昨シーズン26勝34敗で西地区6位に沈んでいた長崎。しかし、今シーズン世界レベルの選手2人が新加入して、ジャンプアップし、今シーズン最速で40勝を達成し、Champion Ship(以下、CS)出場枠も同じく最速で確定させたチームに変貌しました。
勝敗データやスタッツ系などを見て、「CS優勝へのロード」を結論付けていこうと思います。
なお、CS出場を確定させた以降の試合データも分析していくと参考になりにくいため、基本的には「CS確定まで(4/12@北海道)のデータ」を参照していきます。シーズン全体のデータは必要に応じて参照していきます。
勝敗状況
| 勝 | 負 | |
| CS確定段階 | 41 | 11 |
| HOME | 23 | 4 |
| AWAY | 18 | 7 |
HOMEでの勝率が85.2%という圧倒的な勝率を誇っています。HOME開催が確定しているチームとしては、かなり大きなアドバンテージになることでしょう。
地区別戦績
| 勝 | 負 | |
| 東地区 | 21 | 5 |
| 西地区 | 20 | 6 |
いずれの地区のチーム相手にも8割前後の勝率を収めています。
CS出場チームとの戦績
| 勝 | 負 | |
| 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ | 1 | 1 |
| 琉球ゴールデンキングス | 1 | 1 |
| 宇都宮ブレックス | 1 | 1 |
| シーホース三河 | 1 | 1 |
| 千葉ジェッツ | 2 | 0 |
| 群馬クレインサンダーズ | 2 | 0 |
| アルバルク東京 | 0 | 2 |
| Total | 8 | 6 |
シーズン中は圧倒的な成績を残してきた長崎ではありますが、CS出場チームとの戦績は意外にも勝率が高くありません。千葉Jや群馬に対しては2連勝しているものの、ほとんどのチームとは星を分け、A東京に対しては2連敗しています。
チームカラー的な傾向を見ているとよく分かりませんが、敗戦した試合はおよそ相手の3Pシュートの確率が高くなっています。システマチックにOFを組み立ててくるチームからは弱点を突かれやすいかもしれません。
長崎の強みとは
リーグトップのスコアリングデュオ
冒頭でも触れた「世界レベルの選手2人」とは、みんなご存知、元NBA選手のスタンリー・ジョンソン選手と韓国の至宝と言われるイ・ヒョンジュン選手のことを指します。この2人がチームをキャリーした(強豪に引き上げた)と言っても過言ではありません。
SJは主に6thマンとして大活躍。CS確定までの平均得点は22.6PTsとチームトップのスコアリング。6thマンとしてのスコアリングも21.7PTsと抜群の得点能力を発揮していました。
ヒュンジョン選手はCS確定までの3P%が驚異の47.7%(165/346)。一時期は、シーズン中盤も終えても50%以上の成功率を叩き出しており、同期間の平均得点は17.5PTsと、別のチームにいたらそのチームのベストスコアラーとして名を馳せていたでしょう。
この2選手は試合をほとんど休まず、常に長崎のスコアリングを牽引。その成果もあり、Bリーグ公式の得点ランキングには、SJが2位・ヒュンジョン選手が10位と、リーグで唯一、2人の選手が10位以内に存在するスコアリングデュオです。
このデュオの貢献もあって、チームの平均得点はリーグで唯一90得点を超える抜群の得点力を誇っていますが、%PTの比率がかなり美しく、中と外に偏りがないのが強さの背景として考えられます。

リーグトップクラスの突破力を備えるSJのペネトレーションと、リーグトップの3Pシューターであるヒュンジョン選手が最高にマッチしている数字になりますね。
ラインナップのバリュエーションが豊富
大概のチームはメインハンドラーとなるPGがいて、シューターやフィニッシャーとして得点するSG・SF・PFがいて、インサイドの攻守を支えるCというラインナップバランスですが、長崎はその原則をひっくり返してきます。
長崎のローテーション選手(プレータイム15分以上)をポジションと併せて列挙していきましょう。
| 選手名 | ポジション | プレータイム |
| イ・ヒュンジョン | SG/SF | 29:39 |
| ジャレル・ブラントリー | PF | 29:03 |
| 熊谷 航 | PG | 25:00 |
| スタンリー・ジョンソン | SF | 28:35 |
| 山口 颯斗 | SG/SF | 21:08 |
| 馬場 雄大 | SG/SF | 27:49 |
| アキル・ミッチェル | C/PF | 22:07 |
基本はウイングの選手がローテーションの核で、ラインナップによってはPGが1人もいない【ノーガード】やビッグマンが1人もいない【ノービッグ】の時もあれば、それらのいない、ウイングの選手だけで固めた【ノーガード・ノービッグ】のラインナップを敷く場合があります。
