2025/11/1~11/2で開催された、群馬クレインサンダーズ@横浜ビー・コルセアーズの試合をレビューしていきましょう。
戦前データ
お互い、戦前では4勝6敗と開幕から苦しんでいる両チームになります。
群馬クレインサンダーズ


昨シーズンに比べて、DFのレベルが2段階くらい低下した印象のある群馬。

PoA-DF(ハンドラーに対するマッチアップDF)が課題だよなぁ…。
そんなことを考えていましたが、昨シーズンのロスターと比較してみたら、実はその役割をこなす(もしくはピンポイントで備えていた)選手はいませんでした。
その上で考えられるのは、今シーズンのロスターが変わった部分であるフロントコート陣のDFの意識とDFルールの理解不足。
昨シーズンはベテランのマイケル・パーカー選手、ビッグマンのケーレブ・ターズースキー選手、フィジカルなDFと献身性の高い八村阿蓮選手がいましたが、今シーズンはケリー・ブラックシアーJr選手、AJ・エドゥ選手に変わりました。
その辺を考えると、群馬のDFに波があるのはアンカー役となるビッグマンの意識や理解の問題があるかもしれませんね。そんなことを思い、今節はリムプロテクターのエドゥ選手のDFを注目していきたい所です。
横浜ビー・コルセアーズ


横浜は昨シーズンのコアメンバーであったダミアン・イングリス選手、キーファー・ラベナ選手、ゲイリー・クラーク選手、キング開選手らはそのままに、島根でエースPGを務めていた安藤誓哉選手を加えて今シーズン挑んでいます。
安藤選手は典型的なスコアリングハンドラーな選手という印象。2023-24シーズンには、日本人選手としては非常に珍しく、PPG:20.4Ptsを記録するなど、非凡な得点能力を持っています。今シーズンも日本人プレーヤーに限ると、平均得点はトップクラスなのは変わりありません。
また、横浜BCを聞くと、昨シーズンのある試合で千葉の富樫選手のオフボールを完全に無効化させていた森井健太選手がどのようなプレーを見せるのか興味があります。
スコアリングに特化した安藤選手との2ガードの布陣はDFに強みのある森井選手と役割が被らないため、結構相性は良さそうですからね。
11/1の試合データ
各チームを振り返ったところで、それでは今節の試合のデータを振り返っていきましょう。
尚、今シーズンからデータ内容を増やし、より詳細な分析が出来るように試みていますが、群馬の試合ではショットシチュエーションにも注目して分析していきます。
※ショットシチュエーションについて
基本スタッツ
| 群馬クレインサンダーズ | 横浜ビー・コルセアーズ | |
| 87 | PT | 80 |
| 29/58 50.0% | FG | 27/62 43.5% |
| 17/29 58.6% | 2P | 14/32 43.8% |
| 12/29 41.4% | 3P | 13/30 43.3% |
| 17/19 89.5% | FT | 13/16 81.3% |
| 32 | REB | 32 |
| 9 | OREB | 13 |
| 23 | DREB | 19 |
| 19 | AST | 20 |
| 12 | TOV | 11 |
| 6 | STL | 5 |
| 3 | BLK | 3 |
| 17 | F | 23 |
詳細スタッツ
| 群馬クレインサンダーズ | 横浜ビー・コルセアーズ | |
| 58.6% | %FGM2P | 51.9% |
| 41.4% | %FGM3P | 48.1% |
| 50.0% | %FGA2P | 51.6% |
| 50.0% | %FGA3P | 48.4% |
| 39.1% | %PT2P | 35.0% |
| 41.4% | %PT3P | 48.8% |
| 19.5% | %PTFT | 16.3% |
| 15 | Points Off TOV | 6 |
| 9 | Fast Break Points | 2 |
| 10 | 2nd Chance Points | 10 |
| 34 | Points In the Paint | 20 |
| 38 | Bench Points | 45 |
() | After TO Results (Points) | () |
| After TO +/- |
アドバンスドスタッツ
| 群馬クレインサンダーズ | 横浜ビー・コルセアーズ | |
