第21節|宇都宮ブレックス✕群馬クレインサンダーズの試合レビュー

試合レビュー

2026/1/31~2/1で開催された、宇都宮ブレックス@群馬クレインサンダーズの試合をレビューしていきましょう。

戦前データ

宇都宮ブレックス

現在、東地区2位ながら、勝率では25勝8敗で北海道・千葉Jと横並びの宇都宮(て言うか、得失点差じゃなくて総得点差で順位が決まってるの地味におかしくね?)。前節のライバル・千葉J戦で惜しくも敗戦してしまったことで、単独1位のチャンスを逃しました。

このチームの特徴と言ったら何と言ってもズバ抜けた%FGA3Pと、高い3P%。%FGA3P:52.7%はリーグ堂々トップで、リーグ内で唯一50%を上回るチームです。3P%:34.9%もリーグ5位の成績なので、正に「質と量」を兼ね備えたチームと言えるでしょう。

そんなシューティングチームを支えているのがREB能力。際立って高くはありませんが、平均REB:39.15本はリーグ7位。平均OREB:12.97本も同様にリーグ7位と上位につけています。

群馬にも言えることですが、3Pシュートが主体のチームにとって、OREBの精度はかなり重要な要素です。
と言うのも、同じ得点期待値:1.2とした時に、2Pシュートは成功率:60%に対し、3Pシュートは成功率:40%。翻して、外す確率は2Pシュートは40%、3Pシュートは60%になるため、3Pシュート主体の場合の方がOF失敗の可能性が高くなります。

だからこそ、OREBの精度を上げて2nd Chance Pointsに如何に繋げられるかが、チームの攻撃力を高める重要なファクターになるわけです。

そういう意味では、宇都宮は2nd.C.Eが1.00を下回る(0.99)チームなので、そこが弱点と言えば弱点。OREBを稼いでくるアイザック・フォトゥ選手やギャビン・エドワーズ選手がこのチームの鍵を握っていることになります。

※宇都宮は今シーズンの開幕戦だけレビューしたことがあります。そちらの方も気になる方は是非読んでみてください。

群馬クレインサンダーズ

前節からトレイ・ジョーンズ選手が復帰したものの、今度は肉離れでILリスト入りし、またしても長期離脱となってしまいました。

その代わりに、ヨハネス・ティーマン選手が脳震盪から今節復帰。クリエイターがまた不足する課題は出てきましたが、OREB・DREBが勝敗を分けそうな宇都宮戦に208cmのJTが復帰したのは、その部分ではアドバンテージが取れそうです。あとは、復帰戦でどの程度のパフォーマンスを発揮できるかですね。

スタッツを宇都宮と見比べると、宇都宮の弱点として挙げた2nd.C.Eの部分、宇都宮の2nd.C.Eが0.99に対し、群馬の被2nd.C.Eも同様に0.99。相手の2nd Chanceへのケアがしっかりしている群馬にとっては、そこでアドバンテージを持って優位にゲームを勧めたい所です。

逆に、群馬の2nd.C.E:1.12に対し、宇都宮の被2nd.C.E:1.05。群馬程ではないものの、宇都宮の2nd Chanceへのケアも中々強力。両チームとも2nd Chance Pointsを意識した試合になる可能性が高そうですね。

それでも、シュートの質の部分では、宇都宮よりも群馬の方が上(宇都宮の3P%:34.9%、群馬の3P%:36.1%。宇都宮のTS%:57.5%、群馬のTS%:59.0%)ですし、OF RateはBリーグ公式上は西地区首位の長崎と同率1位という事実は自信になります。昨シーズンの宇都宮のお株を奪う、効率の良いOFで勝利をもぎ取ってもらいたい所です。

※最新のレビュー記事は19節の滋賀戦です。

1/31の試合データ

各チームを振り返ったところで、それでは今節の試合のデータを振り返っていきましょう。

尚、今シーズンからデータ内容を増やし、より詳細な分析が出来るように試みていて、ショットシチュエーションにも注目して分析していきます。
ショットシチュエーションについて

