第31節|三遠ネオフェニックス✕仙台89ersの試合レビュー

試合レビュー

2026/4/11~4/12で開催された、三遠ネオフェニックス@仙台89ersの試合をレビューしていきましょう。

両チームとも今シーズン初めてレビューするチーム。両チームとも現在ワイルドカード枠圏外ですが、どちらもまだまだ枠の勝ち取りの可能性が十分にあるチームです。CS直前ということで、こういったチームもチェックしていこうと思います。

本記事では関連サービスを紹介しています。なお、当該部本文は筆者の判断で作成しています。

戦前データ

三遠ネオフェニックス

戦前順位は西地区5位・CSワイルドカード順位7位につけている三遠。昨シーズンBest5に選出され、AST王も受賞した主戦PGの佐々木隆成選手が、アキレス腱断裂の大怪我の影響で、本格始動が1月のバイウィーク後まで遅れたり、Wエースの一角であるヤンテ・メイテン選手も開幕早々に膝の故障で戦列を離れるなど、主力選手の離脱に悩まされた前半戦。

しかし、それらの選手が戻ってきて、戦力が高まり、2/7横浜BC戦から4/4@茨城戦までの約2ヶ月負けなし。驚異の13連勝を果たし、「フェニックス【不死鳥】」の名にふさわしい猛烈な追い上げを後半戦仕掛けています。

チームの躍進のキッカケとなったのは間違いなく、主力選手の戦列復帰ですが、躍進を支えたのは、チームが苦しい時期に戦って多くの経験を積んだ若手のリザーブの選手たちでしょう。

特筆すべきは日本代表候補にも選ばれた197cmのビッグガードである湧川颯斗わくがわはやと選手や2年目で急成長している根本大選手の2人の若手PG。
年末年始辺りからこの2選手の2ガードを敷くようになりましたが、両選手スターターとして出場した試合勝率は16勝3敗と圧倒的な成績を収めています。

この2選手による2ガードの良い面は、あくまでデータ上ではありますが、プレーメイクを湧川選手、スコアリングを根本選手というように、役割のオーバーラップが起きない所。
湧川選手はスターターPGが定着してからのAST数が2.68本。平均すると大したことない数字のようですが、時に6ASTを記録したり、それ以前がほぼ半分のAST:1.32本だったことを考えると、成長の著しさが分かります。

対する根本選手は湧川選手との2ガードスタートで出場した試合ではPPG:8.52と、今シーズンのPPG:5.9を大きく上回っています。

この成長した若手コアに、復帰した昨シーズンの中心選手が加わるため、チームの層は今やリーグ屈指と言っても過言ではありません。13人のロスターメンバーの内、プレータイムが10分に満たないのは僅か2人。また、15分以上のプレータイムを得ているのは9人と素晴らしいローテーションを組んでいます。

仙台89ers

こちらは戦前順位は東地区6位・CSワイルドカード順位6位の仙台。注目は今シーズンの現時点での得点王で元NBAプレイヤーであるジャレット・カルバー選手でしょう。
戦前時点でPPG:25.9得点は2位のスタンリー・ジョンソン選手(長崎)よりも3得点以上も離し、頭1つ抜けている得点力を誇っています。

3/15の秋田戦では、Bリーグ歴代タイ記録である1試合52得点(FG:15/29、3P:5/15、FT:17/19)を叩き出すなど、くすぶっていたNBAでのキャリアを払拭するようなスコアリングを展開しています。
また、三遠とは開幕してすぐの10/18・10/19の2連戦の試合があり、2戦合計で59得点(FG:20/40、3P:9/18、FT:10/14)で試合を支配。もちろん、カルバー選手の活躍によって2連勝を収めています。

そんな大エースを擁している仙台は文字通り、エースにかかる比重は非常に大きく、カルバー選手のチームにおける得点の割合:%PTは31.7%という高水準。勝った試合でも負けた試合でも、大体同程度のスコアリングを発揮しています。

仙台の勝敗を分けるのは他のメンバーの得点力と、2ndラインナップのDF力でしょう。カルバー選手の得点力が高水準で安定しているため、そこに上積みされる得点と、如何にカルバー選手が楽に得点できるかというシチュエーションを提供できるかが重要です。
そういう意味では、2ndスコアラーのネイサン・ブース選手が勝敗のカギを握っているでしょうか?今シーズンのB1リーグで唯一50-40-90のシュート効率を残しているビッグマンです。