| 69.36 | ポゼッション数 | 67.04 |
| 試合のペース:68.20 | ||
| 125.43 | Offensive Rate | 119.33 |
| 119.33 | Defensive Rate | 125.43 |
| 65.6% | TS% | 57.9% |
| 60.3% | eFG% | 54.0% |
| 1.36 | POT Efficasy | 0.50 |
| 1.11 | 2nd Chance Efficasy | 0.77 |
| 50.0% | REB% | 50.0% |
| 32.1% | OREB% | 36.1% |
| 63.9% | DREB% | 67.9% |
| 65.5% | AST% | 74.1% |
| 15.3% | TOV% | 13.7% |
| 1.25 | PPP | 1.19 |
| After TO PPP | ||
| 0.33 | FTR | 0.26 |
Shoot Summary
この試合から、2PFGのシチュエーションを網羅出来るように、リム周辺のシュートを【Short-Jumper】、あまりシチュエーションとしては多くならないですが、DFに覆いかぶさるように打つシュートを【Push】、OREB後にタップして決めるシュートを【Tip-In】として集計を行っています。
| 群馬クレインサンダーズ | 横浜ビー・コルセアーズ | |
| 7/11 63.6% | Self-Shootmake | 6/13 46.2% |
| 0/3 0.0% | MID-Jumper | 5/11 45.5% |
| 5/7 71.4% | Short-Jumper | 4/6 66.7% |
| 0/0 – | Push | 0/2 0.0% |
| 1/3 33.3% | Floater | 1/2 50.0% |
| 10/13 76.9% | Lay-Up | 4/10 40.0% |
| 1 | Dunk | 0 |
| 0 | Tip-In | 0 |
| 8/20 40.0% | Catch&Shoot | 11/21 52.4% |
| 3/3 100.0% | Moving | 0/4 0.0% |
| 1/6 16.7% | Pull-Up | 1/6 16.7% |
| 3/7 42.9% | Wide-Open | 2/7 28.6% |
戦評
結果は肉薄していたが、プレーの質が高かったのは群馬
終盤までもつれ込んだ試合にはなりましたが、試合を通して観て感じたのは、終始、質の高いプレー運びをしていたのは群馬だった印象を受けました。
と言うのも、横浜はパスの質がとにかく悪く、ドライブやポストアップしてペイントタッチをしても、その後のキックアウト・パスがシューターがしっかりミートできるパスにならず、シューターとしても波に乗りにくい展開だったように思います。
それでもCatch&Shootが11/21(52.4%)だったのは集計して初めて知ったデータで、何に差が出たかと考えると2PFGの部分。
2PFGは群馬が17/29(58.6%)に対し、横浜は14/32(43.8%)。Lay-Upに限ると群馬は10/13(76.9%)と横浜の4/10(40.0%)に大きく差をつけました。P.O.T:15-6、F.B.Pts:9-2、Pts.I.P:34-20というデータから分かるように、群馬の方がイージーなプレーを選択して得点効率を高くしていたことが影響しているでしょう。
スターティングラインナップを大きく変えてきた群馬
これまでもスターターを細かく変えてきてはいましたが、この試合で印象的だったのはエースのトレイ・ジョーンズ選手を6thマンに据え、ビッグマンの枠にエドゥ選手ではなくヨハネス・ティーマン選手、シューター枠には中々調子の上がらなかった細川一輝選手に変えて辻直人選手となり、【藤井・中村・KBJ・辻・JT】という珍しい布陣に。
この変更がどのような効果を生み出していたのかは、試合を観終えた現在でも分かりませんが、2ガードとしたのは、横浜BCに森井選手という強力なオフボールディフェンダーの対策にしていたのは分かります。
また、これはあくまで筆者個人の見解ですが、細川選手の調子を考え、本人のマインドセットの変化をさせるための物だったのかもしれません。現に、この試合に限っては3P:3/5(60.0%)と結果を残しました。
実はかみ合ってない安藤選手?
