前身であるアイシン・シーホース時代から日本バスケ界を牽引してきた三河。日本バスケ界の盟主とも言えるであろう、このチームも今シーズンもChampion Ship(以下、CS)に臨みます。
今回も勝敗データやスタッツ系などを見て、「CS優勝へのロード」を結論付けていこうと思います。
なお、CS出場を確定させた以降の試合データも分析していくと参考になりにくいため、基本的には「CS確定まで(4/19@京都)のデータ」を参照していきます。シーズン全体のデータは必要に応じて参照していきます。
勝敗状況
| 勝 | 負 | |
| CS確定段階 | 39 | 16 |
| HOME | 18 | 8 |
| AWAY | 21 | 8 |
ブースターにとって悲しいことなのか、胸を張れることなのか微妙なところですが、HOMEよりもAWAYの方が高い勝率になりました。
※シーズン完遂した60試合後の結果では、HOME4連戦で3勝1敗で、H-Aで勝利数が並びました。
地区別戦績
| 勝 | 負 | |
| 東地区 | 16 | 10 |
| 西地区 | 23 | 6 |
愛知県3チーム(名古屋DD・FE名古屋・三遠)との試合数が期間中、8試合あり、結果は5勝3敗で勝ち越し。名古屋DDの方でも少し触れましたが、移動距離が短くなりやすい同地区チームとの試合の方が優位に戦えていたのでしょうか?
CS出場チームとの戦績
| 勝 | 負 | |
| 長崎ヴェルカ | 1 | 1 |
| 琉球ゴールデンキングス | 2 | 1 |
| 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ | 1 | 3 |
| 宇都宮ブレックス | 0 | 2 |
| 千葉ジェッツ | 1 | 1 |
| 群馬クレインサンダーズ | 1 | 1 |
| アルバルク東京 | 0 | 2 |
| Total | 6 | 11 |
CS出場チームの内、最も勝率が低いのが三河というチーム。2勝を挙げたのは7チーム中琉球のみという結果に。
ただ、奇しくも吉報なのが、CS初戦の相手がその琉球だということ。CSでどこまで再現出来て、どこまで下馬評を覆せるのか、要注目です。
三河の強みとは
ハーフコートでもトランジションでも得点を獲れる
1試合当たりのペースはおよそPOSS:72弱という中速型チーム。これは勝利時・敗戦時に大きく変化せず、常に自分たちのリズムでゲームコントロールできている証明になります。
後述する3P%の面にも関わりますが、三河は常にボールとプレイヤーが意図した動きを繰り返し、常に良い形でシュートを生み出すOFを展開しています。どちらかと言えば、【ボールムーブ】よりも【プレイヤームーブ】からズレを作ってアタックしているチームのように個人的には感じるところです。
その理由には、AST%が70%を下回っていることが挙げられます。チームの1stスコアラーであるダバンテ・ガードナー選手(CS確定までにPPG:16.7Pts)のポストアップ、3rdスコアラーである西田優大選手(同PPG:11.6Pts)のアイソレーションからのそれぞれのShootmakeがOFの起点となります。
それ以外の選手がランニングしてこの2人のためのスペースやズレを作って得点を重ねることが多いですね。
また、中速型チームという反面、Fast Break PTs:12.11とトランジションの場面でも積極的に得点を狙っているのも特徴的。およそ同速チームである琉球やA東京がF.B.PTsが10点を下回っていることを考えると、この数字が如何に特異的かが伝わるでしょう。
安定したシューティング能力
三河は常に良い形でのシュートを選択していることもあって、3P%はかなり高い水準にあります。
平均で34.4%(10.9/31.6)という数字も基より、勝利時には35.6%と上振れることもなく、敗戦時には確率面では-4%と一見して下がっているように見えますが、成功数の違いは僅か1本のみ。上振れることも、大崩れすることなく、常に10~11本の3PをMadeする安定感が三河の強みと言えます。
今シーズン、三河の試合をレビューしたのは僅か2試合なので、毎試合追っかけている人からしたら別の印象を抱くかもしれませんが、個人的にはビッグウイングの3選手のランニングプレーがかなり多いという印象を抱いています。このランニングプレーによって生み出されるものはいくつかあります。
ハンドラー優位なスペース作り
前述した通りで、ガードナー選手・西田選手といったハンドラーのスコアリングのためのスペース作りです。
オンザコートパターンとして、【ガードナー+ケネディ(帰化枠)+レイマンorホワイト】の1BIG・2WINGや、【ケネディ+レイマン+ホワイト】3BIGWINGといったビッグラインナップを敷くことが三河には可能です。