このようにラインナップの幅の広さを発揮できる背景として個人的に考えられるものは以下の2つ。簡単に解説していこうと思います。
豊富なシューター陣
確率は一旦置いておいて、3PシュートをOFの選択肢として選べるレベルの選手(3PA:2.0以上 or 3PEPS:1.00以上)が8人もいます。
シューターが多いため、インサイドのスペースが生まれやすくなり、リムプロテクター的なDF能力を持っている選手が相手にいても、ヘルプDFに来てもその効力を半減することが出来ます(被BLK:2.3はリーグ8位タイ)。
各選手の対人DF能力が高い
馬場雄大選手やSJのPoA-DFの能力が高いのは、最早周知の事実だと思いますが、ヒュンジョン選手や山口颯斗選手も前述2選手には劣るものの、平均よりかなり高いDF能力を持ち合わせていると思います。
チームラインナップの核となるウイングの選手のサイズがおよそ200cm前後と国内リーグとしてはかなり大きい部類に入るので、ウイングの選手同士で対峙すると、サイズ負けすることはほとんどありません。
ビッグマンへの対応も、サイズこそ201cmとウイングの選手並みですが、ウェイト108kgを活かしたフィジカルを誇るブラントリー選手が対応できますし、リザーブには「マイキー」こと川真田紘也選手も控えています。
常に3Pを打ち切れるOF
長崎は勝敗に関わらず、3Pを打ち切れるOF力を持っています。チーム平均の%3PFGA:48.7%に対し、勝利時は48.7%、敗戦時には48.4%とほぼ同等です。
また、Attemptの実数値も勝敗に関わらず33本記録しています。ビハインド時にも3P攻勢で追い上げる可能性を秘めているのは、他チームからしたら恐怖心すら抱かせるOF力ですね。
もちろん、Attemptの内訳として、デザインプレーで作り上げたOpen-3Pなのか、アイソレーションから強引に打ちに来たPull-Up 3Pなのかなど、シュートのシチュエーションは重要ではあります。しかし、3PのAttemptを安定して作れるOF力は長崎の強みと言えるでしょう。
CS優勝を目指す上での課題
これまでは長崎の強みとなる点を3つ挙げていきましたが、逆にどのような課題がチームとして残っているのか、勝利時と敗戦時の比較をしていきます。
不安定な3Pの確率
先に長崎の強みとして、【豊富なシューター陣が揃っていること】【3Pを打ち切れるOF力があること】の2点を挙げましたが、決して安定感があるわけではありません。Attemptの実数がおよそ33本なので、勝利時と敗戦時の3P確率と、そこから生み出される得点差を見てみましょう。
| 勝利時 | 敗戦時 | |
| Attempt | 33本 | |
| Made(成功率) | 12.7本(38.6%) | 10.4本(31.6%) |
| 3Pによる平均得点 | 38.2得点 | 31.3得点 |
後述する別の課題とも重なる部分ではありますが、長崎はOFの流れが悪くなる程、エースであるSJのアイソレーションにOFが偏る傾向にあります。本サイトではこれまで長崎の試合を3試合レビューしてきましたが、この傾向は恐らく間違っていないと思います。
そうなると何が起こるかというと、SJの単独OFでPull-Up 3Pの選択肢が増えてくるというところです。
もちろん、チームのエースはSJなので、これが決まれば一気に流れを呼び戻して逆転勝利という場面もあるのでしょうが、SJ自身、3P%は33.1%(2.7/8.1)とお世辞にも高い確率ではありません。単調なOFになりがちなので、そこは注意が必要でしょう。
REB能力の低さ
得点・FG%・ASTなど、あらゆる面でリーグトップの数字を叩き出している長崎ですが、REBに関しては平均REB:36.6本はリーグでも半分より下のランキングで、REB%:49.6%と、ゲーム中のREBシチュエーションで半分以下の本数しか確保できていません。敗戦時に限れば、REB%:44.4%まで下がるため、これは長崎というチームの明確な弱点と言えるでしょう。
長崎はラインナップ構成上、オンコート選手の平均身長は比較的高い部類ですが、アッパーはやや低めで、ロスターのHighestプレイヤーはアキル・ミッチェル選手の206cm(106kg)になります。
故に、サイズがあり、REB意識の強い選手・チームにはやはり敗戦を喫している試合がチラホラあります。琉球やA東京との試合で敗戦しているのは、この辺が要因の1つでしょう。
| PTs-Opp PTs | REB-Opp REB | REB% | |
| 3/7 A東京 | 78-93 | 35-36 | 49.3% |
| 3/8 A東京 | 70-91 | 28-39 | 41.8% |
| 3/14@琉球 | 81-95 | 18-41 | 30.5% |
OFの流れが悪くなって、クリエイト・デザインしていない3Pシュートが失敗した後、REBを獲れずに相手の速攻を許したり、ハーフコートDFで持ち直しても、2nd Chanceでの失点が重なり、悪い流れがより悪くなるリスクを長崎は常に有しています。
