第17節|長崎ヴェルカ✕千葉ジェッツの試合レビュー

試合レビュー

2025/12/27~12/28で開催された、長崎ヴェルカ@千葉ジェッツの試合をレビューしていきましょう。

戦前データ

東西首位チーム同士の対戦カードになりました。

長崎ヴェルカ

西地区1位の長崎。今シーズンになって初めて長崎の試合を第9節の名古屋DD戦で観ましたが、ボールムーブが多く、且つハイペースなバスケを展開するため、中々観てて楽しいチームだなと感じました。

チームの特徴と言ったら、何と言ってもベンチから出場してくるスタンリー・ジョンソン選手の強力なアイソレーション。まだ1試合しか実際に観ていないので、色々と断定するのは難しいですが、今シーズンのアイソレーションプレイヤーとしてはリーグトップクラスであることは間違いないと思います。

ただ、ボールムーブが多い長崎にある中、SJが出てきて、そこにボールが集まるとそこでOFが完結することが多く、それがハマれば強力ですが、基本、あまりチームカラーに馴染めていない印象も受けます。
とは言え、ここまで26試合あって僅か3敗なんですけどね。

また、チーム全体では3P%がリーグ1位。昨シーズン優勝の宇都宮ブレックス程ではないものの、%3PFGAがほぼ50%。26勝34敗でB1:17位?くらいだった昨シーズンの42.8%からジャンプアップしています。

筆者評で「コリアン・クレイ」と称している韓国代表にも選ばれているイ・ヒョンジュン選手(3P%:43.2%)の加入や、山口颯斗選手の成長(同:45.6%)も目立ちますが、チームのAPG:24.3でリーグトップの成績なのも特徴です。

名古屋DD戦節のみのスモールサンプルですが、Wide-Open3Pが2戦合計で9/15(60.0%)とAttempt数も確率も良いです。ボールムーブからWide-Openを演出している頻度が多いことがこの成績に繋がっていますね。

千葉ジェッツ

こちらは東地区首位の千葉。今シーズンは2節レビューしています。

昨シーズンはケガ人続出で難しいシーズンを過ごしましたが、今シーズンは1人のケガ人も出さずにシーズンを走っています。「ケガ人さえいなければ最強のチーム」という体現をしています。

既出記事でも言及していますが、今シーズンはロスターの整理に成功し、各選手の役割が明確且つオーバーラップが無くなりました。

第5節|千葉ジェッツ✕サンロッカーズ渋谷戦のレビューより

特に強力なのは2m級の選手を揃えたスターター陣によるインサイドDFと、2ndラインナップのペリメーターDFの強力なDF力。ここまでのシーズンで被FG%が40%を下回っているのは驚異的です。

直近の試合で言えば、敗れはしたものの12/6の名古屋DD戦では、被FG%が35.4%。勝利した15節の京都戦では2戦合計で30.5%(1戦目:28.8%、2戦目:32.1%)というデータもあります。

強力なDFの裏返しがF数が多かったり、被FTAが多かったりすることが多いですが、千葉はそれら両方少ないので、本当に質の高いDFを展開していることが分かります。

ただ、チームとしてネガティブな特徴もあって、あくまで長崎との比較論になりますが、ペースが遅く、その分、イージーバスケになりやすいF.B.Ptsが著しく少ないです。
ハーフコートOFを基調としていますが、クリエイト出来ない時間帯だと、途端に得点がストップしてしまうことが多いですね。特に2ndラインナップになった時が課題で、ナシール・リトル選手とDJ・ホグ選手の個人技頼りになってしまいます。

12/27の試合データ

各チームを振り返ったところで、それでは今節の試合のデータを振り返っていきましょう。

尚、今シーズンからデータ内容を増やし、より詳細な分析が出来るように試みていて、ショットシチュエーションにも注目して分析していきます。
ショットシチュエーションについて

基本スタッツ

長崎ヴェルカ千葉ジェッツ
86PT79
30/73
41.1%
FG29/67
43.3%
18/40
45.0%
2P23/43
53.5%
12/33
36.4%
3P6/24
25.0%
14/17
82.4%
FT15/17
88.2%
41REB40
15OREB11
26DREB29
20AST13
10TOV12
9STL6
2BLK2
17F15