このウイング3選手のスタッツで注目したいのが高い3P%です。
| 3P | ||
| トーマス・ケネディ | 1.2/3.2 | 36.5% |
| ジェイク・レイマン | 2.2/5.5 | 40.1% |
| アーロン・ホワイト | 0.8/2.4 | 34.1% |
このような成績を残すビッグウイングの選手がコート上を走り回ります。一般的に、200cmを超えるような選手はチェイスDFが遅れがちという弱点があり、これらの選手へのチェイスに集中することで、ヘルプDFへの対応のしにくさを相手DFに強いて圧力を掛けることが出来ます。
ビッグウイング選手によるMoving 3P
スコアラーを活かすための動きだけでなく、もちろん、これらの選手もフィニッシャーとしてMoving 3Pを狙ってきます。それも、かなり高確率に沈めてくるため、相手チームからしたら脅威でしかありません。
直前に述べたように、これらの3選手にマッチアップするのは基本的には高身長プレイヤーで、チェイスDFを一般的には苦手にしているプレイヤーが多いです。
この際、ノーマルなランニングプレーでもDFを捲って3Pシュートを決めたり、OFFボールスクリーンでズレを作ってWide-Open 3Pを打ち抜く。仮にそのスクリーンでスイッチされたとしても、サイズ的にはアンダーサイズの選手ですから、意に介さず打つことが出来ます。相手チームからしたら、外してくれることを祈るのみで、為す術がありませんね。
CSチームトップのTOVの少なさ
三河はCS出場8チーム中、最もTOV数が少ないことは特筆すべき点でしょう。
| TOV | TOV% | |
| シーホース三河 | 10.89 | 13.2% |
| 琉球ゴールデンキングス | 11.00 | 12.9% |
| 宇都宮ブレックス | 11.22 | 13.3% |
| 群馬クレインサンダーズ | 11.22 | 13.8% |
| 千葉ジェッツ | 11.67 | 13.7% |
| アルバルク東京 | 11.77 | 16.2% |
| 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ | 12.41 | 13.5% |
| 長崎ヴェルカ | 12.77 | 16.3% |
勝利時には11.10本で、敗戦時には10.38本と、寧ろ少なくなっており、【ミス連発で敗戦】というシチュエーションがほとんどないと言って良いデータです。
AST%が70%を下回っていることから、基本的にはスコアリングハンドラー主体のバスケ。そのハンドラーのボール保持率が高いことの裏付けで、西田選手はもちろん、長野誠史選手や久保田義章選手にも同様の評価を与えることが出来ます。
CS優勝を目指す上での課題
これまでは三河の強みとなる点を3つ挙げていきましたが、逆にどのような課題がチームとして残っているのか、勝利時と敗戦時の比較をしていきます。
全体的にDF力が低い
あまりに大雑把な特徴ですが、DF力の低さを示すデータを具体的にいくつかピックアップしてみます。
- DF Rate:108.20(→敗戦時:120.32)
- Opp 2P:18.3/35.5 51.5%
- Opp 3P:10.0/29.0 34.6%(→敗戦時:11.6/29.5 39.4%)
- Opp TOV:12.05(→敗戦時:10.50)
- 敗戦時REB%:46.0%
特に致命的なのが3Pシュートに対するDF。シーズン平均(※CS確定までの期間)のでも確率高く決められており、敗戦時にはOpp 3PFGAが平均値とほぼ変わらない中、1.6本多く相手に献上しています。
3Pが良く決められれば、次に手痛くなるのが2Pによる失点。ペリメーターでのジャンパーでの失点が、Opp 2PFGMとの差し引きでおよそ2~3本と考えると、ペイントエリア内での失点が31.93失点、Opp 2PFGM換算でおよそ16本も決められているため、DFローテーションの遅れやクローズアウトの甘さなどが三河DFの弱いところと言えます。
また、OF面では武器なるビッグウイングの選手たちですが、試合を観ていると割とローアクティブなディフェンダーで、自チームの強みを帳消しに出来てしまうほどのDF力です。
ビッグマンのDFの低さとしては、DREBとBLKの面が挙げられます。
DREBは5.3本のガードナー選手がチームハイで、次点に5.2本のレイマン選手と物足りないと言わざるを得ません。チーム全体のDREB%も70%を下回り、勝利時にようやく70.2%というデータに。2nd Chance PTsも11失点前後と少し頼りないですね。
