2025/10/4~10/5で開催された、シーホース三河@群馬クレインサンダーズの試合をレビューしていきましょう。
戦前データ
前回同様、現在のロスターから読み取っていきましょう。
シーホース三河
三河は昨シーズンワイルドカードでCSに出場。ロスター的にはアーロン・ホワイト選手が新たに加入した他、主要ロスターに変わりありません。昨シーズンの布陣で成長したら、更に上位を狙えるということなのでしょうか?
三河のエースはBリーグ通算のトップスコアラーであるダバンテ・ガードナー選手。3年連続得点王を獲得した2017-18~2019-20シーズン(PPG:29.5、27.6、23.4)のような化け物じみた得点力は流石になりを潜めましたが、昨シーズンのCSでは2試合のスモールサンプルながら21.0得点と、年齢を重ねた今も健在です。
また、スコアラーとしてはアウトサイドからのジェイク・レイマン選手も強力。2023-24シーズンからBリーグに参戦しましたが、昨シーズンは3Pを5.5本/G打ちながら、38.8%という素晴らしいシューターであることを証明し続けています。
昨シーズンの印象としては、アイソレーションを基軸としたチームスタイルという感じ。昨シーズンのチーム平均ASTはリーグ8位の20.2ASTと上位に位置しています。この背景にはスコアラーであるガードナー選手がCに限定した平均AST数が3.4ASTとリーグのCの中では4位に位置付けていることが影響していそうです。
スコアラーであるガードナー選手がインサイドへディフェンスを収縮させて、周りの選手のカッティングやスポットアップでシュートを決めるという、シンプルかつ強力なチームスタイルですね。
個人的には今シーズン、西田優大選手に注目していきたい所。今シーズン27歳となるシーズンで、バスケ選手としてはピークに差し掛かろうという年代の選手です。
西田選手は日本代表にも選出されるほどの選手ですが、批判を覚悟でいうと、「自分は過小評価しているんではないか?」と思えるほど、日本代表では期待外れと感じることが多いです。
背景には、「2nd ハンドラーとしてもっと出来る・もっと得点できる」とも思っているので、その期待を下回っていることが多いからですね。
今後、中心を担っていってほしいと思うからこそ、今シーズンは西田選手に注目していきたいと思います。
群馬クレインサンダーズ
こちらも昨シーズン、ワイルドカード枠でCSに出場した群馬。
昨シーズンのロスターを崩さなかった三河に対し、群馬はオフシーズンに主要ロスターの変更を敢行しました。
ただ、オフシーズンの動きとしては中々良く、昨シーズン層の薄かったPGに日本代表召集経験もある中村拓人選手や、同じく昨シーズン広島に所属していたケリー・ブラックシアーJr選手、フィリピン代表にも選ばれているAJ・エドゥ選手が加入しています。
この補強の良いところは、中村選手・ブラックシアーJr選手が昨シーズン同一チームだったということ、加えて、広島がB1優勝した2023-24シーズンのHCだったカイル・ミリングHCとも意思疎通が取りやすいところがまず大きいです。
戦術面の変化としては、中村選手・藤井祐眞選手の2ガードを敷けるので、戦術の幅が広がっていくことが予想されます。
他にも、エドゥ選手は昨シーズンのBLK数が1.4本とリムプロテクターとしての役割も期待できます。昨シーズン所属していたケーレブ・ターズースキー選手からアップグレードしたかは重要な部分ではありますが、エースであるトレイ・ジョーンズ選手の負担を少しでも軽く出来る貢献度を期待したいですね。
10/4の試合データ
各チームを振り返ったところで、それでは今節の試合のデータを振り返っていきましょう。
尚、今シーズンからデータ内容を増やし、より詳細な分析が出来るように試みていますが、群馬の試合ではショットシチュエーションにも注目して分析していきます。
ただ、大変申し訳ないですが、10/4単体のショットシチュエーションデータを保存していなかったので、こちらの項ではXに投稿した内容のみの記載になります。
※ショットシチュエーションについて
基本スタッツ(10/4)
シーホース三河 | 群馬クレインサンダーズ | |
58 | PT | 75 |
22/61 36.1% | FG | 25/63 39.7% |
16/37 43.2% | 2P | 16/33 48.5% |