また、チーム構成上、批判を恐れずに言えば、外国籍選手以外で得点の期待値が高い日本人選手がいないため、外国籍選手のローテーションの隙間となった時に、日本人選手のDFがしっかり機能するかが重要になるかもしれません。

4/11の試合データ

各チームを振り返ったところで、それでは今節の試合のデータを振り返っていきましょう。

基本スタッツ

三遠ネオフェニックス仙台89ers
98PT104
34/69
49.3%
FG32/65
49.2%
23/39
59.0%
2P20/35
57.1%
11/30
36.7%
3P12/30
40.0%
19/28
67.9%
FT28/31
90.3%
37REB35
12OREB9
25DREB26
31AST20
16TOV14
9STL13
4BLK3
27F22
基本スタッツの略語について

詳細スタッツ

三遠ネオフェニックス仙台89ers
67.6%%FGM2P62.5%
32.4%%FGM3P37.5%
56.5%%FGA2P53.8%
43.5%%FGA3P46.2%
46.9%%PT2P38.5%
33.7%%PT3P34.6%
19.4%%PTFT26.9%
19Points Off TOV23
24Fast Break Points20
202nd Chance Points11
46Points In the Paint40
35Bench Points11
1/6
(3)
After TO Results
(Points)
2/4
(5)
-2After TO +/-2
詳細スタッツの略語について

アドバンスドスタッツ

三遠ネオフェニックス仙台89ers
85.32ポゼッション数83.64
試合のペース:84.48
114.86Offensive Rate124.34
124.34Defensive Rate114.86
60.3%TS%66.1%
57.2%eFG%58.5%
1.36POT Efficasy1.44
1.672nd Chance Efficasy1.22
51.4%REB%48.6%
31.6%OREB%26.5%
73.5%DREB%68.4%
91.2%AST%62.5%
16.4%TOV%15.1%
1.15PPP1.24
0.50After TO PPP1.25
0.41FTR0.48
アドバンスドスタッツの略語について

Shoot Summary

三遠ネオフェニックス仙台89ers
2/7
28.6%
Self-Shootmake9/18
50.0%
1/2
50.0%
MID-Jumper3/8
37.5%
7/13
53.8%
Short-Jumper2/2
100.0%
1/1
100.0%
Push0/3
0.0%
2/7
28.6%
Floater1/2
50.0%
7/10
70.0%
Lay-Up12/17
70.6%
5Dunk3
0Tip-In0
8/16
50.0%
Catch&Shoot9/16
56.3%
2/6
33.3%
Moving0/2
0.0%
1/8
12.5%
Pull-Up3/12
25.0%
2/9
22.2%
Wide-Open4/9
44.4%
Shoot Summaryについて

戦評

試合を支配した仙台の外国籍3人

両チーム合わせて200点を超えたハイスコアゲームとなったこの試合。仙台の104得点の内、70%以上の実に76得点を占めました(カルバー:39得点、ダーウィッチ:21得点、ブース:16得点)。

チームFTA:31本の内、半分以上のカルバー選手が18本を獲得し、ダーウィッチ選手は1人で三遠のトータルLay-Upに迫る6/7を決め切り、ブース選手はシーズン2位タイとなる4本の3Pを沈めました。この辺の選手たちを三遠は全く止めることが出来ませんでした。

特にカルバー選手はリーグトップスコアラーとしての能力を如何なく発揮した他、DFでもトップの位置からSTLしてファストブレイクでダンクを決めるなど、元NBAのウイングの選手らしい1on1 DFの強さを見せつけたのも印象的でした。

伏兵:船生誠也選手が3P:3/3

試合を支配したのは上記3人の外国籍選手でしたが、彼らのOF一辺倒にならなかった要素の1つとして、船生ふにゅう誠也選手のシューティング精度にあると見ています。

シューターとしてはブース選手だけではスペースが生まれにくいですが、もう1人当たっている選手がいれば、エースの働き方もより容易になるものですが、それがこの試合は船生選手でした。前半に3本の3Pを集めましたが、いずれも重要なタイミングでの3Pでした。

