CS初出場となった昨シーズンに続き、今シーズンもChampion Ship(以下、CS)に臨む群馬。今シーズン、筆者は記事作成時点で最終節の仙台戦を除く58試合、群馬の試合を観てきたので、「とうとうここまで来たか」と万感の思いです。地元チームというだけで追いかけてきましたが、本当に良かったです。
2度目となる今シーズンのCSでは、悲願の優勝を目指して臨んでいきます。記事上ではフラットな立場を保っていきますが、いちブースターとして一番応援しています。頑張って欲しいです。
今回も勝敗データやスタッツ系などを見て、「CS優勝へのロード」を結論付けていこうと思います。
なお、CS出場を確定させた以降の試合データも分析していくと参考になりにくいため、基本的には「CS確定まで(4/25@北海道)のデータ」を参照していきます。シーズン全体のデータは必要に応じて参照していきます。
勝敗状況
| 勝 | 負 | |
| CS確定段階 | 40 | 17 |
| HOME | 21 | 7 |
| AWAY | 19 | 10 |
群馬ブースターの界隈では演出も派手で「一番楽しい」とよく言われているオープンハウスアリーナをHOMEにしています。そんな「一番楽しい」らしいアリーナに駆けつけてくるブースターの声援もあってのこの成績でしょう。応援の力って実は凄いので。
地区別戦績
| 勝 | 負 | |
| 東地区 | 24 | 7 |
| 西地区 | 16 | 10 |
東西で分けると同地区の東地区のチームとの勝率が高いです。中盤以降、ケガ人が続出してローテーションの組み方が難しかったことも影響しているかもしれませんが、その期間の西地区の下位チームにも惜しくも黒星を喫することが多かったです。
CS出場チームとの戦績
| 勝 | 負 | |
| 長崎ヴェルカ | 0 | 2 |
| シーホース三河 | 1 | 1 |
| 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ | 2 | 0 |
| 宇都宮ブレックス | 2 | 2 |
| 千葉ジェッツ | 0 | 2 |
| 琉球ゴールデンキングス | 1 | 1 |
| アルバルク東京 | 2 | 0 |
| Total | 8 | 8 |
戦績は5分ではありますが、敗戦1つ1つ見てみると接戦の末の敗北が多く、パワーバランスで言えば決して5分に収まるチームではないのが群馬。ただ、「あと1つ、強豪相手に勝ちきれない」とも言えてしまいます。CSではどうなるでしょうか?
群馬の強みとは
ハマった時のパフォーマンスはリーグ最強クラス
シーズン序盤はまだアイデンティティが構築されていなかったり、中盤は前述したようにケガ人続出で厳しい試合が続きましたが、8連勝で負けなしだった11月(12/6@富山戦含めて9連勝)があったり、3/8京都戦~4/15@渋谷戦まで破竹の13連勝を挙げるなど、一度波に乗るとずっと好調を維持し続けるのが特徴的。
その背景を語るのは勝利時のRating指標で、勝利時のOF Rate:124.76でCSチーム1位、DF Rate:97.89で同2位と、攻守ともに相手を圧倒するバスケを展開します。
勝利時にはFG:30.8/62.3(49.4%)、3P:11.1/28.2(39.3%)と驚異的な確率を残しており、対して相手にはFG:24.9/59.6(41.8%)。確率を抑えているのもそうですが、それ以上にFGA:60本未満に抑えている方が素晴らしいです。
FGA自チーム比で2.7本抑えており、Opp TOVが同様に2.7本多く誘発させています。
シューターの「質」が高い
長崎に次ぐリーグ2位の3P%を誇る群馬ですが、数字上「シューター」と言える選手は実は藤井・トレイ・辻・細川の4人のみです。3PFGA:2.0本以上を記録している選手となると、この4人に加えて中村拓人選手が3.0本打っていますが、確率は29.7%とシューターと言えるレベルではありません。
ただ、その少ないシューター陣の質が非常に高いです。各選手の確率を振り返りましょう。
| 3P | ||
| 藤井 祐眞 | 1.9/5.7 | 33.9% |
| トレイ・ジョーンズ | 2.0/4.7 | 42.3% |
| 辻 直人 | 1.9/5.1 | 37.5% |
| 細川 一輝 | 2.0/5.0 | 39.2% |
このように、ほとんどの選手がエリート級の確率を残しています。
