今シーズン、東アジアスーパーリーグ(以下、EASL)をベスト4、天皇杯でも優勝を果たした今シーズンのアルバルク東京。シーズン序盤から度重なる主力選手のケガで苦しむ中、今シーズン、最も多くの試合を戦ったBリーグチームとなりました。天皇杯との2冠を獲得すべく、Champion Ship(以下、CS)に臨みます。
今回も勝敗データやスタッツ系などを見て、「CS優勝へのロード」を結論付けていこうと思います。
なお、CS出場を確定させた以降の試合データも分析していくと参考になりにくいため、基本的には「CS確定まで(4/25滋賀)のデータ」を参照していきます。シーズン全体のデータは必要に応じて参照していきます。
勝敗状況
| 勝 | 負 | |
| CS確定段階 | 39 | 18 |
| HOME | 21 | 8 |
| AWAY | 18 | 10 |
冒頭にも述べたように、A東京は今シーズン、最も多くの試合を戦ったチームで、ケガ人続出の苦しいシーズンにも関わらず、これだけの結果を残せたのは流石です。
特にHOMEでの勝率は高く、今シーズンからHOMEアリーナとなったTOYOTAアリーナのブランディングにふさわしい成績と言えるでしょう。
地区別戦績
| 勝 | 負 | |
| 東地区 | 21 | 9 |
| 西地区 | 18 | 9 |
地区別は所属地区である東地区の勝率が高かったものの、比較的どちらも高勝率。カーディングを振り返ってみると、東地区のチームが続いていたり、西地区のチームが続いていたりしていたので、EASL出場による負担が、ある程度軽減されていたのかもしれません。
CS出場チームとの戦績
| 勝 | 負 | |
| 長崎ヴェルカ | 2 | 0 |
| シーホース三河 | 2 | 0 |
| 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ | 0 | 2 |
| 宇都宮ブレックス | 2 | 2 |
| 群馬クレインサンダーズ | 0 | 2 |
| 琉球ゴールデンキングス | 0 | 2 |
| 千葉ジェッツ | 2 | 2 |
| Total | 8 | 10 |
CS出場チームとの戦績はかなり偏りがある結果に。メンツの揃わない状況が続いていたので、正直あまり参考にならないデータかも知れません。
ただ、CS初戦となる長崎との試合で2連勝を挙げているのが大きく、しかもその対戦時は長崎がフルメンバーだったのに対し、A東京は司令塔のテーブス海選手が不在だった中での勝利でした。
A東京の強みとは
高いAST%
平均のAST%が73.1%とリーグ全体で見てもかなりの高水準のパッシングチームなのが、A東京の特徴。このチームビルディングは昨シーズンからの継続された部分でもあり、昨シーズンが72.1%だったため、さらに磨きをかけていることが伺えます。
ロスター全体を見ると、テーブス選手のAST:4.8本とライアン・ロシター選手の同:5.6本(いずれもシーズン終了時のスタッツ)が目立ちますが、テーブス選手は30試合、ロシター選手は16試合欠場しています。
それでもなお、このAST%を示しているかと言えば、ほぼフルシーズン戦い抜いているマーカス・フォスター選手と小酒部泰暉選手がそれぞれ3.0AST以上残している他、今シーズンロスター登録された計14人の内、11人もの選手が平均1.0AST以上記録しています。
チーム全体が質の良いシュートを最優先事項として共有している証拠であり、2000年代のNBAチーム:サンアントニオ・スパーズのような印象を抱くスタッツです。
また、AST%の高さから読み取れることはもう1つあり、A東京のOFの軸はカッティングプレーによるフィニッシュだということ。似たようなスタッツを残しているのが群馬で72.8%のAST%でほぼ同率。片や3PシュートをメインにOFを組み立てていますが、A東京は%FGA2P:55.5%と2Pを主体に戦っていることからも、A東京のブレない型が強みの1つと言えるでしょう。
強力なリーグ随一のビッグマンチーム
スペイン代表歴もあるセバスチャン・サイズ選手とユーロリーグ1stチームにも選出されたことのあるブランドン・デイビス選手のツインタワーがかなり強力。デイビス選手は今シーズンの10/26@京都戦でBリーグデビューし、以後、故障による長期離脱はあったものの、3/7@長崎戦で復帰してからはスターター・リザーブ両面で活躍しました。