詳細スタッツ

長崎ヴェルカ千葉ジェッツ
60.0%%FGM2P79.3%
40.0%%FGM3P20.7%
54.8%%FGA2P64.2%
45.2%%FGA3P35.8%
41.9%%PT2P58.2%
41.9%%PT3P22.8%
16.3%%PTFT19.0%
21Points Off TOV11
16Fast Break Points11
142nd Chance Points8
36Points In the Paint40
2Bench Points22
1/3
(3)
After TO Results
(Points)
3/5
(5)
-2After TO +/-2

アドバンスドスタッツ

長崎ヴェルカ千葉ジェッツ
75.48ポゼッション数75.48
試合のペース:75.48
113.94Offensive Rate104.66
104.66Defensive Rate113.94
53.4%TS%53.0%
49.3%eFG%47.8%
1.75POT Efficasy1.10
0.932nd Chance Efficasy0.73
50.6%REB%49.4%
34.1%OREB%29.7%
70.3%DREB%65.9%
66.7%AST%44.8%
11.1%TOV%13.9%
1.14PPP1.05
1.00After TO PPP1.00
0.23FTR0.25

Shoot Summary

長崎ヴェルカ千葉ジェッツ
9/22
40.9%
Self-Shootmake12/28
42.9%
4/8
50.0%
MID-Jumper4/13
30.8%
2/4
50.0%
Short-Jumper5/6
83.3%
0/1
0.0%
Push0/1
0.0%
0/1
0.0%
Floater4/8
50.0%
11/21
52.4%
Lay-Up8/11
72.7%
1Dunk1
0Tip-In1
7/21
33.3%
Catch&Shoot1/8
12.5%
2/5
40.0%
Moving0/1
0.0%
3/7
42.9%
Pull-Up5/15
33.3%
1/5
20.0%
Wide-Open1/3
33.3%

戦評

明確に勝敗を分けた立ち上がり

最終スコア86-79の7点差。第2Q以降、全く点差が無く互角でしたが、第1Q:22-15と7点差。立ち上がりの出来が試合の結果に直結しました。

この試合、ビッグマンのアキル・ミッチェル選手がDNP。その都合でスターターが【ヒュンジョン・ブラントリー・スタンリー・山口・馬場】というノービッグ・ノーガードの布陣で、SJは今シーズン初スターター。この布陣に千葉Jとしては虚を突かれた感じでしょうか。

Bリーグ公式では10-2のスコアリングランと記録していますが、第1Q残り6:26に千葉Jがタイムアウトを取るまで19-6と更に点差を広げています。全くシュートが落ちない上に、OREBも3本記録するなど波状攻撃を長崎は発揮しました。

その後、長崎の得点を僅か3点に抑えていたので、千葉J側も上手くアジャスト出来たことになりましたが、結果論ベースではタイムアウトのタイミングが遅かったかもしれません。

長崎の【戦術SJ】は健在

SJのアイソレーションバスケを【戦術SJ】と表現したのは第9節のこと。それから約2ヶ月弱経った今節でも継続している様子があったため、これはかみ合っていないというより、チームが意識的に行っている明確な戦術なのだと分かりました。

マッチアップ相手はBリーグ屈指のディフェンダーである原修太選手や田代直希選手が担い、一定の効果はありました。実際に試合中、何度かピックを使ってDFのスイッチで渡邊雄太選手や富樫勇樹選手とのマッチアップを狙っていた様子もありました。
富樫選手は身長のミスマッチを突けるし、渡邊選手はNBA時代からヘルプDFに定評があったので、それを無効化するための対策だったと言えるでしょう。

同じく今シーズン、NBAからBリーグに参戦した千葉Jのリトル選手がマッチアップする場面もあり、2~3回ほどテイクチャージ(OFチャージングファウルを誘発させるDF)を狙っていましたが不発に終わっていたのが印象的でした。

最終的にSJは33得点・FG:11/21(52.4%)・FT:6/7(85.7%)・FTR:0.33・Self-Shootmake:5/11(45.5%)の大活躍で勝利に導きました。