藤井祐眞選手のみ、やや全体の確率が落ち込んでいますが、Wide-Openに限ると、チームトップの57.8%という確率を残しています。同シチュエーションのAttemptもチーム2位の45本得ている(1位は細川一輝選手の47本※38.3%)ため、それだけチームメイトから信頼されているシューティングだと言えます。
これらの選手に特徴的なのは、単なるCatch&Shootによる3Pではなく、Moving 3Pの本数も多いところ。チーム全体でこの3PシュートをデザインするためにOFが連動するため、少しでもDFがハンドラーのヘルプに向かえば、これらのシューター陣がポジションを変えてボールを受けクイックリリースで3Pを沈めてくるため、相手DFは常に気が抜けません。
また、中盤戦まで「シューターの『質』は良いけど『量』がない」と評していましたが、ヨハネス・ティーマン選手の41.4%(0.7/1.7)を筆頭に、1.5本以上打つ選手が3人おり、いずれも40%前後の成功率を記録し、上記4人のシューター陣に偏らないシューティングを展開しています。こういった選手がいるからこそ、4人の選手が光ります。
リーグトップのFTチーム
群馬はFT%がリーグで唯一80%を超えるチーム。試投数も平均して16.2本獲得しており、リーグ随一の低速チームでこの本数と確率は数字以上に驚異的なデータです。
というのも、ややメタ的な分析にもなりますが、低速チームである群馬はそのポゼッションのフィニッシュが24秒計のこり2~4秒となることもザラにあります。
相手DFとしたら、そこまで群馬のOFを封じ込めていたのに、最後の詰めの部分でFTを獲得され、それを決められるわけですから、「せっかく守ったのに…」と、点差以上に心理的なダメージは大きいはず。
それでいて最高確率で沈められるわけですから、次のOFポゼッションでやり返さないといけません。そういったプレッシャーの掛け方があるということですね。
そんなFTチームを支えているのは大黒柱のケリー・ブラックシアーJr選手。FT%:86.3%、FTA:4.8本は両方ともチームトップの数字。日本代表のジョシュ・ホーキンソン選手(渋谷)を彷彿とさせる献身性を示しています。
CS優勝を目指す上での課題
これまでは群馬の強みとなる点を3つ挙げていきましたが、逆にどのような課題がチームとして残っているのか、勝利時と敗戦時の比較をしていきます。
試合のペースを崩されやすい
群馬は1試合当たりのペースが69.82と70ポゼッションを下回る低速チーム。他のチームならFast Breakを仕掛けたり、2nd Chanceですぐにリム直下でシュートを試みるようなシチュエーションでも、ハンドラーがプッシュを止めたり、OREB後、PGにボールを預けて、また14秒しっかり使ってOFを組み立てることがよくあります。
特に勝利時には69.20のペースでかなりゆっくりですが、逆に敗戦時には70.84というペースの速さを強いられています。差分にして1.64。CS出場チームはどのチームも比較的安定していますが、群馬はペースコントロール能力の低さが垣間見えるデータとなりました。
次のTOVの部分でも触れるところではありますが、ハーフライン付近でハンドラーの選手が判断を間違えたり、相手DFのプレッシャーに負けたりして、試合にも負けてしまうというのがシーズン中盤にはよく見てきました。
TOVが比較的多い
群馬にとっての明確な負け筋となっているのがTOV絡みの面。いくつかデータをピックアップしてみましょう。
| 勝利時 | 敗戦時 | |
| TOV | 10.43 | 12.94 |
| Opp PTs Off TOV | 11.55 | 15.65 |
| TOV% | 13.0% | 15.5% |
| Opp P.O.T.E | 1.11 | 1.21 |
勝敗時で非常に落差が多い上に、勝利時でも13.0%のTOV%に、Opp P.O.T.E:1.11もあります。
DFプレッシャーが強くなるCSにおいて、このTOV癖の脆弱性は致命的で、一気に流れを持っていかれるとかなり危険です。
ハーフコートOFを基調としているため、Fast Breakを狙えるシチュエーションでも仕掛けないという特徴があるとは前述した通りですが、一旦ハンドラーにボールを託すために出したパスをカットされたり、ハーフライン付近でDFに捕まってボールを失うことが割とよくあります。
そうなると、一転、相手にイージーなOFを献上することになるため、それだけで2点の差を埋められてしまいます。流れを失わないためにも、TOVには本当に気を付けたい所です。
ポゼッション当たりのFOUL数がやや多い
