数字で見る男子バスケ日本代表【FIBAアジアカップ2025予選Window3】|Vol.2

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2025年2月20日と23日に開催されるFIBAアジアカップ2025の予選Window3に代表召集されている選手について、基本スタッツ・アドバンスドスタッツなどからその選手の特徴を見て行きましょう。今回は第2弾です。

※表記順はJBAのこちらの特設ページを基に作成しています。

津屋 一球

©三遠ネオフェニックス
  • ポジション:SG
  • 身長:191cm
  • 体重:92kg
  • 年齢:26歳
  • 所属:三遠ネオフェニックス
  • 主要な代表歴:2018年デフバスケU-21世界選手権(銀メダル・大会得点王・MVP)

今シーズン成績(~2025.2.9)

基本スタッツ

プレー時間 PTS FG FG% 3P 3P% FT FT% REB OREB DREB AST TO STL BLK 被BLK F 被F EFF +/-
19:386.82.2/5.341.3%2.1/4.843.3%0.4/0.758.3%2.00.31.70.90.40.20.10.11.90.54.78.1

アドバンスドスタッツ

ポゼッション TS% eFG% USG% PPP OF Rating DF Rating REB% OREB% DREB% AST% TO% FTR STL%
5.959.6%60.9%7.8%1.09 114.79104.665.2%1.5%8.8% 6.2%6.0%0.190.0%

直近5試合成績

試合日 対戦相手 H/A S プレー時間 PTS FG FG% 3P 3P% FT FT% REB OREB DREB AST TO STL BLK 被BLK F 被F EFF +/- ポゼッション TS% eFG% USG% PPP OF Rating DF Rating REB% OREB% DREB% AST% TO% FTR STL%
1月29日FE名古屋H15:0900/10.0%0/10.0%0/00000000010-2-410.0%0.0%1.2%0.000.00115.070.0%0.0%0.0%0.0%0.00.000.0%
2月1日大阪@16:2662/450.0%2/450.0%0/011000000104-3475.0%75.0%5.5%1.50150.00114.453.5%5.8%0.0%0.0%0.00.000.0%
2月2日大阪@22:46124/666.7%4/666.7%0/0505000002013176100.0%100.0%8.0%2.00200.0093.9311.0%0.0%20.4%0.0%0.00.000.0%
2月8日佐賀@25:58206/1250.0%5/1050.0%3/3100.0%2113110013212514.3275.1%70.8%17.7%1.40139.66101.994.1%4.3%3.9%18.7%0.10.250.0%
2月9日佐賀@27:3193/650.0%3/650.0%0/01102000020724675.0%75.0%7.8%1.50150.00104.962.0%4.2%0.0%8.6%0.00.000.0%

考察

スタッツから選手の特徴を読み解く前に、【津屋一球かずま】という選手を簡単に紹介します。

「知っている人は知っている」というレベルの情報ですが、津屋選手は難聴の障害を持っており、試合中には補聴器を付けてプレーしているそうです(出典:https://www.aba-net.com/bspog/archives/1958)。具体的な病名などは調べましたが出てきませんでした。
そんな津屋選手ですが、今回経歴を調べてみて驚いたのが、冒頭のプロフィールにも挙げたように、2018年にU-21のデフバスケ(聴覚障害者によるバスケ)日本代表として世界選手権を闘い、見事銀メダルを獲得するだけでなく、大会得点王や2位チームながらMVPも受賞しました。通常、どんな大会でもMVPは優勝チームから選出されるケースが多い中、これはもの凄い偉業です。

そんな津屋選手ですが、第1弾で取り上げた細川一輝選手同様、完全なピュアシューター。1試合のシュートが3Pシュートのみということも全く珍しくありません。
そして、そのプレースタイルが象徴するように、3P%は現在リーグで3位の好成績。チームではオンコート中のオフェンスの優先順位はメンツ的に4番目・5番目の選手になりますが、少ないシュート機会でも確実に3Pを決めてくれる安心感が、逆に相手チームからは脅威となり、スペーサーとしても貢献してくれる選手です。

直近では2/8@佐賀戦でキャリアハイとなる20得点をマーク。直近5試合の3P%は51.8%と好調を維持しているので活躍を期待したいですね。

少しメタな話をすると、役割が細川選手と完全に被るので、アジア杯のロスター枠としては同選手と競うことになりそうです。両選手とも魅力的な選手ですが、ロスターバランスを考えると、余程両選手のディフェンスが光らない限り、どちらかが本戦不選出となるでしょう。