6/24 25.0% | 3P | 9/30 30.0% |
8/12 66.7% | FT | 16/23 69.6% |
38 | REB | 42 |
11 | OREB | 14 |
27 | DREB | 28 |
14 | AST | 16 |
14 | TOV | 9 |
3 | STL | 5 |
1 | BLK | 6 |
19 | F | 17 |
詳細スタッツ
シーホース三河 | 群馬クレインサンダーズ | |
72.7% | %FGM2P | 64.0% |
27.3% | %FGM3P | 36.0% |
60.7% | %FGA2P | 52.4% |
39.3% | %FGA3P | 47.6% |
55.2% | %PT2P | 42.7% |
31.0% | %PT3P | 36.0% |
13.8% | %PTFT | 21.3% |
7 | Points Off TOV | 21 |
6 | Fast Break Points | 12 |
9 | 2nd Chance Points | 21 |
32 | Paint In the Points | 30 |
16 | Bench Points | 20 |
2/6 (4) | After TO Results (Points) | 2/2 (5) |
-1 | After TO +/- | 1 |
アドバンスドスタッツ
シーホース三河 | 群馬クレインサンダーズ | |
69.28 | ポゼッション数 | 68.12 |
試合のペース:68.7 | ||
83.72 | Offensive Rate | 110.10 |
110.10 | Defensive Rate | 83.72 |
43.8% | TS% | 51.3% |
41.0% | eFG% | 46.8% |
0.78 | POT Efficasy | 1.50 |
0.82 | 2nd Chance Efficasy | 1.50 |
47.5% | REB% | 52.5% |
28.9% | OREB% | 34.1% |
65.9% | DREB% | 71.8% |
63.6% | AST% | 64.0% |
17.4% | TOV% | 11.0% |
0.84 | PPP | 1.10 |
0.67 | After TO PPP | 2.50 |
0.20 | FTR | 0.37 |
戦評
ディフェンスが40分間機能した試合
この試合、まず注目すべきは昨シーズン平均得点:81.72Ptsの三河を僅か58得点に抑えた群馬のディフェンス力。2P%:43.2%、3P%:25.0%とどちらのシュートも抑えていました。この試合のDefensive Rateは83.72。単なる相手のシュートミスではなく、チームのDFそのものが機能していたことを示唆しています。
三河のオフェンスの基点となるガードナー選手へ試合序盤から積極的にダブルチームを仕掛けたり、ハードにディフェンスをすることで、落ち着いてプレーをさせなかったことが良かったです。ガードナー選手のSelf-Make FGがこの試合3/8(37.5%)、しかも前半だけで2/6(33.3%)というだったので、序盤から相手の得意なシチュエーションにもっていかなかったことが大きな勝因でしょう。
また、STL:5本、BLK:6本とアクティブな守備も光りました。その内、新加入エドゥ選手が3BLKを記録し、先述した期待通りのリムプロテクターとして活躍してくれました。
オフェンスでは積極的なペイントアタック
オフェンス面では確率面では決して優秀な数字を残してはいませんが、FTA:23本を獲得(FTR:0.37)したり、2nd Chance PTsが21得点(Efficasy:1.50)するなど、積極的なプレーでオフェンスを引っ張りました。
2nd Chance PTsを多く獲得した要因とも言えるOREBは14本でOREB%では34.1%と高水準だったことが、この結果に表れていますね。
理想的なミドルテンポ・バスケ
昨シーズンのリーグ平均の試合ペースはおよそ72~74ポゼッションと言われている中、この試合は68.7と遅め。
その上で、Net Rating(=OF Rate-DF Rate)が+26.38という圧倒的な数字を記録したので、「ゆっくり、だが確実に勝つ」という群馬の理想的な戦略がハマった試合と言えます。
