2025.1.11~1.12の2日間にかけて行われた、サンロッカーズ渋谷とシーホース三河の試合レビューをしていきましょう。
戦前データ
両チーム中地区同士の対決で、戦前段階では、渋谷が17勝11敗で地区4位、三河が20勝8敗で地区3位という順位付けです。
サンロッカーズ渋谷
チームの1つの特徴として、Bリーグにおいての平均はおよそ25~27%と言われているOREB%が30.0%と比較的高い水準にあります。
この数値の持つ意味ですが、以下の2つの側面が見て取れます。
- (オフェンスリバウンドが多いから)セカンドチャンスポイントが増加しやすい。
- シュートの効率が悪い(からオフェンスリバウンドが増えやすい)。
渋谷にとってはどちらかと言うと、個人的には後者の要因が大きいと考えています。
日本代表選手でもあるジョシュ・ホーキンソン選手がチームのインサイドを支えていますが、渋谷はリーグ最低の3P試投数(1試合あたり22.7本)。このデータから分かることは、相手チームにとっては外をある程度捨てて、ゴール周辺のシュートを守れば良いわけです。それが44.8%という低いFG%に現れています。
ただ、Defensive Rateが101.69とリーグでもトップレベルのディフェンス力を要しているので、その強みを生かしたい所です。
渋谷にとっては現在地区4位。勝ち星を重ねて、まずはCSのワイルドカード枠を確保していきたい思惑もありそうです。
シーホース三河
チームの平均得点が80点を超えるリーグ8位の得点力に加え、Defensive Rateも101.42と渋谷を上回るディフェンス力を誇ります。
また、アシスト数も20本を超えるリーグ4位。にも関わらず、アシストのチームリーダーは長野誠史選手の4.0本。誰かに偏ることがなく、チーム全体でアシスト・パスの意識が高いチームと言えます。
が、案外チームとして脆い部分もあって、第4Qまでにリードを許していた場合に逆転して勝利した試合が今シーズンまだ一度もありません。
それだけ、強力なオフェンスとディフェンスを展開して盤石な試合をしてきているという見方も出来ますが、それでもリーグ3位であるということは、劣勢をひっくり返す地力がまだないということも言えます。
1/11の試合データ
基本スタッツ | ||
サンロッカーズ渋谷 | シーホース三河 | |
83 | PT | 74 |
28/56 50.0% | FG | 31/63 49.2% |
12/24 50.0% | 3P | 7/23 30.4% |
15/20 75.0% | FT | 5/7 71.4% |
34 | REB | 26 |
9 | OREB | 8 |
25 | DREB | 18 |
15 | AST | 17 |
20 | TO | 18 |
8 | STL | 9 |
1 | BLK | 2 |
13 | F | 16 |
16 | 被F | 13 |
アドバンスドスタッツ | ||
サンロッカーズ渋谷 | シーホース三河 | |
75.8 | ポゼッション数 | 76.08 |
試合のペース:75.94 | ||
109.50 | Offensive Rate | 97.27 |
97.27 | Defensive Rate | 109.50 |
56.7% | REB% | 43.3% |
33.3% | OREB% | 24.2% |
75.8% | DREB% | 66.7% |
1.09 | PPP | 0.97 |
0.36 | FTR | 0.11 |
FGの欄が通常表記のままですが、成功数・試投数・パーセンテージ全てを総合的に判断して、特に甲乙つけられるものではなく、互角の印象だったのでそのままにしてます。
スタッツを眺めての第1印象ですが…
20もターンオーバーして良く勝てたな!(苦笑)
試合自体は全く見ていないので分かりませんが、観戦していた人たちのストレスは如何ほどの物だったでしょうか?それでも勝てたのは3Pが12/24(50.0%)と爆発したことが一番の要因でしょう。
ただ、気になるのは、渋谷はこの試合ほぼ6人ローテで回していました。元々7~8人でローテーションが組まれているチームですが、この試合、ケビン・ジョーンズ選手が一時帰国した影響もあるでしょう。
「家庭の事情」とあるので、先のLA広域大規模火災の影響でないと良いのですが…。
試合の方に話を戻すと、対する三河は30分以上オンコートした選手はおらず、9人の選手でタイムシェアしていました。この試合を捨てているわけではないと思いますが、2連戦を意識したローテーションだったのでしょうか?