振れ幅の激しいDF力
CS出場を確定させるまでのDF Rateは102.09とリーグトップクラスの守備力を発揮。勝利時に限った場合では驚異の97.51という守備力を誇っています。
そんな長崎のアイデンティティとも言える強力なDFが、何故課題として挙げられているのか。意外に思われるかもしれませんが、敗戦時のDF Rateは119.25まで悪化しているのです。
これまでの論議を集約したものになりますが、長崎は流れが悪い時はとことん悪くなるのが特徴。【戦術SJ】による単調で非効率なOF→OREB確保できずに相手のDREBから得点を決められる or 1stシュートを落とさせても、2nd Chanceを許す→【戦術SJ】で強引突破試みるも・・・以下同文。という具合です。
以降はDFの戦術的な議論になってきますが、長崎は1on1 DFの対応力が強力であることは前述した通りですが、そこの第1ゲートが突破された後の対応力、言い換えれば【ヘルプDF能力・DFローテーションに難がある】ということです。
その根拠として、敗戦時のチームFoul数は勝利時と比較して約2本多い22.45本。加えて、敗戦時のペイントエリア内の失点が36.55失点で、勝利時のそれよりも5点近く悪化しています。FTAもその分、18.7本→21.6本と増えているため、強力なPoA-DFを潜り抜けて、ペイントエリアに侵入してきた相手選手に上手く対処できていないことがデータから読み取れます。
個人のDF力は今からでも強化が出来ますが、流石にDFのシステムまではCSに向けて構築は出来ないと思うので、REB同様、長崎の明確な弱点だと思います。
CS優勝のためのキーポイント
長崎がCSで優勝するためのキーポイントは、ズバリ「相手の2nd Chance時のDF」と考えます。
REB能力が低く、ペイントエリア侵入後の対処が苦手だとするならば、せめて、2nd Chanceの失点を減らすことがカギになると思われます。
この辺はデータにも表れていて、先に【敗戦時のペイントエリア内の失点が36.55失点で、勝利時のそれよりも5点近く悪化している】と述べましたが、逆に言えば、【勝利する時は敗戦時よりもペイントエリアでの失点が5点も少なくなっている】と言い換えることも出来ます。
また、2nd Chance PTsによる失点においても、勝利時には敗戦時よりも約2点少ないです。1ポゼッション分守って、その分、自チームのOFが成功した場合、それだけで4~5点分の価値がそのOFに生まれることとなります。
元々強力なPoA-DFは計算できる強力な要素なので、それを基に、チームとしての弱みを如何にして最小限にその影響を抑えるか?が長崎にとっては重要なファクターとなるでしょう。
スタッツ情報
CS確定までの平均・勝利時・敗戦時のデータも併せて提示していきます。
基本スタッツ
| 平均 | 勝利時 | 敗戦時 | |
| PTs | 91.21 | 93.00 | 84.55 |
| FG | 32.4/67.9 47.7% | 33.1/68.0 48.7% | 30.0/67.6 44.4% |
| 2P | 20.1/34.8 57.8% | 20.3/34.9 58.2% | 19.0/34.6 54.9% |
| 3P | 12.3/33.1 37.2% | 12.8/33.1 38.7% | 10.6/33.0 32.1% |
| FT | 14.2/18.4 76.9% | 14.0/18.0 77.8% | 14.9/20.0 74.5% |
| REB | 36.60 | 37.83 | 32.00 |
| OREB | 10.40 | 10.54 | 9.91 |
| DREB | 26.19 | 27.29 | 22.09 |
| AST | 23.25 | 24.27 | 19.45 |
| TOV | 12.77 | 12.68 | 13.09 |
| STL | 9.33 | 9.22 | 9.73 |
| BLK | 2.21 | 2.17 | 2.36 |
| FOUL | 20.69 | 20.22 | 22.45 |
| FOUL-Draw | 20.13 | 19.93 | 20.91 |
基本Oppスタッツ
| 平均 | 勝利時 | 敗戦時 | |
| Opp PTs | 79.48 | 75.59 | 93.55 |
| Opp FG | 27.8/63.8 43.6% | 26.4/63.6 41.5% | 32.7/64.2 50.9% |
| Opp 2P | 18.5/37.0 50.0% | 17.7/36.7 48.2% | 20.4/36.7 55.6% |
| Opp 3P | 9.3/26.8 34.8% | 8.69/26.9 32.3% | 12.4/27.5 45.1% |