千葉は長崎のアタックをシャットアウトしたが…。

強力だと表現した千葉DFですが、それが機能したのがインサイドDF。

長崎のインサイドポイントの概要

  • Points In the Paint:36得点
  • Short-Jumper:2/4(50.0%)
  • Floater:0/1(0.0%)
  • Lay-Up:11/21(52.4%)

Pts.I.Pは長崎のチーム平均より下。Short-JumperとFloaterはAttemptを限定。Lay-Upは21本のAttemptを許しましたが、成功率を50%ちょっとに抑えました。

他の試合をほとんど解析していないので比較材料として群馬を挙げますが、25試合終了時点でのデータでLay-Up:66.6%(8.0/12.0)なので、それよりも大分確率を抑えたと思います。

実際、SJやブラントリー選手の突破力が驚異的なので、それらに対応したことになりますが、逆に手薄になったのが3P。12/33で36.4%、確率は上がらなかったものの、Wide-Open 3PのAttemptは5本も許しました。

12/28の試合データ

基本スタッツ

長崎ヴェルカ千葉ジェッツ
93PT77
36/78
46.2%
FG29/63
46.0%
23/41
56.1%
2P25/44
56.8%
13/37
35.1%
3P4/19
21.1%
8/8
100.0%
FT15/17
88.2%
38REB35
12OREB7
26DREB28
20AST19
7TOV12
6STL3
1BLK3
15F11

詳細スタッツ

長崎ヴェルカ千葉ジェッツ
63.9%%FGM2P86.2%
36.1%%FGM3P13.8%
52.6%%FGA2P69.8%
47.4%%FGA3P30.2%
49.5%%PT2P64.9%
41.9%%PT3P15.6%
8.6%%PTFT19.5%
17Points Off TOV2
15Fast Break Points14
42nd Chance Points12
38Points In the Paint46
10Bench Points24
1/4
(3)
After TO Results
(Points)
0/3
(0)
3After TO +/--3

アドバンスドスタッツ

長崎ヴェルカ千葉ジェッツ
76.52ポゼッション数75.48
試合のペース:76.00
121.54Offensive Rate102.11
102.11Defensive Rate121.54
57.0%TS%54.6%
54.5%eFG%49.2%
1.42POT Efficasy0.29
0.332nd Chance Efficasy1.71
52.1%REB%47.9%
30.0%OREB%21.2%
78.8%DREB%70.0%
55.6%AST%65.5%
7.9%TOV%14.5%
1.22PPP1.01
0.75After TO PPP0.00
0.10FTR0.27

Shoot Summary

長崎ヴェルカ千葉ジェッツ
14/30
46.7%
Self-Shootmake7/23
30.4%
4/7
57.1%
MID-Jumper5/8
62.5%
4/10
40.0%
Short-Jumper3/6
50.0%
0/0
Push1/1
100.0%
2/3
66.7%
Floater6/13
46.2%
9/15
60.0%
Lay-Up6/13
46.2%
2Dunk2
2Tip-In2
10/21
47.6%
Catch&Shoot4/10
40.0%
0/2
0.0%
Moving0/0
3/13
23.1%
Pull-Up0/9
0.0%
3/8
37.5%
Wide-Open0/1
0.0%

戦評

ポゼッションゲームを制した長崎

第1戦を終えてから、筆者はこのようにXでポストしました。

こんなプレビューをしていましたが、千葉Jの2PFGは23/43(53.5%)→25/44(56.8%)と増え、長崎の3PFGは12/33(36.4%)→13/37(35.1%)と、この辺はほぼほぼ変わりませんでした。

変わったところと言ったら試合のポゼッション。長崎は第1戦よりも約1POSS増やし、その増やした分のPOSSを確実にモノにしました(PPP:1.14→1.22)。

それが証明したのが第4Qで、37-20のQスコア。FG:13/16(81.3%)、OREB:1本に加え、この試合8本得たFTAの内、5本がこの第4Qでした。

第4Qに限れば、ポゼッション数は18.2-18.1、PPP:2.03-1.11という驚異的な数字でした。
元々ローペースな千葉に対して、自分たちのペースに試合を持って行った長崎の完勝だったと言えるでしょう。