今シーズン注目の安藤選手でしたが、この試合、ショットクリエイトが上手く行かず、Self-Shootmakeは0/5。シュートタッチが終始安定せず、得点は第3Qに3Pを1本決めたのみで、第2Qに至ってはAttemptが1本もありませんでした。
横浜BCの得点パターンはイングリス選手・クラーク選手のポストアップからのアイソレーション、Catch&Shoot 3Pばかりで展開が作れず、終盤になってやっとラベナ選手のペイントアタックからのLay-Upが決まりだしたものの、基本的にはそれ以外に連動したOFがあまりありませんでした。
安藤選手のASTも僅かに2本で、スコアラーとしてもハンドラーとしても貢献が出来ず、ETFも-1と本来のパフォーマンスとは程遠いものになっていました。
11/2の試合データ
基本スタッツ
| 群馬クレインサンダーズ | 横浜ビー・コルセアーズ | |
| 89 | PT | 82 |
| 27/63 42.9% | FG | 30/68 44.1% |
| 18/29 62.1% | 2P | 23/45 51.1% |
| 9/34 26.5% | 3P | 7/23 30.4% |
| 26/34 76.5% | FT | 15/20 75.0% |
| 36 | REB | 42 |
| 9 | OREB | 12 |
| 27 | DREB | 30 |
| 24 | AST | 22 |
| 10 | TOV | 16 |
| 10 | STL | 6 |
| 7 | BLK | 2 |
| 20 | F | 28 |
詳細スタッツ
| 群馬クレインサンダーズ | 横浜ビー・コルセアーズ | |
| 66.7% | %FGM2P | 76.7% |
| 33.3% | %FGM3P | 23.3% |
| 46.0% | %FGA2P | 66.2% |
| 54.0% | %FGA3P | 33.8% |
| 40.4% | %PT2P | 56.1% |
| 30.3% | %PT3P | 25.6% |
| 29.2% | %PTFT | 18.3% |
| 22 | Points Off TOV | 10 |
| 13 | Fast Break Points | 14 |
| 9 | 2nd Chance Points | 12 |
| 28 | Paint In the Points | 44 |
| 23 | Bench Points | 31 |
() | After TO Results (Points) | () |
| After TO +/- |
アドバンスドスタッツ
| 群馬クレインサンダーズ | 横浜ビー・コルセアーズ | |
| 78.96 | ポゼッション数 | 80.80 |
| 試合のペース:71.00 | ||
| 112.72 | Offensive Rate | 101.49 |
| 101.49 | Defensive Rate | 112.72 |
| 57.1% | TS% | 53.4% |
| 50.0% | eFG% | 49.3% |
| 1.38 | POT Efficasy | 1.00 |
| 1.00 | 2nd Chance Efficasy | 1.00 |
| 46.2% | REB% | 53.8% |
| 23.1% | OREB% | 30.8% |
| 69.2% | DREB% | 76.9% |
| 88.9% | AST% | 73.3% |
| 11.4% | TOV% | 17.2% |
| 1.13 | PPP | 1.01 |
| After TO PPP | ||
| 0.54 | FTR | 0.29 |
Shoot Summary
| 群馬クレインサンダーズ | 横浜ビー・コルセアーズ | |
| 5/13 38.5 | Self-Shootmake | 7/16 43.8% |
| 5/8 62.5% | MID-Jumper | 7/14 50.0% |
| 1/3 33.3% | Short-Jumper | 3/4 75.0% |
| 0/0 – | Push | 0/2 0.0% |
| 1/1 100.0% | Floater | 0/1 0.0% |
| 9/15 60.0% | Lay-Up | 10/17 58.8% |