また、明確なウィークサイドブロッカー(ボールサイドの反対からヘルプに来てBLKを狙う選手)が不在。幸い、ガードナー選手やホワイト選手のフィジカルDFは機能しますが、それを出し抜かれた時にDF側が対処できません。
ペイントアタックの質が勝敗に直結
基本的にはDFで守り勝つよりも、OFで殴り勝つチームカラーである三河。それを支えているのは振れ幅の少ない安定した3Pシューティングであると述べましたが、反面、ペイントエリアを攻略できないと敗戦を喫しているという、明確なデータが存在します。
勝利時の2PFG:20.2/32.8(61.5%)ですが、敗戦時には17.2/33.0(52.3%)と大きく低下。2PFGMの本数差として、ちょうど3.0本の差=6点分の差が発生していますが、これは勝利時のペイントエリア内の得点(37.74得点)と敗戦時のそれ(31.88得点)との差がそのまま出ている数字です。
また、FTRも勝利時:0.27→敗戦時:0.22と大きく低下しており、FTAの本数差にして2.9本の違いがあります。実はFT%はリーグ2位の成績を残している三河。ですが、そもそもFTAを獲得できないと、その大きな武器を発揮する場面にも辿り着かないといったところが玉に瑕。
ただ単にペイントエリア内の得点が少なくなっているだけでなく、「ペイントエリアへ攻めに行けていない」ということが三河の明確な負け筋になっています。
OREBと2nd Chance PTsの期待値に大きい波
DREB面の弱さを指摘しましたが、OREBも同様に三河の弱点です。特に敗戦時にはOREB:9.75本、OREB%:25.8%と落ち込み、2nd Chance PTsも敗戦時には8.69得点と著しく低いです。
ペイントエリア内でのフィニッシュ能力に波が発生するのは、このOREBの不安定さも要因の1つと考えられ、本来であれば、2nd Chanceで補いたい所ですが、現状はOREBも取れないため、2nd Chanceの機会も生まれていません。シュートが入らない試合ほど、REBで粘れない。かなり大きい課題です。
CS優勝のためのキーポイント
三河がCSで優勝するためのキーポイントは、ズバリ「OREBへの意識向上」と考えます。
3Pシュートの振れ幅が少ないため、得点力はCS出場チームの中でも上位にあると思われます。反面、DF力は逆にCS出場チームの中でも低い方。となると、とにかく殴り勝つ試合展開に持っていきたい所。
そのためには、OREBへの意識を高めて、ポゼッションゲームを制し、持ち前の得点力の底上げを目指していく必要があります。他の要素はすぐに対応できる部分が少ないですが、OREBに関してはその意識があるかないかでも成果が変わる部分ではあります。
スタッツ情報
CS確定までの平均・勝利時・敗戦時のデータも併せて提示していきます。
基本スタッツ
| 平均 | 勝利時 | 敗戦時 | |
| PTs | 84.09 | 87.59 | 75.56 |
| FG | 30.2/64.5 46.8% | 31.4/64.3 48.8% | 27.3/64.9 42.1% |
| 2P | 19.3/32.9 58.7% | 20.2/32.8 61.5% | 17.2/33.0 52.3% |
| 3P | 10.9/31.6 34.4% | 11.2/31.5 35.6% | 10.1/31.9 31.5% |
| FT | 12.8/16.3 78.5% | 13.6/17.2 79.4% | 10.9/14.3 76.0% |
| REB | 36.36 | 37.46 | 33.69 |
| OREB | 10.47 | 10.77 | 9.75 |
| DREB | 25.89 | 26.69 | 23.94 |
| AST | 20.49 | 21.18 | 18.81 |
| TOV | 10.89 | 11.10 | 10.38 |
| STL | 6.36 | 6.67 | 5.62 |
| BLK | 2.31 | 2.33 | 2.25 |
| FOUL | 17.35 | 16.92 | 18.38 |
| FOUL-Draw | 19.18 | 19.74 | 17.81 |
基本Oppスタッツ
| 平均 | 勝利時 | 敗戦時 | |
| Opp PTs | 77.73 | 74.28 | 86.12 |
| Opp FG | 28.3/64.5 43.8% | 27.4/64.5 42.4% | 30.5/64.7 47.1% |
| Opp 2P | 18.3/35.5 51.5% | 18.0/35.7 50.4% | 18.9/35.2 53.6% |
| Opp 3P | 10.0/29.0 34.6% | 9.4/28.8 32.5% | 11.6/29.5 39.4% |