このツインタワーを組んで臨んだ試合は4/25滋賀戦までで16試合でしたが、その期間の戦績は10勝6敗。途中、CS出場を目指すA東京にとっては悪夢だったであろう5連敗があったものの、5連勝も2回達成し、苦しい時期にチームのCS出場へと導いたデュオと言えます。
この【サイズ✕デイビス】のツインタワー時の特異な点は、FTAの獲得本数が多いこと。この期間中、両選手とも80本以上のFTAを記録しており、チームの平均FTA:21.4本と、平時よりも約3本多く獲得しています。
加えて、このチームには帰化枠で日本代表にも選出経験のあるロシター選手もいます。2ndスコアラーのフォスター選手の存在やポジション的な都合もあって夢の【トリプルタワー】の布陣は1ポゼッションしかありませんが、この3人のビッグマンのローテーションはかなり強力。
基本、どの組み合わせでコートに送り込まれても、OF Rateは109以上を記録しており、正に大黒柱が3本もある状態。どの柱が傾ても、チームとしての土台はびくともしません。
| ツインタワー組み合わせ 【POSS数】 | OF Rate | DF Rate |
| セバスチャン・サイズ ライアン・ロシター 【1322】 | 121.94 | 106.58 |
| セバスチャン・サイズ ブランドン・デイビス 【342】 | 111.70 | 106.43 |
| ライアン・ロシター ブランドン・デイビス 【227】 | 109.25 | 109.69 |
高いFoul-Draw能力
先に挙げたビッグマンの存在然り、フォスター選手や小酒部選手のようなウイングの選手もオンボール・オフボール問わず、積極的にペイントアタックを試みるチームであることから、それを止めようとFoulを誘発する能力が高いチームです。
同じくFoul-Draw能力の高い宇都宮とは、またその質が異なり、A東京の場合はここでもビッグマンの貢献度が高いです。
| Foul-Draw数 | |
| ブランドン・デイビス | 4.7本 |
| セバスチャン・サイズ | 4.1本 |
| マーカス・フォスター | 3.2本 |
| ライアン・ロシター | 3.7本 |
| 小酒部 泰暉 | 2.4本 |
相手にFoulを誘発することが多ければ多いほど、試合後半になるほどに相手DFへプレッシャーをかけることが出来ますから、接戦の終盤勝負に強く出ることが出来ます。これは明確にA東京の強みと言える部分でしょう。
CS優勝を目指す上での課題
これまではA東京の強みとなる点を3つ挙げていきましたが、逆にどのような課題がチームとして残っているのか、勝利時と敗戦時の比較をしていきます。
インサイドをアジャストされると弱い
AST%の強みの部分で述べましたが、A東京のOFの基調はカッティングプレーによるフィニッシュ能力。このOFにはチームにとって色々と型があるものですが、この辺をアジャストされると途端にOFが弱くなってしまいます。
3P%は平均して35.3%と、高確率で一見3Pも武器であると思われるかもしれませんが、実数にすると1試合平均10本も3Pを決めておらず、勝敗時の差も2本で6点分でしかありません。となると、勝敗に直結しているのは2PFGの効率にあります。
敗戦時の2PFGが17.4/34.5(50.3%)とまずまずながら、勝利時には20.0/35.4(56.6%)の水準で決めていました。点数にすると3Pの差分6点よりもやや少ない5.2点分の差ですが、ここが課題となるのはその内訳にあります。
カッティングプレーの場合、フィニッシュはペイントエリア内の得点となる場合がありますが、敗戦時には勝利時に比較して約5点少ないことになります。
これは、ビハインド時に自チームの型を封じられていることと同義。後に述べるFT%の低さも相まって、敗戦時のOF Rateは96.80と大崩れしています。型がハマれば強さを見せつけますが、反面、その型を読まれてしまうと、打開できる有効策を打つことが出来ないチームであることが読み取れます。
FTの確率が低い
FT%が低いチームは宇都宮もそうでしたが、A東京はそれ以下の数字を残してしまっています。せっかく高いFoul-Draw能力を持っているのに勿体ないですが、「Foul-Draw能力が高いチームほどFT%は低い」というジンクスがあるのでしょうか?