川真田 紘也

©長崎ヴェルカ
  • ポジション:C
  • 身長:204cm
  • 体重:110kg
  • 年齢:26歳
  • 所属:長崎ヴェルカ
  • 主要な代表歴:2023年W杯

今シーズン成績(~2025.2.9)

基本スタッツ

プレー時間 PTS FG FG% 3P 3P% FT FT% REB OREB DREB AST TO STL BLK 被BLK F 被F EFF +/-
05:430.80.3/0.661.1%0.0/0.00.0%0.2/0.345.5%0.60.60.50.20.40.10.20.10.90.30.5-2.2

アドバンスドスタッツ

ポゼッション TS% eFG% USG% PPP OF Rating DF Rating REB% OREB% DREB% AST% TO% FTR STL%
0.6 50.8% 51.5% 1.6% 0.66 70.58 106.57 13.6% 14.6% 12.2% 8.4% 33% 0.45 0.0%

直近5試合成績

試合日 対戦相手 H/A S プレー時間 PTS FG FG% 3P 3P% FT FT% REB OREB DREB AST TO STL BLK 被BLK F 被F EFF +/- ポゼッション TS% eFG% USG% PPP OF Rating DF Rating REB% OREB% DREB% AST% TO% FTR STL%
1月29日滋賀@00:3700/00/00/000000000000-300.0%106.360.0%0.0%0.0%0.0%0.0%
2月1日島根@DNP
2月2日島根@6:2300/00/00/01100000020-1200.0%103.879.1%20.2%0.0%0.0%0.0%
2月8日FE名古屋@DNP
2月9日FE名古屋@10:5942/2100.0%0/00/01100301040-1-145100.0%100.0%6.7%0.8080.00125.985.1%8.9%0.0%0.0%60.0%0.000.0%

考察

最近、人気が出過ぎて一部からはややアンチコメントが飛び交う川真田選手。スタッツからも分かる通り…、と言っては失礼ですが、実績と人気がかみ合わず、「何故マイキーがオールスターに選ばれてるんだ」というXのコメントはチラホラ見受けられました。

事実、中々評価が難しい選手で、W杯前の強化試合やW杯本戦での出場シーンが象徴的ですが、川真田選手の役割と言えばこんな感じ。

  • スクリーンを張って他の選手のドライブレーンを生み出す。
  • コーナーの選手が3Pを打ちやすいようにローポストで壁になる。
  • 50:50のボール(どちらのポゼッションボールか分からないボール)に飛び込む・確保する。

どれも試合を有利に進めていく上で欠かせないものですが、いずれもスタッツには残らないチームの貢献の仕方です。

こういったことを率先かつ徹底できる選手が1人いると、チームはかなり助かります。川真田選手本人も「自身の強みや役割はそこである」という正確かつ極めて理解している選手であることはプレーを少しでも見たことある人なら分かると思います。
本来、「自分の役割を分かっている選手」というのはHCからすると非常に使いやすい選手なのですが、如何せん、所属チームではプレータイムが全く伸びません。

貴重な純国産ビッグマンなので、上記以外にも何か数字で貢献できる能力が欲しいところ。でないと、後述する渡邉飛勇選手を押しのけることも脅かすことも出来ず、あくまで「飛勇の保険」みたいな選手でい続けてしまうかも…。

赤穂 雷太

©秋田ノーザンハピネッツ
  • ポジション:SG/SF
  • 身長:196cm
  • 体重:94kg
  • 年齢:26歳
  • 所属:秋田ノーザンハピネッツ
  • 主要な代表歴:ー

今シーズン成績(~2025.2.9)

基本スタッツ

プレー時間 PTS FG FG% 3P 3P% FT FT% REB OREB DREB AST TO STL BLK 被BLK F 被F EFF +/-
19:025.41.9/5.137.2%0.9/2.636.4%0.7/1.073.5%1.10.51.41.30.60.90.30.32.41.72.9-1.3

アドバンスドスタッツ

ポゼッション TS% eFG% USG% PPP OF Rating DF Rating REB% OREB% DREB% AST% TO% FTR STL%
6.151.8%49.0%8.6%0.9188.96103.505.2%2.8%7.8%11.7%12%0.300.1%