1/12の試合データ
基本スタッツ | ||
サンロッカーズ渋谷 | シーホース三河 | |
69 | PT | 80 |
25/73 34.2% | FG | 26/61 42.6% |
8/34 23.5% | 3P | 13/32 40.6% |
11/15 73.3% | FT | 15/23 65.2% |
46 | REB | 42 |
17 | OREB | 9 |
29 | DREB | 33 |
12 | AST | 17 |
16 | TO | 15 |
7 | STL | 9 |
5 | BLK | 2 |
21 | F | 20 |
20 | 被F | 21 |
アドバンスドスタッツ | ||
サンロッカーズ渋谷 | シーホース三河 | |
78.6 | ポゼッション数 | 77.12 |
試合のペース:69.31 | ||
87.79 | Offensive Rate | 103.73 |
103.73 | Defensive Rate | 87.79 |
52.3% | REB% | 47.7% |
34.0% | OREB% | 23.7% |
76.3% | DREB% | 66.0% |
0.88 | PPP | 1.04 |
0.21 | FTR | 0.38 |
この試合、66-66のロースコアでOTに突入し、OTでは14-3の大差でシーホース三河が試合を取りました。
最終的なFG%こそ三河の方が成績が良いですが、OTの分を差し引くと、渋谷が24/66(36.4%)、三河が21/54(38.9%)とそこまで大きな差が出ているわけではありませんでした。
どういうところが試合を分けたのか調べたところ、かなり明白な情報を見つけました。
こちらはこの試合のOTのショットチャート。渋谷はOTに3Pシュートしか試投していません。対する三河はペイントエリアと3Pシュートという美しいショットチャートです。
OTのスコアチャートを見るとこの通り。
渋谷がOT序盤から3P攻勢を仕掛けている間に、三河が着実に得点を重ねていた様子が分かります。
渋谷は元々の強みだったはずのOREBがOTでは0本。シュートの効率も悪いし、セカンドチャンスポイントも作れない、戦前データを基に分析していたチームとして悪い部分が全て出てしまった最悪パターンに陥ってしまいましたね。
また、渋谷はこの試合、田中大貴選手がコンディション不良のためロスター外に。その影響からか、ローテーションはかなり厳しく、20分以上オンコートした選手は5人。内4人はOTの試合だったこともあり40分以上のオンコート。リード・トラビス選手に至っては45分休みなしのフル出場。
第4Qは5点差を追いついてOTまでもつれさせましたが、結果としては「それまで」という感じでした。
対する三河は第4Qまで30分以上オンコートだった選手はダバンテ・ガードナー選手のみ。OTこそメンバーチェンジはありませんでしたが、層の厚さ・体力温存の功が奏しました。
冒頭、「三河は接戦に弱い」的なコメントをしましたが、第4Qに追いつかれたものの、今シーズン初の延長戦となりましたが、しっかり白星をつかみ取りました。
まとめ
第17節の渋谷✕三河はお互いに星を分け合う結果で、地区上位の順位に変動は起きませんでした。
ただ、東地区3位の千葉ジェッツが格下の越谷アルファーズに今節1勝1敗と足踏み、西地区3位だった大阪エヴェッサが群馬クレインサンダースに2連敗となったため、中地区3位の三河はワイルドカード枠をやや盤石にした感があります。
今節でシーズンの半分が終了し、来週はオールスターゲームでブレイク無しで2週間後からシーズンが再開します。
なんだか中地区の三遠ネオフェニックスが暴れていて、スゴイ記録を今シーズン打ち立てそうで吉井裕鷹ファンとしては少しワクワクしていますが…。
また2週間後にお会いしましょう!
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