このFT%の落差はかなり極端で、勝利時には70.3%とこれでもそこまで高くない中、敗戦時には63.0%まで落ち込みます。試投数が落ちている上に確率も下がるため、かなり得点効率が低下してしまいます。
背景にはFTAを獲得している選手に影響されており、平均FTA:2.0本以上記録している選手と、そのFT%を合わせてピックアップしてみます。
| FT | ||
| ブランドン・デイビス | 2.9/4.8 | 60.0% |
| セバスチャン・サイズ | 3.4/4.7 | 73.9% |
| マーカス・フォスター | 2.1/3.4 | 61.8% |
| ライアン・ロシター | 1.8/2.7 | 66.4% |
唯一計算できる選手がサイズ選手の73.9%といったところ。これだけビッグマンの成功率が低いと、相手DFも遠慮なくFoulを仕掛けてビッグマンの2PFGを止めに来てしまいます。
また、このFTの部分で良くないのが、敗戦時にFTAの獲得本数も勝利時に比較して3.8本も少なくなり、FTRも0.31→0.25にまで落ち込みます。相手DFのFoulを厭わないフィジカルプレーに対して押され負けていることになります。
CS出場チームとの戦績を振り返ると見えてきますが、インサイドビッグマンへのDF対応が得意そうなチームには黒星を喫しているようにも思えますね。
ギャンブルDFの傾向がある
この辺は根拠となる数字を先に提示しておきます。
| 勝利時 | 敗戦時 | |
| STL | 6.24 | 5.42 |
| BLK | 3.00 | 1.84 |
| FOUL | 20.97 | 21.74 |
そもそもFOULの数が多いことがまず挙げられます。与えているFTAは勝利時・敗戦時ともに19本弱。元のFOUL数を考えると、もう少し多くても良い水準ではありますが、その分、余分なFOULを与えているとも取れます。
STL・BLKともに、敗戦時には少なくなって、片やFOUL数は増えています。特にBLKに顕著で、平均して1本以上の差が発生しています。ここまで明確に違いの出るチームは、少なくともCS出場チームの中ではワーストのデータになります。これによりFTAの増加がほとんどないことが、この部分の唯一の救いでしょうか?
CS優勝のためのキーポイント
A東京がCSで優勝するためのキーポイントは、ズバリ「チームケミストリー」と考えます。
色々と強み・弱みと述べてきましたが、今シーズン、チームで50試合以上出場した選手が僅か6人(大倉・安藤・バランスキー・サイズ・フォスター・小酒部)しかおらず、チームカラーの根幹は維持しつつも、質の部分まで上がり切った様子は正直感じません。
なので、色々とデータを持ってきておいて、こう述べるのもなんですが、A東京というチームのデータは良くも悪くも信頼性に欠けます。
チームの形としては、3/28三遠戦以降にテーブス選手が本格復帰しているため、それ以後の試合データが「真のA東京」と捉えられると思います。3/28からシーズン終了までの16試合(11勝5敗)でコンビネーションを含めたケミストリーが構築できていれば、CSでは台風の目になってもおかしくないでしょう。
スタッツ情報
CS確定までの平均・勝利時・敗戦時のデータも併せて提示していきます。
基本スタッツ
| 平均 | 勝利時 | 敗戦時 | |
| PTs | 80.61 | 85.87 | 70.11 |
| FG | 29.1/63.3 46.0% | 30.7/63.3 48.5% | 25.8/63.2 40.9% |
| 2P | 19.2/35.1 54.7% | 20.0/35.4 56.6% | 17.4/34.5 50.3% |
| 3P | 9.9/28.2 35.3% | 10.7/27.9 38.3% | 8.5/28.7 29.5% |
| FT | 12.5/18.3 68.2% | 13.8/19.6 70.3% | 9.9/15.8 63.0% |
| REB | 37.42 | 38.97 | 34.32 |
| OREB | 10.54 | 11.05 | 9.53 |
| DREB | 26.88 | 27.92 | 24.79 |
| AST | 21.26 | 22.84 | 18.11 |
| TOV | 11.77 | 11.76 | 11.79 |
| STL | 5.96 | 6.24 | 5.42 |
| BLK | 2.61 | 3.00 | 1.84 |
| FOUL | 21.23 | 20.97 | 21.74 |
| FOUL-Draw | 20.98 | 21.61 | 19.74 |
基本Oppスタッツ
| 平均 | 勝利時 | 敗戦時 | |
| Opp PTs | 76.81 | 74.03 | 82.37 |
| Opp FG | 27.9/63.9 43.7% | 27.1/63.9 42.4% | 29.5/63.8 46.2% |
| Opp 2P | 20.0/39.1 51.2% | 20.1/39.8 50.4% | 19.9/37.6 53.1% |