直近5試合成績

試合日 対戦相手 H/A S プレー時間 PTS FG FG% 3P 3P% FT FT% REB OREB DREB AST TO STL BLK 被BLK F 被F EFF +/- ポゼッション TS% eFG% USG% PPP OF Rating DF Rating REB% OREB% DREB% AST% TO% FTR STL%
1月29日北海道H14:0221/616.7%0/20.0%0/00000010132-4-10616.7%16.7%8.2%0.3333.3397.170.0%0.0%0.0%0.0%0.0%0.000.1%
2月1日京都@12:2131/333.3%1/250.0%0/0312001014224350.0%50.0%4.0%1.00100.00102.6712.0%7.3%17.8%0.0%0.0%0.000.1%
2月2日京都@16:4531/425.0%0/20.0%1/250.0%20203320124-47.8830.7%25.0%11.7%0.3838.0797.675.9%0.0%12.6%0.0%38.1%0.500.3%
2月8日名古屋DDH20:5351/616.7%1/520.0%2/2100.0%1105000013836.8836.3%25.0%9.5%0.7372.67103.612.6%5.5%0.0%32.9%0.0%0.330.0%
2月9日名古屋DDH15:4331/425.0%1/333.3%0/0000110001105537.5%37.5%6.3%0.6060.00107.290.0%0.0%0.0%10.0%20.0%0.000.0%

考察

スタッツ上はBリーグの平均的なウイングの選手という印象です。ショットチャートは3Pとペイントエリアに偏った、Blooklyn NETs時代の渡邊雄太選手のようなチャートをしていますね。

©りそなグループB.LEAGUE|赤穂雷太選手のショットチャート

右ウイングからの3P%に足を引っ張られていますが、そのエリアと試投数の少ないトップを除けば約41%の高確率で決めています。
ホーバスバスケでは、ポジション・エリアに関係なく、打てるシュートは積極的に打っていく、そして決め切る能力が求められます。赤穂選手自身が苦手エリアを認識しているかどうかは分かりませんが、代表選考はサバイバルでもあるので、なんとか苦手を克服していきたい所。

テーブス 海

©アルバルク東京
  • ポジション:PG
  • 身長:188cm
  • 体重:85kg
  • 年齢:26歳
  • 所属:アルバルク東京
  • 主要な代表歴:2024年パリ五輪、2022年アジア杯

今シーズン成績(~2025.2.9)

基本スタッツ

プレー時間 PTS FG FG% 3P 3P% FT FT% REB OREB DREB AST TO STL BLK 被BLK F 被F EFF +/-
24:208.83.4/9.137.5%0.8/3.124.3%1.3/1.775.0%1.30.22.06.02.00.80.10.32.32.95.87.5

アドバンスドスタッツ

ポゼッション TS% eFG% USG% PPP OF Rating DF Rating REB% OREB% DREB% AST% TO% FTR STL%
11.8 44.2% 41.2% 16.6% 0.74 74.49 98.87 4.9% 1.0% 8.9% 42.8% 18% 0.21 0.1%

直近5試合成績

試合日 対戦相手 H/A S プレー時間 PTS FG FG% 3P 3P% FT FT% REB OREB DREB AST TO STL BLK 被BLK F 被F EFF +/- ポゼッション TS% eFG% USG% PPP OF Rating DF Rating REB% OREB% DREB% AST% TO% FTR STL%
1月29日三河@27:36156/1154.5%3/742.9%0/03121032012322111468.2%68.2%20.6%1.07107.1494.976.5%4.7%8.1%55.1%21.4%0.000.1%
2月1日琉球H20:0194/1040.0%1/425.0%0/010141101304241145.0%45.0%16.2%0.8281.82100.842.8%0.0%5.9%32.0%9.1%0.000.1%
2月2日琉球H20:3273/837.5%0/30.0%1/250.0%10122100322-1910.8839.4%37.5%15.2%0.6464.34122.492.5%0.0%5.7%25.7%18.4%0.250.1%
2月8日仙台@16:4021/333.3%0/00/01018230032931533.3%33.3%7.8%0.4040.0088.294.0%0.0%5.9%58.9%40.0%0.000.3%
2月9日仙台@25:37112/825.0%1/425.0%6/6100.0%2027210025162212.6451.7%31.3%18.2%0.8787.0389.944.2%0.0%6.9%42.2%15.8%0.750.1%

考察

ホーバスHCの体制になってから、およそほとんどのクールで【3枚目のPG】の枠を争ってきたテーブス海選手。所属チームであるA東京では押しも押されぬ司令塔で、テーブス選手がいるのといないのとではチームのオフェンスがまるっきり変わってしまうくらいには重要な選手です。