TS%:51.3%、eFG%:46.8%と派手な数字ではありませんでしたが、FTによる得点の上澄みでPPP:1.10と記録しているので、オフェンスが爆発しなくても勝ち切れたのは良かったと思います。
10/5の試合データ
基本スタッツ
シーホース三河 | 群馬クレインサンダーズ | |
98 | PT | 71 |
35/71 49.3% | FG | 25/60 41.7% |
22/41 53.7% | 2P | 17/33 51.5% |
13/30 43.3% | 3P | 8/27 29.6% |
15/17 88.2% | FT | 13/15 86.7% |
37 | REB | 32 |
16 | OREB | 12 |
21 | DREB | 20 |
23 | AST | 18 |
6 | TOV | 13 |
7 | STL | 2 |
1 | BLK | 4 |
17 | F | 24 |
詳細スタッツ
シーホース三河 | 群馬クレインサンダーズ | |
62.9% | %FGM2P | 68.0% |
37.1% | %FGM3P | 32.0% |
57.7% | %FGA2P | 55.0% |
42.3% | %FGA3P | 45.0% |
44.9% | %PT2P | 47.9% |
39.8% | %PT3P | 33.8% |
15.3% | %PTFT | 18.3% |
21 | Points Off TOV | 2 |
16 | Fast Break Points | 9 |
17 | 2nd Chance Points | 12 |
44 | Paint In the Points | 22 |
33 | Bench Points | 20 |
2/2 (4) | After TO Results (Points) | 3/6 (8) |
0 | After TO +/- | 4 |
アドバンスドスタッツ
シーホース三河 | 群馬クレインサンダーズ | |
68.48 | ポゼッション数 | 67.60 |
試合のペース:68.04 | ||
143.11 | Offensive Rate | 105.03 |
105.03 | Defensive Rate | 143.11 |
62.4% | TS% | 53.3% |
58.5% | eFG% | 48.3% |
1.62 | POT Efficasy | 0.33 |
1.06 | 2nd Chance Efficasy | 1.00 |
53.6% | REB% | 46.4% |
44.4% | OREB% | 36.4% |
63.6% | DREB% | 55.6% |
65.7% | AST% | 72.0% |
7.1% | TOV% | 16.3% |
1.43 | PPP | 1.05 |
2.00 | After TO PPP | 1.33 |
0.24 | FTR | 0.25 |
戦評
1戦目からのアジャストが成功した三河
前回の試合とは打って変わって、三河のオフェンスが爆発。Offensive Rateは驚異の143.11を記録しました。
試合を通して観ていて印象的だったのが、ガードナー選手のプレーの変化。1戦目は序盤から群馬のDFに煽られてか、ポストアタックから強引にシュートを試みていましたが、2戦目のこの試合はダブルチームに対しても落ち着いて対処していました。
また、OREB後も落ち着いており、すぐさま2nd Chanceを狙うのではなく、OFをセットしなおすなど、チームとしてゲームコントロールを意識してプレーを構築している様子が随所に表れていました。
アッパレだった三河の3Pシュート
そんな三河オフェンスを称えるべき・特筆すべきは3Pシュートで、13/30で43.3%という記録。FTの確率を考慮しないeFG%は58.5%を記録し、終始群馬のディフェンスを圧倒しました。
この試合、三河の3P%が高かった背景として、今シーズンから注目することにしたショットシチュエーションから読み解いていきます。
一般的に3Pシュートの確率は【Catch&Shoot(以下C&S)>Moving≧Pull-Up】と言われます。1戦目と3P%の確率がそこまで変わらなかった群馬(1戦目:30.0%、2戦目:29.6%)のC&SとMoving・Pull-Upの比率は15:12に対し、三河は17:10と明らかにC&Sの割合が高かったです。