これはあくまで概算による弱い根拠となってしまいますが、1試合平均のポゼッション数:約140.58POSS(OF POSS+DF POSS)において、17.71本のFOUL数。割合にしてポゼッションの12.6%でFOULを吹かれています。
これはCS出場チームの中ではワースト4位の水準。ロスターが安定しないA東京を除けば3番目に高い数字です。
集計上、OF FOULとDF FOULの比率は出すことは出来ませんが、TOVの数が比較的多いことを考えると、OF FOULの癖が少し強いのかもしれません(※Bリーグ公式スタッツでは、OF FOULもTOVとしてカウントしています)。
群馬はシュータームーブが目まぐるしく行われるOFシステムを採っており、その際にはオフボールスクリーンやハンドオフなど、ビッグマンがHubとなることが多いです。その際に、ムービングスクリーンなどでOF FOULを吹かれることもしばしば、といった感じ。
群馬は比較的サイズの小さいチームなので、ビッグマンのFOULトラブルは避けたい。特にKBJ・JT・AJの3選手はペイントエリアでのフィニッシャーとしても重要なプレイヤーなので、特に気を付けたいとことです。
CS優勝のためのキーポイント
群馬がCSで優勝するためのキーポイントは、ズバリ「ハンドラーの安定感」と考えます。
戦績が低調だった中盤戦でよく見た光景ですが、ハンドラーがDFのプレッシャーに負けてトップに近い位置でボールを失い、得意なハーフコートOFを封じられるどころか、相手にイージーな形でFast Break PTsを献上することがしばしばありました。
CSという強度の高い舞台では、どのチームも如何に相手の強みを消しに来れるかというところが重要になってきます。群馬はそういう意味では割と潰しどころが明確なので、ハンドラーである藤井・コー・中村の3人のPGの安定感が非常に重要です。
時間帯や試合の流れによっては2ガードの布陣を敷くこともありますが、そうなるとシューター枠の選手が1枚少なくなるため、その時間帯の時こそ、ハンドラーによる安定したクリエイトで3Pを演出してもらいたい所です。
スタッツ情報
CS確定までの平均・勝利時・敗戦時のデータも併せて提示していきます。
基本スタッツ
| 平均 | 勝利時 | 敗戦時 | |
| PTs | 82.75 | 86.62 | 74.94 |
| FG | 29.6/63.1 46.9% | 30.8/62.3 49.4% | 26.9/64.4 41.8% |
| 2P | 18.8/34.9 | 19.7/34.1 57.7% | 16.9/33.1 51.2% |
| 3P | 10.8/29.2 36.9% | 11.1/28.2 39.3% | 10.0/31.4 31.9% |
| FT | 13.0/16.2 80.3% | 14.0/17.6 79.7% | 11.1/13.4 82.8% |
| REB | 35.93 | 36.35 | 34.94 |
| OREB | 11.18 | 11.05 | 11.41 |
| DREB | 24.75 | 25.30 | 23.53 |
| AST | 21.54 | 22.62 | 19.65 |
| TOV | 11.20 | 10.43 | 12.94 |
| STL | 6.63 | 7.10 | 5.47 |
| BLK | 2.61 | 2.75 | 2.24 |
| FOUL | 17.71 | 17.15 | 19.12 |
| FOUL-Draw | 19.77 | 20.30 | 18.53 |
基本Oppスタッツ
| 平均 | 勝利時 | 敗戦時 | |
| Opp PTs | 72.59 | 67.92 | 83.12 |
| Opp FG | 26.3/60.9 43.2% | 24.9/59.6 41.8% | 29.2/62.9 46.4% |
| Opp 2P | 17.9/34.2 | 17.3/33.9 51.2% | 18.9/34.6 54.6% |
| Opp 3P | 8.4/26.7 31.7% | 7.6/25.8 29.6% | 10.3/28.4 36.3% |
| Opp FT | 11.6/15.7 73.6% | 10.4/14.5 71.6% | 14.5/18.6 77.6% |
| Opp REB | 33.46 | 31.50 | 37.71 |
| Opp OREB | 10.73 | 10.35 | 11.65 |
| Opp DREB | 22.73 | 21.15 | 26.06 |
| Opp AST | 18.09 | 16.93 | 20.76 |