基本スタッツ

宇都宮ブレックス群馬クレインサンダーズ
71PT67
24/57
42.1%
FG25/63
39.7%
10/22
45.5%
2P16/38
42.1%
14/35
40.0%
3P9/25
36.0%
9/18
50.0%
FT8/14
57.1%
40REB34
12OREB10
28DREB24
15AST14
10TOV7
1STL5
5BLK0
17F19
基本スタッツの略語について

詳細スタッツ

宇都宮ブレックス群馬クレインサンダーズ
41.7%%FGM2P64.0%
58.3%%FGM3P36.0%
38.6%%FGA2P60.3%
61.4%%FGA3P39.7%
28.2%%PT2P47.8%
59.2%%PT3P40.3%
12.7%%PTFT11.9%
8Points Off TOV13
6Fast Break Points4
132nd Chance Points7
18Points In the Paint28
13Bench Points27
1/4
(2)
After TO Results
(Points)
3/5
(7)
-5After TO +/-5
詳細スタッツの略語について

アドバンスドスタッツ

宇都宮ブレックス群馬クレインサンダーズ
62.92ポゼッション数66.16
試合のペース:64.54
112.84Offensive Rate101.27
101.27Defensive Rate112.84
54.7%TS%48.4%
54.4%eFG%54.4%
1.14POT Efficasy1.30
1.082nd Chance Efficasy0.70
54.1%REB%45.9%
33.3%OREB%26.3%
73.7%DREB%66.7%
62.5%AST%56.0%
13.3%TOV%9.2%
1.13PPP1.01
0.50After TO PPP1.40
0.32FTR0.22
アドバンスドスタッツの略語について

Shoot Summary

宇都宮ブレックス群馬クレインサンダーズ
7/15
46.7%
Self-Shootmake6/18
33.3%
0/3
0.0%
MID-Jumper2/7
28.6%
0/0
Short-Jumper3/5
60.0%
1/2
50.0%
Push2/4
50.0%
3/9
33.3%
Floater2/6
33.3%
6/7
85.7%
Lay-Up5/13
38.5%
0Dunk2
0Tip-In0
8/22
36.4%
Catch&Shoot3/9
33.3%
2/4
50.0%
Moving0/7
0.0%
4/9
44.4%
Pull-Up6/8
75.0%
5/10
50.0%
Wide-Open1/4
25.0%
Shoot Summaryについて

戦評

前半は群馬ペースだったが、後半は宇都宮がアジャスト

前節と異なり、宇都宮は今年もMVP筆頭のDJ・ニュービル選手がコンディション不良から復帰。ただ、ある程度のタイムマネジメントが必要なのか、この試合、ベンチからのスタートでした。

その都合も影響し、宇都宮はギャビン・ジェレット・フォトゥの【3ビッグ】体制でスタート。対する群馬は想定と異なったのか、予測し意図していたのかは分かりませんが、ビッグマンはAJ・エドゥ選手とケリー・ブラックシアーJr選手のみで、宇都宮の3ビッグには対抗しませんでした。

ただ、2シューターのランニングを活かしたスペーシングで、中村拓人選手やコー・フリッピン選手によるセルフクリエイトで着実に得点を重ね、第2Qでは強度の高い平面的なDFで24秒バイオレーションを2本も誘発していました。

しかし、後半になって群馬のDFに宇都宮がアジャスト。素早いボールムーブによる2メン・3メンOFによって質の高いシューティングゲームを展開。後半、3P:8/16(50.0%)と前半の6/19(31.6%)の改善を果たしました。

他にも、後半、頻繁に目に付いたのが群馬のPick&Rollに対する守り方。
前半、見ていた感じはあまりダイブするビッグマンにパスを供給する場面はほとんど無く、前述したようにハンドラーによるクリエイトやフィニッシュが多かったです。

となると、群馬のプランとしては、「宇都宮はそれを修正するためにハンドラーを止めに来るはず」と考え、後半のOFはダイブするビッグマンにパスを供給して、ビッグマンによるF-Drowやインサイドアウトによる3Pの展開を作ろうと画策していたかもしれません。