また、シチュエーションごとの確率を見ても、C&S:12/17で70.6%と高確率。Wide-Openシチュエーションでは3/3と100%の確率を残しました。
中でもシューターとして紹介したレイマン選手はこの試合3Pは5/7。C&S:3/4(75.0%)・Pull-Up:2/2(100%)で、Wide-Openシチュエーションでも2/2と確実に決め切りました。
反面、アジャスト出来なかった群馬
1戦目からのアジャストに成功した三河ですが、群馬は三河のアジャストに対応できなかったのがこの試合の敗因でしょう。
1戦目、2nd Chance PTsで優位に立った群馬に対し、三河は2-3ゾーンで対応する場面が結構ありました。
しかも、その2-3ゾーンディフェンスもやや変則的で、シューターとなる辻直人選手や細川一輝選手のCatch&Stand時には積極的にダブルチームを仕掛けるなど、簡単に3Pシュートを打たせないディフェンスを展開していました。
中村選手が何度か打開を試み、その度、キックアウトして味方のコーナー3Pを演出していましたが、レシーバー側のC&Sは5/14(35.7%)、内、Wide-Openシチュエーションが2度ありましたが、いずれも決め切ることが出来ず。肝心の確率が奮いませんでした。
あまり言いたくないが、審判…
スポーツ観戦においてタブー視されがちなことではありますが、この試合、審判の判定に一貫性が無いなと感じた場面が何度かありました(あくまで個人的な意見です)。
敗戦濃厚だったからストレスが溜まっていたのも背景としてあるかもしれませんが、非常に温厚な性格(らしい?)ブラックシアーJr選手がファウルアウト後に更にテクニカルファウルを吹かれて退場処分(ベンチからも退場)を強いられました。
某Youtuberが時々訴える言葉を借りるならば、「俺たちは選手のプレーを観たいんだ。お前らの判定を観たいんじゃない」という感じでした。
もちろん、裁く側も人間なので、ブレが生じてしまうのは仕方がないことだと理解はしてます。けど…ねぇ?(笑)
まとめ
開幕節を1勝1敗で終えた両チームですが、【アジャスト出来た三河】と【アジャスト出来なかった群馬】で明暗が分かれました。
群馬にとってキツイな、と思ったのは、1戦目とオフェンス面が対して変わっていないことなんですよね。2戦ともPPPは1.00を上回っており、ある程度機能していても勝てなかった、というのが個人的にはキツかったです。
ただ、これからまだシーズンは続くので、昨シーズン初めてCSに出場しましたから、今シーズンはジャンプアップしていってもらいたいですね。
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DAZN

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また、地味ながらDZANの評判の良いところは、試合中の実況・解説がTVを含めた他の配信サービスよりも良い意味で控えめというところ。
他のサービスだと、絶え間なく実況アナウンサーが喋り続けて、観る側からしたら「まだそこまでじゃないけど…」というようなタイミングでも大袈裟に「決まったーッ!!」と騒いだり、必要以上に選手を持ち上げて、試合観戦に集中できないというコメントがよく目に付きます。
その点、DAZNでは必要十分な実況・解説コメント(TVとかは過剰過分)で、選手やプレーを称える瞬間も大騒ぎしません。海外スポーツの中継は割とこういったメリハリが主流ですよね。
ただ、DAZNは競技ごとの料金が無く、月額料金が3,200円~と、他と比べてお高めなので、その辺はよく検討してください。
蛇足かもしれませんが、アニメなどサブカルにも興味がある人は、【DMMプレミアムDAZNホーダイ】も検討の余地アリです。

DAZN視点だと、月額3,200円~に+280円(税込み)するだけで、アニメや漫画などのサブカル作品が見放題。もちろん、DMMにもスポーツアニメが多数存在します。
「バスケしか見ないのに3,200円は高い」と思っても、「+280円でアニメや漫画も見れる!」という嬉しさがありますね。
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