第19節|宇都宮ブレックス✕千葉ジェッツの試合レビュー

試合レビュー

2025.1.29に行われた、宇都宮ブレックスと千葉ジェッツの試合レビューをしていきましょう。

東地区同士のライバルチームで、開幕節では千葉が2連勝しました。宇都宮としてはそのリベンジを果たしたい所。日本代表でも中心選手として引っ張っている比江島慎選手・渡邉雄太選手・富樫勇樹選手の対戦構図もかなりの見物。どういった試合になったでしょうか?

戦前データ

まずは、開幕前から注目度の高かった開幕節での試合を振り返ってみましょう。

2024/10/5の試合データ

基本スタッツ
千葉ジェッツ宇都宮ブレックス
91PT84
29/73
39.7%
FG30/74
40.5%
9/37
24.3%
3P15/38
39.5%
24/34
70.6%
FT9/14
64.3%
44REB45
13OREB13
31DREB32
21AST21
8TO14
6STL3
2BLK3
16F24
24被F16
詳細スタッツ
11ファストブレイクポイント4
38ペイントエリア内の得点26
19ターンオーバーからの得点11
13セカンドチャンスポイント15
アドバンスドスタッツ
千葉ジェッツ宇都宮ブレックス
82.96ポゼッション数81.16
試合のペース:82.06
109.69Offensive Rate103.50
103.50Defensive Rate109.69
49.4%REB%50.6%
28.9%OREB%29.5%
70.5%DREB%71.1%
1.10PPP1.03
0.47FTR0.19

開幕初戦からOTにもつれ込んだバッチバチだったこの試合。スタッツを見てもほとんど優劣のつけられない印象を植え付ける好ゲームでした。

1つ特徴を挙げるならば、両チームのチーム構成。千葉は中心選手となった渡邊雄太選手とDJ・ホグ選手が新加入であり、チーム内の役割のバランスなどが再構築されている状況。
対する宇都宮は比江島選手や遠藤祐亮選手らを始めとする中心選手のほとんどがBリーグ開設当初からロスターに大きな変化がありません。強いて挙げるなら昨シーズンから加入しているDJ・ニュービル選手ですが、昨シーズン60試合フル出場しているのでその辺も同等に考えてよいでしょう。

要するに、千葉にとっての宇都宮は「こういうゲームを展開するチームだな」、宇都宮にとっての千葉は「渡邊とホグが加入してどういうチームになったのか?」という感覚だったのでしょう。プロチームにとってこのアドバンテージの差はあまり小さくなかったはずです。

この背景が顕著に表れていたのがFT。ホグ選手が両チーム最多の9/11のフリースローを奪いました。また、それ以外にもファウルを誘発するプレーが多く、下記の選手の被Fの多さが際立ちました。

  • 富樫勇樹選手:4本
  • DJ・ホグ選手:5本
  • 原修太選手:5本
  • クリストファー・スミス選手:5本

その結果、宇都宮にとっては比江島・遠藤・ニュービルの3選手が4F、インサイドの要だったギャビン・エドワーズ選手がOTの前にはファウルアウトしていました。この状況ではチームファウルが引き継がれるOTでは厳しくなってきますね。

2024.10.6の試合データ

基本スタッツ
千葉ジェッツ宇都宮ブレックス
80PT61
30/68
41.1%
FG19/59
32.2%
11/34
32.4%
3P5/24
20.8%
9/13
69.2%
FT18/26
69.2%
40REB37
11OREB13
29DREB24
15AST11
13TO14
5STL5
1BLK1
22F21
21被F22
詳細スタッツ
5ファストブレイクポイント7
36ペイントエリア内の得点26
24ターンオーバーからの得点9
18セカンドチャンスポイント9
アドバンスドスタッツ
千葉ジェッツ宇都宮ブレックス
75.72ポゼッション数71.44
試合のペース:73.58
105.65Offensive Rate85.39
85.39Defensive Rate105.65
51.9%REB%48.1%
31.4%OREB%31.0%
69.0%DREB%68.6%
1.06PPP0.85
0.19FTR0.44