ですが、宇都宮はその「裏の裏」をかくように悉くロールマンへのパスレーンをシャットアウト。また、群馬にとって辛かったのが、そういったデザインプレーに限ってハンドラーではない辻直人選手や細川一輝選手がパサーとなるシチュエーションが多かったので、そこからの打開が全く出来ませんでした。宇都宮が1枚も2枚も上手だった後半戦と言えるでしょう。

ボールムーブに追いつけなかった群馬のDF

前項で述べたように、後半はとにかく宇都宮の高確率なロングシュートが火を噴きましたが、群馬のDFは宇都宮のそれと異なり、上手くアジャスト出来ていませんでした。

3Pが後半8/16(50.0%)、試合を通して14/35(40.0%)と記載した通りですが、Wide-Open 3PのAttemptがこの試合10本も宇都宮に献上した結果に。3Pが基調となっている宇都宮に対して、それだけWide-Openを打たれているのは、ちょっと戴けないDFだなと思いました。

特にジェレット選手にはWide-Open 3Pだけで3/4(75.0%)を許していましたし、この試合シュートタッチが良かった小川敦也選手(Pull-Up 3P:3/5)にもWide-Open:1/2で決められています。小川選手は本来ノンシューターなので仕方がないとしても、ジェレット選手はしっかり守って欲しかったです。

で、それにアジャストしようとDFに出たところ、今度は比江島慎選手のペネトレイトを許すという、正に術中に嵌ったようなDFの崩壊っぷりが特に第3Qに多かった(Qスコア:15-25)です。

中村拓人選手への負担が大きかった

今節、プライマリーハンドラーであるトレイ選手が欠場した影響で、ハンドラー・クリエイターとして役割が重たくなったのは中村選手。

得意のヘジテーションドライブでLay-Upに何度もクリエイトしていくものの、肝心のフィニッシュが上手く決まらず、Floater:0/3(0.0%)、Lay-Up:3/9(33.3%)に留まり、Self-Shootmakeも2/10(20.0%)とAttemptの割に得点の期待値が全く伸びませんでした。最終スコアが4点差だったことを考えると、かなり痛かったです。

また、チームASTが僅か14本で今シーズン最少ASTであり、フィニッシャーの精度が悪かったことも、ハンドラーに負担がのしかかった要因とも考えられます。

とは言え、裏を返すと、それだけハンドラーがLay-Upまで持って行けたこと自体はポジティブに捉えることも出来、フィニッシュの部分さえ改善できれば、全然勝てる内容でした。それだけ宇都宮のPoA-DFに脅威を感じていないことでもありますし。

※Xの方の「Lay-Upが4/9」は誤りです。正しくは記事の方の3/9です。

2/1の試合データ

基本スタッツ

宇都宮ブレックス群馬クレインサンダーズ
70PT81
25/61
41.0%
FG31/69
44.9%
16/29
55.2%
2P22/46
47.8%
9/32
28.1%
3P9/23
39.1%
11/17
64.7%
FT10/15
66.7%
39REB36
12OREB12
27DREB24
13AST24
17TOV9
4STL10
2BLK2
19F21
基本スタッツの略語について

詳細スタッツ

宇都宮ブレックス群馬クレインサンダーズ
64.0%%FGM2P71.0%
36.0%%FGM3P29.0%
47.5%%FGA2P66.7%
52.5%%FGA3P33.3%
45.7%%PT2P54.3%
38.6%%PT3P33.3%
15.7%%PTFT12.3%
13Points Off TOV17
7Fast Break Points16
72nd Chance Points11
32Points In the Paint38
23Bench Points24
2/5
(6)
After TO Results
(Points)
2/4
(5)
1After TO +/--1
詳細スタッツの略語について

アドバンスドスタッツ

宇都宮ブレックス群馬クレインサンダーズ
73.48ポゼッション数72.60
試合のペース:73.04
95.26Offensive Rate111.57
111.57Defensive Rate95.26
51.1%TS%53.6%
48.4%eFG%51.4%
1.44POT Efficasy1.00
0.582nd Chance Efficasy0.92
52.0%REB%48.0%
33.3%OREB%30.8%
69.2%DREB%66.7%
52.0%AST%77.4%
19.9%TOV%10.6%
0.95PPP1.12
1.20After TO PPP1.25
0.28FTR0.22
アドバンスドスタッツの略語について