| Opp FT | 14.5/19.2 75.7% | 14.1/18.7 75.4% | 15.9/21.6 73.6% |
| Opp REB | 37.15 | 36.28 | 40.18 |
| Opp OREB | 10.83 | 10.90 | 10.91 |
| Opp DREB | 26.33 | 25.38 | 29.27 |
| Opp AST | 19.17 | 18.77 | 21.18 |
| Opp TOV | 16.46 | 16.85 | 15.91 |
| Opp STL | 7.02 | 7.10 | 7.18 |
| Opp BLK | 2.33 | 2.21 | 2.73 |
詳細スタッツ
| 平均 | 勝利時 | 敗戦時 | |
| %FGM2P | 62.0% | 61.4% | 65.3% |
| %FGM3P | 38.0% | 38.6% | 34.7% |
| %FGA2P | 51.3% | 51.4% | 51.7% |
| %FGA3P | 48.7% | 48.7% | 48.4% |
| %PT2P | 44.0% | 43.8% | 45.4% |
| %PT3P | 40.5% | 41.2% | 36.2% |
| %PTFT | 15.5% | 15.0% | 18.3% |
| PTs off TOV | 19.81 | 20.29 | 18.00 |
| Fast Break PTs | 17.73 | 18.00 | 16.73 |
| 2nd Chance PTs | 11.48 | 11.51 | 11.36 |
| PTs in the Paint | 37.58 | 38.24 | 35.09 |
| Bench PTs | 28.58 | 28.02 | 30.64 |
詳細Oppスタッツ
| 平均 | 勝利時 | 敗戦時 | |
| Opp %FGM2P | 66.5% | 67.0% | 61.0% |
| Opp %FGM3P | 33.5% | 33.0% | 39.0% |
| Opp %FGA2P | 58.0% | 57.8% | 57.0% |
| Opp %FGA3P | 42.0% | 42.2% | 43.0% |
| Opp %PT2P | 46.6% | 45.1% | 43.6% |
| Opp %PT3P | 35.2% | 32.6% | 38.7% |
| Opp %PTFT | 18.3% | 18.7% | 17.8% |
| Opp PTs off TOV | 13.54 | 12.77 | 15.45 |
| Opp Fast Break PTs | 12.27 | 11.77 | 12.73 |
| Opp 2nd Chance PTs | 10.67 | 10.03 | 12.00 |
| Opp PTs in the Paint | 33.54 | 31.95 | 36.55 |
| Opp Bench PTs | 25.08 | 24.82 | 25.18 |
アドバンスドスタッツ
| 平均 | 勝利時 | 敗戦時 | |
| POSS | 78.38 | 78.05 | 79.58 |
| Opp POSS | 77.86 | 77.75 | 78.66 |
| OF Rate | 116.38 | 119.19 | 106.30 |
| DF Rate | 102.09 | 97.51 | 119.25 |
| Net Rating | 14.29 | 21.67 | -12.94 |
| Pace | 77.93 | 77.85 | 78.25 |
| TS% | 60.0% | 61.3% | 55.8% |
| eFG% | 56.7% | 58.1% | 51.7% |
| P.O.T.E | 1.20 | 1.25 | 1.14 |
| Opp P.O.T.E | 1.06 | 1.01 | 1.20 |
| 2nd C.E | 1.10 | 1.13 | 1.32 |
| Opp 2nd C.E | 0.99 | 0.92 | 1.10 |
| REB% | 49.6% | 51.0% | 44.4% |
| OREB% | 28.3% | 29.2% | 26.0% |
| DREB% | 70.8% | 71.6% | 66.1% |
| AST% | 71.8% | 73.3% | 65.0% |
| Opp AST% | 68.9% | 71.6% | 64.3% |
| TOV% | 16.3% | 16.3% | 16.7% |
| Opp TOV% | 18.6% | 18.8% | 20.6% |
| FTR | 0.27 | 0.27 | 0.31 |





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