リーグトップの3Pチームの攻撃力は凄まじい

この試合、明確に差があったのは3Pの精度。13/37(35.1%)-4/19(21.1%)という確率の差はもとより、Wide-Open 3PのAttemptがやはり長崎は多く、Wide-Openとまでいかずとも、ある程度のDFの開きが出来れば確実に射抜いてくるのは、リーグトップのチームである所以でした。

第4Qの話題を再び挙げますが、6/8の高確率。ASTは7本記録し、その間のTOVも僅か1本。ASTすべてが3Pに繋がっているわけではありませんが、この高確率3Pがあるからスペースが広がり、ASTに繋がりやすくなるのでしょう。

首位チーム同士なのに、何に差がある?

語弊を恐れずに言えば、結果以上にハッキリと【長崎が上】という2連戦でした。お互い地区首位同士のチームなのに、どこに差があるのか?と思いましたが、考えられるのは【クリエイターの量と質】に差がありました。

まず、長崎から見てみましょう。スタッツは今節終了時点のものです。

長崎で「クリエイター」と言える選手・出来る選手

  • イ・ヒョンジュン選手
    • 17.1PPG、6.0/10.7(56.3%)、2.6APG、1.0TOV
  • ジャレル・ブラントリー選手
    • 15.9PPG、6.0/13.6(43.9%)、4.7APG、2.2TOV
  • 熊谷航選手
    • 4.1PPG、1.5/4.0(38.4%)、4.2APG、1.4TOV
  • スタンリー・ジョンソン選手
    • 22.7PPG、7.7/17.1(45.1%)、3.7APG、3.1TOV
  • 馬場雄大選手
    • 11.9PPG、4.2/8.3(50.6%)、3.3APG、1.1TOV

次に千葉J。

千葉Jで「クリエイター」と言える選手・出来る選手

  • 渡邊雄太選手
    • 12.9PPG、4.5/10.8(41.7%)、1.9APG、1.3TOV
  • 富樫勇樹選手
    • 10.4PPG、3.4/9.0(37.7%)、4.9APG、1.9TOV
  • ナシール・リトル選手
    • 13.4PPG、4.7/9.6(49.0%)、2.1APG、0.9TOV
  • DJ・ホグ選手
    • 14.2PPG、5.0/11.0(45.9%)、3.6APG、2.3TOV

「クリエイター」と言える選手・出来る選手としてピックアップした選手たちはあくまで筆者の独断と偏見なので、そこはご容赦ください。

得点・確率・ASTのバランスが良いのは長崎ではないでしょうか?
千葉J側が優位に立っているのはTOVの面ですが、チームポゼッション数が多いのでその分長崎の選手のTOVリスクが多いことと、SJが徐々にBリーグにアジャストしてきて12月以降は平均2.5TOVと改善してきているので、穴にならなくなってきている印象です。

また、長崎はクリエイトしない時にもフィニッシャーとして「使われる側」にもなれる選手が多いのも特徴。だから、1人のクリエイターにDFが集中しても展開を作りやすい強みがあります。
顕著なのがヒョンジュン選手と馬場選手。比率で言えば【クリエイト<フィニッシュ】ですが、手札として持てる程のクリエイト力があるのは強いところですね。

対する千葉Jは試合を観ているとフィニッシャーとしても機能するのは渡邊選手くらい(というか、その方が強い)で、リトル選手もホグ選手も、基本的には自分でクリエイトしたい選手。そういう意味ではオーバーラップが生じていると言えるかもしれません。

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また、地味ながらDZANの評判の良いところは、試合中の実況・解説がTVを含めた他の配信サービスよりも良い意味で控えめというところ。
他のサービスだと、絶え間なく実況アナウンサーが喋り続けて、観る側からしたら「まだそこまでじゃないけど…」というようなタイミングでも大袈裟に「決まったーッ!!」と騒いだり、必要以上に選手を持ち上げて、試合観戦に集中できないというコメントがよく目に付きます。

その点、DAZNでは必要十分な実況・解説コメント(TVとかは過剰過分)で、選手やプレーを称える瞬間も大騒ぎしません。海外スポーツの中継は割とこういったメリハリが主流ですよね。

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