT% REB OREB DREB AST TO STL BLK 被BLK F 被F EFF +/- ポゼッション TS% eFG% USG% PPP OF Rating DF Rating REB% OREB% DREB% AST% TO% FTR STL%
1月29日島根18:3573/933.3%1/333.3%0/20.0%00052400017-911.8835.4%38.9%16.5%0.5958.92121.160.0%0.0%0.0%47.7%16.8%0.220.3%
2月1日越谷26:56269/1752.9%3/837.5%5/683.3%5054320024272022.6466.2%61.8%30.2%1.15114.84120.6412.0%0.0%21.2%27.5%13.3%0.350.1%
2月2日越谷24:2272/633.3%1/1100.0%2/450.0%20231100127108.7645.1%41.7%12.1%0.8079.9188.704.7%0.0%9.1%21.7%11.4%0.670.1%
2月8日千葉H23:56176/1154.5%4/757.1%1/250.0%10123001329-414.8871.5%72.7%19.5%1.14114.25116.932.1%0.0%4.6%15.9%20.2%0.180.0%
2月9日千葉H28:13198/1361.5%3/650.0%0/0000422004115-91573.1%73.1%18.8%1.27126.67128.400.0%0.0%0.0%27.4%13.3%0.000.1%

考察

前回のWindow2に召集されて今回も続けて招集。スタッツの集計をしていて何となくこんな違和感を感じました。

筆者
筆者

中村選手、Window2終わってプレーの意識変わった?

と思ったので、Window2前後でのスタッツの変化を見て行きましょう。赤字は改善青字は下降を示しています。

Window2以前Window2以後
9.9PT11.4
4.4/10.5
41.5%
FG4.5/9.7
46.1%
1.0/3.9
25.9%
3P1.4/3.6
38.7%
0.2/0.6
33.3%
FT1.1/1.6
67.6%
3.0
(0.7/2.4)
REB
(OREB/DREB)
2.1
(0.2/1.9)
3.2AST2.8
2.7TO1.9
1.3STL1.5
0.1BLK0.0
1.0被BLK0.3
2.6F2.0
1.8被F1.8
6.5ETF9.6
-6.7+/-1.6
13.5ポゼッション数12.3
46.6%TS%52.0%
46.9%eFG%50.5%
18.7%USG%16.5%
0.75PPP0.88
75.01Offensive Rating88.08
118.82Defensive Rating108.64
6.2%
(2.8%/10.2%)
REB%
(OREB%/DREB%)
4.5%
(1.2%/7.4%)
22.8%AST%20.4%
19.1%TO%15.5%
0.06FTR0.16
0.1%STL%0.1%

ザックリまとめると、AST・AST%・保有ポゼッション・USG%が下降し、得点面やTOを含めた効率性が向上しました。

「PGなのにアシストが下がってちゃダメじゃないか!」という人もいるかも知れませんが、下降の程度はそこまで多くなく、USG%も下がっているので、逆に考えるとオフボールでの動きが良くなったのかもしれません。

特筆すべきはやはりシュート効率の向上で、試投数は減っていても成功数が増えているので、それだけショットセレクションも良くなっているということです。
特にFT面の改善が嬉しいですね。成功率も含め、まだまだそこまで多くはないですが、FTの獲得は約3倍に増えました。過去記事で触れた部分がWindow2を経て、本人も意識的に取り組んだのかもしれません。

そんな中村選手の変化に呼応してか、それは分かりませんが、Window2前はチームは3勝11敗に対し、Window2以後は14勝9敗と勝ち越していますから、彼の変化はチームにとっても大きかったでしょう。

まとめ

今回は井上選手・佐土原選手・中村選手の3人をピックアップしました。いずれの選手も潜在能力の高さを思わせる選手たちでした。

中国戦ではいずれの選手も活躍できたとは言えず、佐土原選手に至ってはロスター外でした。モンゴル戦での奮起を期待したいです!

次回は脇真大選手・金近廉選手・渡邉伶音選手の3人をピックアップしていきます。注目の若手枠回です!!

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