この試合、開始6分で千葉の渡邉選手が負傷退場した試合だったのは、開幕からBリーグを見てきた人なら別チームのファンでも記憶していたでしょう。「あの渡邉選手がケガしちゃって宇都宮に勝てるのか・・・?」と思った人もいたかも知れません。僕もその1人でした。

しかし、蓋を開けてみれば、千葉は宇都宮に一度もリードを許すことなく、20点差近い点差で勝利しました。

この試合、印象的だったのが富樫選手の試合後のインタビューでした。

富樫勇樹選手
富樫勇樹選手

雄太がケガをして離脱することになっても、雄太が加入する前のジェッツに戻るだけなので。

個人的には今シーズンからBリーグを追っかけているので、過去の千葉について良く知らないのが本音ですが、スタッツを振り返ってみると、2022-23シーズンが堅守速攻型チームだったことが見えてきました。

2022-23シーズンのアドバンスドスタッツ抜粋

  • 平均ペース:72.4(リーグ15位)
  • ファストブレイクポイント:759点(同8位)
  • Offensive Rate:121.5(同1位)
  • Defensive Rate:103.3(同3位)
  • PPP:1.21

試合のペースはリーグでも平均以下ですが、ファストブレイクポイントは平均より高かったです。加えてリーグトップレベルのレーティングを誇っていることからも、ディフェンスが堅い上に効率の良い試合を展開していたと言えるでしょう。

そのシーズンも含めて、この取り上げた試合でもそのディフェンスを支えたのがジョン・ムーニー選手。2023-24シーズンには平均12.0REBでリバウンド王に輝いた選手です。この試合、トータル15REB(OREB:5、DREB:10)と圧倒的なリバウンド力を見せつけました。

という感じで振り返ってみたところで、今節の試合展開を展望してみましょう。

宇都宮ブレックス

宇都宮は先日の琉球戦で、チームとしての強みと課題の両方が浮き彫りに。平均得点が85.97点、Offensive Rateも117.59と高効率な攻撃を展開できる、流石ベテランチームと言ったところですが、1/26の試合ではショットチャートが偏り過ぎでそれが相手にオフェンスを読まれやすくなったことが負け筋になりました。

後述する千葉も3PAの割合は多いですが、宇都宮はFGAの半分以上を3PAが占めており、リーグでもブッチギリでNo.1の割合です。反して、2PAの内、ミッドレンジでのシュートの割合は10%を切っており、チームとして【得点はペイントエリアor3P】というスタイルが徹底されています。

宇都宮にとっては、前節の強みは残しつつ、課題を修正した上で試合に臨みたい所です。

千葉ジェッツ

PGの富樫選手や元NBAプレーヤーの渡邉選手の存在から、攻撃力の高いチームと思われがちですが、前述したように実は本来はディフェンスのチーム。それこそ、NBAでもディフェンス力を買われていた渡邉選手の加入で、それが更に強く出ると思われていました。

しかし、その渡邉選手は開幕節でケガをして早々に戦線離脱。バイウィーク明けの11/30の琉球戦まで欠場していました。その後も、主力選手であるホグ選手やムーニー選手も相次ぐケガで欠場するなど、苦しい前半シーズンを過ごしました。ムーニー選手に至っては、12/1の琉球戦以降、まだ復帰していません。

チームのバランスを見ても個人的に不安なのが、渡邉選手とクリストファー・スミス選手の役割がややオーバーラップ(被っている)している感がどうしても否めません。

©りそなグループB.LEAGUE|左が渡邊雄太選手、右がクリストファー・スミス選手のショットチャート

渡邉選手が206cm、スミス選手が193cmとサイズはかなり違いますが、多少、渡邉選手の方がミッドジャンパーを選択したり、スミス選手の方がスラッシャーとしてペイント内での得点・試投数が多い程度で、FG%にするとどちらも似たり寄ったり…。

役割の一部が重なるのは全く問題ないですが、ちょっとその許容範囲を超えてしまっている印象を受けてしまいます。それがそこまで高くないOffensive Rateの要因と思うのは素人考えすぎるのでしょうか?