Shoot Summary

宇都宮ブレックス群馬クレインサンダーズ
7/20
35.0%
Self-Shootmake4/19
21.1%
1/3
33.3%
MID-Jumper3/15
20.0%
2/4
50.0%
Short-Jumper4/5
80.0%
1/2
50.0%
Push2/4
50.0%
1/1
100.0%
Floater0/3
0.0%
9/14
64.3%
Lay-Up11/15
73.3%
0Dunk1
2Tip-In1
7/17
41.2%
Catch&Shoot6/11
54.5%
0/2
0.0%
Moving0/3
0.0%
2/14
14.3%
Pull-Up3/10
30.0%
4/6
66.7%
Wide-Open1/2
50.0%
Shoot Summaryについて

戦評

改善されたPoints In the Paint

第1戦に悉く宇都宮ビッグマンにシャットアウトされていたペイントエリア内のフィニッシュが改善され、Pts.I.Pは28得点→38得点にジャンプアップ。総得点から見る割合でも41.8%→46.9%と増えました。

この背景には、第1戦と異なり、ハーフコートOFでの中村選手のアタックとフィニッシュによる得点ではなく、Fast Break PointsによるイージーLay-Upや、ビッグマンによるリム周りのフィニッシュが主体のシチュエーションに変化したことが影響しています。

個別のShoot Summaryを振り返ると、中村選手のLay-Upは4/6と試投数を抑えながらも確率は改善。ハーフコートのフィニッシュと考えると、JTが3/4と質とボリュームを与えました。

宇都宮のTOV:17本を誘発した群馬のDF

前述したFast Break Pointsにも繋がる点ですが、この試合、とにかく宇都宮のハーフコートOFに対するハンドラーへのDFをかなり意識して強く当たっていました。

宇都宮ガード陣のTOV数

  • 比江島慎選手:2本
  • 小川敦也選手:5本
  • 鵤誠司選手:2本
  • DJ・ニュービル選手:4本

特に宇都宮サイドとして痛かったのが、メインハンドラーとなる小川・DJの2選手のTOVがかなり多く誘発されたこと。ハンドラーの突破力からのキックアウトをOFシステムの基調にしているチームなので、OFの心臓となるハンドラーが潰されると、この試合のようにイージーバスケを展開されやすいです。

また、特筆すべきは群馬のSTLからのF.B.Pts。STLによるTOVは、タイマーが止まらないTOVとなることから「LIVE-TOV(ライブ・ターンオーバー)」と呼ばれることがありますが、この試合、10本のSTLを記録しています。
そこで、Live-TOVから得た得点、つまりPoints Off Live-Turnoverを確認すると、誤っていなければ10得点でした。

目立ったのが、この試合キャリアハイの7STLを記録した中村選手で、Lay-Up成功の4本の全てはこのSTLから生まれています。紛れもなく、群馬のF.B.Pts・P.O.T・Pts.I.Pが宇都宮の上を行った原動力でした。

早打ちが目立った宇都宮

TOVを重ね、群馬に優位に立たれた宇都宮は、少しでも得点を詰めるために取られたのが3Pシュート。ただ、本来確率良く決めてくる印象を持たれていますが、この試合はリードされた中盤以降、早打ちが目立ちました。

特にDJに顕著で、本人としてはそのシチュエーションは「タフではないタイミング」だったのか、群馬のDFに煽られて打たされてしまったのか分かりませんが、この日のDJのPull-Up 3Pは0/7。そのほとんどが味方のASTやボールムーブから繋がっていないSelf-Makingによるシュートで、そちらも0/6と全く機能せず。

他の数字で見てみると、この試合、FGAは群馬:69本、宇都宮:61本と宇都宮の方が少ないのですが、獲得したPOSS数は宇都宮の方が群馬よりも0.88多い、一種の矛盾が発生しています。

計算上、アウトオブバウンズからのPOSSで+1されることになりますが、やはり、前述したLive-TOVが影響していそうですね。

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