| Opp FT | 11.2/15.0 74.2% | 10.2/13.8 73.7% | 13.5/17.9 75.3% |
| Opp REB | 35.65 | 34.05 | 39.56 |
| Opp OREB | 11.36 | 11.31 | 11.50 |
| Opp DREB | 24.29 | 22.74 | 28.06 |
| Opp AST | 21.13 | 20.00 | 23.88 |
| Opp TOV | 12.05 | 12.69 | 10.50 |
| Opp STL | 5.73 | 6.00 | 5.06 |
| Opp BLK | 2.40 | 2.03 | 3.31 |
詳細スタッツ
| 平均 | 勝利時 | 敗戦時 | |
| %FGM2P | 64.0% | 64.3% | 63.2% |
| %FGM3P | 36.0% | 35.7% | 36.8% |
| %FGA2P | 51.0% | 51.0% | 50.8% |
| %FGA3P | 49.0% | 49.0% | 49.2% |
| %PT2P | 46.0% | 46.1% | 45.7% |
| %PT3P | 38.8% | 38.4% | 40.0% |
| %PTFT | 15.2% | 15.5% | 14.4% |
| PTs off TOV | 15.27 | 16.44 | 12.44 |
| Fast Break PTs | 12.11 | 12.33 | 11.56 |
| 2nd Chance PTs | 10.45 | 11.18 | 8.69 |
| PTs in the Paint | 36.04 | 37.74 | 31.88 |
| Bench PTs | 27.91 | 29.56 | 23.88 |
詳細Oppスタッツ
| 平均 | 勝利時 | 敗戦時 | |
| Opp %FGM2P | 64.6% | 65.8% | 61.9% |
| Opp %FGM3P | 35.4% | 34.2% | 38.1% |
| Opp %FGA2P | 55.1% | 55.4% | 54.4% |
| Opp %FGA3P | 44.9% | 44.6% | 45.6% |
| Opp %PT2P | 47.0% | 48.5% | 43.8% |
| Opp %PT3P | 38.7% | 37.8% | 40.5% |
| Opp %PTFT | 14.4% | 13.7% | 15.7% |
| Opp PTs off TOV | 12.55 | 12.10 | 13.62 |
| Opp Fast Break PTs | 11.29 | 10.46 | 13.31 |
| Opp 2nd Chance PTs | 11.13 | 10.92 | 11.62 |
| Opp PTs in the Paint | 31.93 | 31.38 | 33.25 |
| Opp Bench PTs | 26.36 | 26.46 | 26.12 |
アドバンスドスタッツ
| 平均 | 勝利時 | 敗戦時 | |
| POSS | 72.11 | 72.21 | 71.86 |
| Opp POSS | 71.83 | 71.94 | 71.58 |
| OF Rate | 116.61 | 121.29 | 105.15 |
| DF Rate | 108.20 | 103.26 | 120.32 |
| Net Rating | 8.41 | 18.03 | -15.17 |
| Pace | 71.64 | 71.60 | 71.72 |
| TS% | 58.6% | 60.9% | 53.0% |
| eFG% | 55.2% | 57.5% | 49.8% |
| P.O.T.E | 1.27 | 1.29 | 1.18 |
| Opp P.O.T.E | 1.15 | 1.09 | 1.31 |
| 2nd C.E | 1.00 | 1.04 | 0.89 |
| Opp 2nd C.E | 0.98 | 0.97 | 1.01 |
| REB% | 50.5% | 52.4% | 46.0% |
| OREB% | 30.1% | 32.1% | 25.8% |
| DREB% | 69.5% | 70.2% | 67.5% |
| AST% | 67.9% | 67.5% | 68.9% |
| Opp AST% | 74.7% | 73.1% | 78.3% |
| TOV% | 13.2% | 13.4% | 12.7% |
| Opp TOV% | 14.5% | 15.2% | 12.6% |
| FTR | 0.25 | 0.27 | 0.28 |




コメント