ホーバスバスケにおけるPGの役割は自身を含めたショットクリエイション能力が重要視されています。その点、テーブス選手は1試合当たりの保有ポゼッションが12に対し、平均ASTが6.0本。良くも悪くもパスファーストな選手であると言えるでしょう。

これまでの代表試合ではペイントアタックするまでは良いものの、その後は無理くりなスキップパスを繰り出し、味方もキャッチするのが苦労する状況に陥りがちでした。で、結果、ペイントタッチしたメリットが消えてしまうことが多々あった印象です。

ただ、188cmのビッグガードとしてディフェンスには強みを持っており、DF Ratingは驚異の100を切り、98.87。この数字のみで選手の守備力全てを評価できるものではありませんが、フィジカルを活かしたディフェンスが得意なのが見え隠れします。

個人的に思うのは、強いフィジカルを持っているので、もっとFTを獲得するためのプレーを繰り出しても良いような気がします。ビッグガードながらFTRが0.21なのは少し寂しい。FT%が75%なので、決して苦手ではないはずなので。

渡邉 飛勇

©信州ブレイブウォリアーズ
  • ポジション:PF
  • 身長:207cm
  • 体重:106kg
  • 年齢:26歳
  • 所属:信州ブレイブウォリアーズ
  • 主要な代表歴:2024年パリ五輪、2021年東京五輪

今シーズン成績(~2025.2.9)

基本スタッツ

プレー時間 PTS FG FG% 3P 3P% FT FT% REB OREB DREB AST TO STL BLK 被BLK F 被F EFF +/-
18:227.12.9/4.466.1%0.0/0.150.0%1.2/2.255.7%4.72.12.51.00.80.11.50.22.31.710.44.8

直近5試合成績

試合日 対戦相手 H/A S プレー時間 PTS FG FG% 3P 3P% FT FT% REB OREB DREB AST TO STL BLK 被BLK F 被F EFF +/-
1月21日静岡H14:3921/1100.0%0/00/03120002050216
1月25日熊本@15:0462/366.7%0/02/2100.0%321000103275
1月26日熊本@24:40125/683.3%0/02/633.3%96310020331914
2月8日鹿児島@18:1493/560.0%1/250.0%2/2100.0%9272201022174
2月9日鹿児島@06:4200/00/00/00000201040-52

考察

B2の信州ブレイブウォリアーズに所属している渡邉飛勇選手。B2ということでアドバンスドスタッツの集計は割愛させていただきました。

飛勇選手の魅力と言ったら、とにもかくにもブロックに代表されるリムプロテクション能力。何度見ても鳥肌が立つので、何度でも掲載しますが、パリ五輪でのフランス戦、NBAプレーヤーであるルディ・ゴベア選手に対するクラッチブロックにその能力の高さが詰まっています。

©日テレスポーツ【公式】

B2リーグではほぼ毎試合BLKを記録しており、BLKが記録されなかった試合は出場試合28試合の中で僅か3試合のみ。元々バレーボールでもトップクラスだったこともあり、危機的状況への反応速度やゴールを守るための純粋なジャンプ力などはバレーボールで培われたのでしょう。

数字を見てみると、Window2時点での紹介時と大きな変化はありません。唯一、懸念点があるとしたら、直近5試合ではプレータイムの大してファウルの数が多過ぎます。1/21静岡戦では14分の出場で5ファウル(ファウルアウト;退場)、2/9@鹿児島戦では僅か7分弱で4つもファウルを冒しています。
パリ五輪の盟友:ジョシュ・ホーキンソン選手から「ディフェンスは信州で学んだ」という言葉をキッカケに今シーズンから信州に活躍の場を移している飛勇選手。まだまだ学ぶべきことがたくさんありそうです。

Window2ではホーキンソン選手と共にツインタワーを形成するなど、ホーバスバスケの新たな可能性を感じさせる布陣でした。ただ、今回は3Pをほとんど打たないアレックス・カーク選手。中国の高さに対抗して、3Pオフェンスを抑えてでも併用するのか、起用法には注目していきたい所です。

まとめ

今回は津屋選手・川真田選手・赤穂選手・テーブス選手・飛勇選手の5人をピックアップしました。赤穂選手は平均的と評してしまいましたが、他の4選手は世界大会での経験もありユニークな選手たち。どの選手も現状はアジア杯本戦での当落線上の選手たちだと思うので、Window3では存分にアピールしてもらいたい所です。

次回は井上宗一郎選手・佐土原遼選手・中村拓人選手の3人をピックアップしていきます。今回に負けず劣らずユニークな選手たちなので、乞うご期待!

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