| Opp TOV | 12.98 | 13.70 | 11.41 |
| Opp STL | 5.80 | 5.35 | 6.88 |
| Opp BLK | 2.04 | 1.93 | 2.29 |
詳細スタッツ
| 平均 | 勝利時 | 敗戦時 | |
| %FGM2P | 63.6% | 64.0% | 62.9% |
| %FGM3P | 36.4% | 36.0% | 37.1% |
| %FGA2P | 53.7% | 54.8% | 51.3% |
| %FGA3P | 46.3% | 45.2% | 48.7% |
| %PT2P | 45.4% | 45.5% | 45.2% |
| %PT3P | 39.0% | 38.4% | 40.0% |
| %PTFT | 15.7% | 16.2% | 14.8% |
| PTs off TOV | 16.07 | 18.18 | 12.47 |
| Fast Break PTs | 8.75 | 9.07 | 7.88 |
| 2nd Chance PTs | 12.11 | 12.70 | 10.65 |
| PTs in the Paint | 31.15 | 32.92 | 28.35 |
| Bench PTs | 30.43 | 33.15 | 24.41 |
詳細Oppスタッツ
| 平均 | 勝利時 | 敗戦時 | |
| Opp %FGM2P | 67.9% | 69.4% | 64.7% |
| Opp %FGM3P | 32.1% | 30.6% | 35.3% |
| Opp %FGA2P | 56.2% | 56.7% | 55.0% |
| Opp %FGA3P | 43.8% | 43.3% | 45.0% |
| Opp %PT2P | 49.2% | 51.0% | 45.4% |
| Opp %PT3P | 34.9% | 33.7% | 37.2% |
| Opp %PTFT | 15.9% | 15.3% | 17.4% |
| Opp PTs off TOV | 12.62 | 11.55 | 15.65 |
| Opp Fast Break PTs | 10.45 | 9.50 | 12.76 |
| Opp 2nd Chance PTs | 11.22 | 10.53 | 12.53 |
| Opp PTs in the Paint | 32.00 | 30.55 | 35.06 |
| Opp Bench PTs | 23.98 | 22.77 | 26.41 |
アドバンスドスタッツ
| 平均 | 勝利時 | 敗戦時 | |
| POSS | 70.28 | 69.43 | 70.91 |
| Opp POSS | 70.03 | 69.39 | 71.83 |
| OF Rate | 117.74 | 124.76 | 104.35 |
| DF Rate | 103.66 | 97.89 | 117.21 |
| Net Rating | 14.09 | 26.87 | -12.86 |
| Pace | 69.82 | 69.20 | 70.84 |
| TS% | 59.0% | 61.8% | 53.3% |
| eFG% | 55.4% | 58.3% | 49.6% |
| P.O.T.E | 1.24 | 1.33 | 1.09 |
| Opp P.O.T.E | 1.13 | 1.11 | 1.21 |
| 2nd C.E | 1.08 | 1.15 | 0.93 |
| Opp 2nd C.E | 1.05 | 1.02 | 1.08 |
| REB% | 51.8% | 53.6% | 48.1% |
| OREB% | 33.0% | 34.3% | 30.5% |
| DREB% | 69.8% | 71.0% | 66.9% |
| AST% | 72.8% | 73.5% | 72.9% |
| Opp AST% | 68.8% | 67.8% | 71.2% |
| TOV% | 13.8% | 13.0% | 15.5% |
| Opp TOV% | 16.1% | 17.2% | 13.8% |
| FTR | 0.26 | 0.28 | 0.21 |
今シーズンレビューした試合
今シーズン、合計13試合をレビューしました。全てこちらで挙げるのも大変なので、【試合レビュー】のタブから飛んでみてください。

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