船生選手の3P Madeのシチュエーション

  • 第1Q中盤に三遠にTOを取らせる、トドメの3P
  • 第2Q立ち上がりに5点差に詰め寄られてすぐに再投入され、その最初のシュートで三遠の流れをブッた切る3P
  • 第2Q終盤のATO OFでの3P

この3本の3Pの他にFT:2本を獲得し、そのいずれも決めて前半だけで11得点。最終的にこの11得点で試合を終えましたが、非常に貴重な11得点でした。

また、結果としてOFファウルになりましたが、第2Q残り3:22の時、アタックしてフィニッシュまで持って行けたシーンもありました。DFを防いだ左手がメイテン選手の顔に入ってしまったので、船生選手にとっては不幸な結果になりましたが、紙一重のとても良いプレーでした。

OFでミスが続出した三遠

最終的に98得点したものの、試合全体を見ると、三遠のミスが非常に多かった印象を受けました。

仙台DFが三遠のキックアウトを完璧に読んでパスSTLした場面も多く、その部分は仙台DFを賞賛したいですが、それ以上にしょうもないTOVが多かったです。ドライブに行くためのファーストドリブルでファンブル、ハーフコートOFスタートの段階でパスミスなど、OFを組み立てる前の段階でのTOVを繰り返していました。

その影響もあってか、Wide-Open 3PをAttempt:9本も得ているのに、成功が僅かに2本。Attemptを記録した選手の内、大浦颯太選手(1本)・吉井裕鷹選手(3本)・津屋一球選手(3本)と3Pシューターが多かったため、その辺の選手たちのシューティングが平常通りなら、違った結果になっていたかもしれません。

4/12の試合データ

基本スタッツ

三遠ネオフェニックス仙台89ers
104PT99
36/70
51.4%
FG33/71
46.5%
24/42
57.1%
2P17/35
48.6%
12/28
42.9%
3P16/36
44.4%
20/32
62.5%
FT17/22
77.3%
37REB39
13OREB16
24DREB23
27AST23
8TOV14
9STL5
3BLK1
23F23
基本スタッツの略語について

詳細スタッツ

三遠ネオフェニックス仙台89ers
66.7%%FGM2P51.5%
33.3%%FGM3P48.5%
60.0%%FGA2P49.3%
40.0%%FGA3P50.7%
46.2%%PT2P34.3%
34.6%%PT3P48.5%
19.2%%PTFT17.2%
22Points Off TOV9
24Fast Break Points13
172nd Chance Points16
48Points In the Paint34
22Bench Points22
1/4
(1)
After TO Results
(Points)
1/7
(2)
-1After TO +/-1
詳細スタッツの略語について

アドバンスドスタッツ

三遠ネオフェニックス仙台89ers
79.08ポゼッション数78.68
試合のペース:78.88
131.51Offensive Rate125.83
125.83Defensive Rate131.51
61.8%TS%61.4%
60.0%eFG%57.7%
1.57POT Efficasy1.13
1.312nd Chance Efficasy1.00
48.7%REB%51.3%
36.1%OREB%40.0%
60.0%DREB%63.9%
75.0%AST%69.7%
8.7%TOV%14.8%
1.32PPP1.26
0.25After TO PPP0.29
0.46FTR0.31
アドバンスドスタッツの略語について

Shoot Summary

三遠ネオフェニックス仙台89ers
8/21
38.1%
Self-Shootmake9/22
40.9%
1/3
33.3%
MID-Jumper2/9
22.2%
8/12
66.7%
Short-Jumper0/3
0.0%
1/3
33.3%
Push0/1
0.0%
4/8
50.0%
Floater0/2
0.0%
8/12
66.7%
Lay-Up10/15
66.7%
2Dunk5
0Tip-In0
8/14
57.1%
Catch&Shoot11/22
50.0%
3/3
100.0%
Moving1/4
25.0%
1/11
9.1%
Pull-Up4/10
40.0%
3/4
75.0%
Wide-Open2/4
50.0%
Shoot Summaryについて

戦評

メインスコアラー対決は三遠のWエースに軍配

総得点は1戦目で活躍した仙台の外国籍トリオのスコアラーの方が依然多かったですが、三遠のメイテン・ヌワバのWエースの方が全体的なパフォーマンスが上回りました。

三遠ネオフェニックス
【メイテン・ヌワバ】
仙台89ers
【JC・ダーウィッチ・ブース】
52PTs66
20/32
62.5%
FG21/45
46.7%
20/30
66.7%
2P13/27
48.1%
0/2
0.0%
3P8/18
44.4%
12/19
63.2%
FT12/16
75.0%
2TOV6
75ETF58
64.4%TS%63.4%
62.5%eFG%55.6%
0.59FTR0.36
当該の選手に限った各スタッツを合算・算出したデータ表