| 1 | Dunk | 0 |
| 1 | Tip-In | 3 |
| 7/22 31.8% | Catch&Shoot | 6/17 35.3% |
| 2/2 100.0% | Moving | 0/1 0.0% |
| 0/9 0.0% | Pull-Up | 1/7 14.3% |
| 1/3 33.3% | Wide-Open | 5/9 55.6% |
戦評
JT選手の欠場を感じさせなかった群馬
1戦目の負傷により脳震盪の診断で欠場及び長期離脱が確実となってしまったJTが欠け、ビッグマンがKBJとエドゥ選手のみの布陣となってしまった群馬。
JTはOFではHubの役割を果たし、必要な時に必要な得点を決めてくれる潤滑油的な選手だと個人的に思っていたので、OFが停滞する時間帯があるのではないかと思っていました。
最終盤まで横浜BCにリードを奪われていたため、JT欠場の影響は多少あったと思いますが、中村選手の打開が効いた(キャリアハイ26得点)のと、KBJのFT獲得(FTA:14本)によって横浜BCに追いすがっていました。
群馬はチームBLK:7本、STL:10本
戦前の注目としていたDFアンカーのエドゥ選手が3BLK。他に中村・KBJ・ジョーンズの3選手も1BLKを記録していますが、エドゥ選手の要所でのBLKがかなり大きかったです。終盤のターズースキー選手相手に決めたBLKは、展開から考えても殊勲のBLKでした。
また、DF面ではSTLも10本記録するなど、P.O.T:22得点、F.B.Pts:13得点の足掛かりになる良いDFが多かったです。
STLに関しては「ボールムーブを読んでいた」というよりも、各選手のクローズアウトDFから相手選手のTOVを誘って記録したものが多かったのが、DFでリズムを作れた要因でしょう。終盤の追い上げに繋がるDFでした。
この試合、DF Rateは101.49と今シーズン3番目に低い水準。それ以下になると80点台で出来過ぎ感があるので、このくらいの水準が最も安定感を感じるDFになりそうです。
復調を期待したい細川選手
この試合、印象的だったのが細川選手のプレーで、これまではCatch&ShootがAttemptのほとんどだったのが、ペイントアタックも何度か繰り返していました。
それ自体が細川選手自身の得点に繋がったことはありませんでしたが、Catch&Shooterという役割柄、ゲーム中にボールタッチする機会がほとんどないので、シュートタッチも掴みにくいのが、この手のタイプの選手の苦しいところ。
もちろん、その上でシュートを決める能力が求められますが、目先の勝利(結果勝ったけど)よりも細川選手の復調をカイル・ミリングHCも望んでいたのでしょうか?
チーム内でシューターと言えるのは細川選手と辻選手くらいなので、チームOFの幅を広げるためにも復調のきっかけにしてほしいところですね。
まとめ
戦績上、4勝6敗で開幕からピリッとしなかったチーム同士の戦いでしたが、群馬が2連勝するという結果に、筆者を含め群馬ブースターはホッとしたのではないでしょうか?
JTの長期離脱と細川選手の復調のきっかけという、二極化したイベントが起きた今節でしたが、日本代表のバイウィーク期間がある11月は勢いをつけていってもらいたい所です。
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その点、DAZNでは必要十分な実況・解説コメント(TVとかは過剰過分)で、選手やプレーを称える瞬間も大騒ぎしません。海外スポーツの中継は割とこういったメリハリが主流ですよね。
ただ、DAZNは競技ごとの料金が無く、月額料金が3,200円~と、他と比べてお高めなので、その辺はよく検討してください。
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DAZN視点だと、月額3,200円~に+280円(税込み)するだけで、アニメや漫画などのサブカル作品が見放題。もちろん、DMMにもスポーツアニメが多数存在します。
「バスケしか見ないのに3,200円は高い」と思っても、「+280円でアニメや漫画も見れる!」という嬉しさがありますね。


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