戦前比較まとめ

宇都宮は持ち前の高効率オフェンスを展開しつつ、開幕節の屈辱の2連敗のリベンジを果たしたい。

対する千葉は宇都宮の明確な弱点である偏ったショットチャートにしっかり対応してディフェンスで違いを見せつけていきたい所です。

1/29の試合データ

基本スタッツ
宇都宮ブレックス千葉ジェッツ
91PT73
35/68
51.5%
FG23/68
33.8%
13/34
38.2%
3P9/32
28.1%
8/9
88.9%
FT18/19
94.7%
37REB40
7OREB14
30DREB26
22AST15
8TO12
6STL2
2BLK2
16F16
15被F16
詳細スタッツ
4ファストブレイクポイント9
38ペイントエリア内の得点28
18ターンオーバーからの得点6
3セカンドチャンスポイント8
アドバンスドスタッツ
宇都宮ブレックス千葉ジェッツ
72.96ポゼッション数74.36
試合のペース:73.66
124.73Offensive Rate98.17
98.17Defensive Rate124.73
48.1%REB%51.9%
21.2%OREB%31.8%
68.2%DREB%78.8%
1.25PPP0.98
0.13FTR0.28

宇都宮が見事にリベンジを果たしました。PPP:1.25という相変わらずの高効率で、2PFG:3PFGはキレイに50:50で確率も申し分ないものでした。

©りそなグループB.LEAGUE|宇都宮ブレックスのショットチャート

相変わらずペイントエリアと3Pに偏っていますが、時にはミッドレンジのシュートも織り交ぜ、千葉ディフェンスに的を絞らせないことが出来たという印象です。

この高効率オフェンスを牽引したのはエースの比江島選手とアイザック・フォトゥ選手。両選手ともに出場時間の割に得点が多く、かなり評価が高いです。

  • 比江島慎選手:24Pts、29:14出場(Ptsはチームハイ)
  • アイザック・フォトゥ選手:18Pts、19:19出場

そしてそのオフェンスを演出したのは9ASTを記録したDJ・ニュービル選手。3Pは0/6でしたが、TOは1本と安定したゲームメイクでした。

対する千葉は期待していたディフェンスが全くと言って良いほど機能しませんでした。Defensive Rate:124.73は12/21の@大阪エヴェッサ戦の127.76に次ぐ、今シーズンのチームワースト2位です。

ファストブレイクポイントは4点に抑えていますが、ターンオーバーからの失点は18。このことから分かるのは、やはり宇都宮のハーフコートオフェンスにチームが上手くアジャストできていなかったことが見えてきます。

ディフェンスが機能せず、点差に焦ってタフなプレーを連発。その結果TOして、そこからの失点を繰り返す。これでは勝てる要素は見当たりませんでした。敢えて厳しい表現をするならば、「負けるべくして負けた試合」だったと言えるでしょう。

まとめ

個人スタッツの上では、得点のチームハイが宇都宮は比江島選手、千葉は渡邉選手。両選手ともシュート効率はかなり良かったので、ベテランの域にいるとしても、このライバル対決は観る者を熱くしてくれたことでしょう。それが試合結果に伴っていればかなり面白い試合だったでしょうね。

今節、大阪が琉球に勝ってみたり、三遠はFE名古屋との愛知ダービーをハイスコアゲームで制したり、中地区の2・3位だった三河とA東京が激突していたりと、かなり面白い試合が多かったです。中々マンパワー的な要因で各節1試合しか分析が追い付かないのが歯がゆいところなんですがね。

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