確率については、比較選手の人数の影響で母数の違いが生じるため、議論の余地がありますが、成功数を比較した時、2人の選手でこれを行っているのが三遠のWエース。
強かった昨シーズンから依然として弱点であり続けているFT%はともかく、2選手で仙台の全体のFTA(22本)に迫る19本のFTAを獲得しているのが素晴らしいですね。

特筆すべきはTOVの部分で、1戦目で目立ったメイテン選手・ヌワバ選手のTOVが合計でチームの半数を占める8本でしたが、この試合では僅か2本で、ハンドリングシチュエーションも多かったヌワバ選手は0本でした。1戦目の失敗を見事に修正したのは、流石ベテランと言ったところでしょう。

対する仙台側は、カルバー選手は安定したハイパフォーマンスで、1戦目39得点の後、この2戦目でも36得点で、「期待通り、期待以上の活躍」と言えるでしょう。最終的に5Foulで退場となりましたが、試合終了残り数秒までコートに立ち続けてチームのOFを引っ張ったので、賞賛することはあっても批判は出来ません。

誤算だったのは他の2選手で、ダーウィッチ選手はスコアリングが安定(FG:4/6・3P:3/5)していたものの、ファウルトラブルでプレータイムが制限(最終的に第4Q残り3:38の段階でファウルアウト)され、そのスコアリングの連続性をチームに付与することが出来ませんでした。
ブース選手も1戦目のシュートタッチを引き継ぐことが出来ず、3P:2/6(33.3%)で、同選手のスタンダードからすると低い水準でした。特にCatch&Shootで1/4(25.0%)だったのが良くなかったですね。

層の厚さを見せつけた三遠のスコアリングの分散

冒頭でも解説した湧川選手がこの試合、ほぼキャリア最高と言っても良いパフォーマンスで、14得点(FG:5/8・3P:4/5)・5REB・4AST・0TOV・3STLの大活躍。貢献度を示すETFはチーム3番目の19でした。

この湧川選手を筆頭に、シュートノーミスの津屋選手が15得点(3P:4/4・FT:3/3)、Pull-Up 3Pが1/7(14.3%)で奮わなかったものの、佐々木選手が10得点と、2ケタ得点した選手が三遠は5人でした。

他にも、要所でしっかり3Pを決め切った吉井選手や浅井英矢選手もスコアリングの面で仕事をしたと言えます。

対照的に仙台は先の外国籍トリオに加え、岡島和真選手が12得点で4人でしたが、岡島選手の得点シーンはほぼ全てブザービーターシチュエーションで、OFの連続性という意味ではあまり効果的ではありませんでした。

実は1戦目からDFに課題のあった仙台

1戦目のDF Rate:114.86とお世辞にも良いとは言えないDF力でしたが、第2戦のこの試合は131.51とさらに悪化。その背景は試合を観ていると結構明らかで、DFが基本的にボールウォッチャーとなってしまって、キックアウトパスへの対応が遅れてしまうところでしょう。

2戦合わせてWide-Open 3Pを13本も許しているのは両チーム同様ですが、全体の質としては仙台の方が悪い印象。故に、Moving 3Pを打ってくる相手にはDFに苦労しそうです。実際に、この試合では湧川選手にMoving 3Pのみで3/3決められています。

また、試合を通して、キックアウトの他にもエクストラパス(反対側のサイドに直接供給する遠距離パス)を三遠に許す頻度が多く、簡単にDFを引っ掻き回されてしまっていました。

悪い言い方をしたら、基本は大エースのスコアリングに頼るOFになるため、殴り合いになると分が悪くなってしまいますから、相手にイージーなOFを展開されるのは確率負けしてしまうことが多くなるでしょう。

実際にこれまでの試合のデータを振り返ると、チーム平均の被2PFG%:53.4%に対し、敗戦時のみに限ると60.8%にまで悪化しています。殴り負けている訳ではなく、盾が脆すぎる感じですね。

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