| Opp 3P | 7.9/24.8 31.9% | 7.1/24.1 29.3% | 9.6/26.3 36.5% |
| Opp FT | 13.0/18.7 69.7% | 12.7/18.7 68.0% | 13.7/18.8 73.1% |
| Opp REB | 36.07 | 33.92 | 40.37 |
| Opp OREB | 10.89 | 10.79 | 11.11 |
| Opp DREB | 25.18 | 23.13 | 29.26 |
| Opp AST | 18.33 | 17.71 | 19.58 |
| Opp TOV | 11.33 | 11.39 | 11.21 |
| Opp STL | 6.12 | 6.03 | 6.32 |
| Opp BLK | 1.91 | 1.66 | 2.42 |
詳細スタッツ
| 平均 | 勝利時 | 敗戦時 | |
| %FGM2P | 65.8% | 65.2% | 67.2% |
| %FGM3P | 34.2% | 34.8% | 32.8% |
| %FGA2P | 55.5% | 55.9% | 54.6% |
| %FGA3P | 44.5% | 44.1% | 45.4% |
| %PT2P | 47.5% | 46.6% | 49.5% |
| %PT3P | 37.0% | 37.3% | 36.3% |
| %PTFT | 15.5% | 16.0% | 14.2% |
| PTs off TOV | 13.33 | 14.05 | 11.89 |
| Fast Break PTs | 8.35 | 8.45 | 8.16 |
| 2nd Chance PTs | 11.23 | 12.13 | 9.42 |
| PTs in the Paint | 34.11 | 35.74 | 30.84 |
| Bench PTs | 27.32 | 28.71 | 24.53 |
詳細Oppスタッツ
| 平均 | 勝利時 | 敗戦時 | |
| Opp %FGM2P | 71.7% | 73.9% | 67.6% |
| Opp %FGM3P | 28.3% | 26.1% | 32.4% |
| Opp %FGA2P | 61.1% | 62.2% | 58.9% |
| Opp %FGA3P | 38.9% | 37.8% | 41.1% |
| Opp %PT2P | 52.1% | 54.2% | 48.4% |
| Opp %PT3P | 30.9% | 28.7% | 34.9% |
| Opp %PTFT | 17.0% | 17.1% | 16.7% |
| Opp PTs off TOV | 13.09 | 12.03 | 15.21 |
| Opp Fast Break PTs | 9.77 | 9.34 | 10.63 |
| Opp 2nd Chance PTs | 11.60 | 10.84 | 13.11 |
| Opp PTs in the Paint | 35.72 | 35.68 | 35.79 |
| Opp Bench PTs | 24.67 | 23.55 | 26.89 |
アドバンスドスタッツ
| 平均 | 勝利時 | 敗戦時 | |
| POSS | 72.57 | 72.64 | 72.74 |
| Opp POSS | 72.56 | 72.74 | 72.64 |
| OF Rate | 111.09 | 118.21 | 96.80 |
| DF Rate | 105.85 | 101.77 | 114.06 |
| Net Rating | 5.24 | 16.43 | -17.26 |
| Pace | 71.92 | 71.97 | 71.81 |
| TS% | 56.5% | 59.7% | 50.0% |
| eFG% | 53.8% | 56.9% | 47.6% |
| P.O.T.E | 1.18 | 1.23 | 1.06 |
| Opp P.O.T.E | 1.11 | 1.02 | 1.29 |
| 2nd C.E | 1.06 | 1.10 | 0.99 |
| Opp 2nd C.E | 1.06 | 1.00 | 1.18 |
| REB% | 50.9% | 53.5% | 45.9% |
| OREB% | 29.5% | 32.3% | 24.6% |
| DREB% | 71.2% | 72.1% | 69.1% |
| AST% | 73.1% | 74.4% | 70.1% |
| Opp AST% | 65.6% | 65.3% | 66.3% |
| TOV% | 16.2% | 16.2% | 16.3% |
| Opp TOV% | 15.6% | 15.7% | 15.5% |
| FTR | 0.29 | 0.31 | 0.25 |


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