徹底分析!数字で見る名古屋ダイヤモンドドルフィンズの2025-26シーズン

数字で見るシリーズ

昨シーズンの成績は35勝25敗。6割近い勝率を残しながらも、惜しくもChampion Ship(以下、CS)の出場を逃してしまった名古屋DD。今シーズンは中盤まで長崎とともに西地区のみならず、B1リーグ全体を引っ張ってきました。

長崎編に引き続き、勝敗データやスタッツ系などを見て、「CS優勝へのロード」を結論付けていこうと思います。

なお、CS出場を確定させた以降の試合データも分析していくと参考になりにくいため、基本的には「CS確定まで(4/18滋賀)のデータ」を参照していきます。シーズン全体のデータは必要に応じて参照していきます。

勝敗状況

CS確定段階4114
HOME226
AWAY198

HOMEでの勝率が78.6%。長崎程ではないにせよ、高い勝率を誇っています。現役NBAプレイヤーである八村塁選手をして、「世界基準のアリーナ」と言わしめるアリーナをHOMEにしている名古屋DD。その冠に恥じない勝率を残しました。

地区別戦績

東地区207
西地区217

地区別に勝率の変化はほとんどありません。国土のほぼ中心に位置する愛知県・名古屋を拠点にしていることで、移動の負担が他のチームよりも有利だったかも知れません。

CS出場チームとの戦績

長崎ヴェルカ11
琉球ゴールデンキングス20
宇都宮ブレックス02
シーホース三河31
千葉ジェッツ11
群馬クレインサンダーズ02
アルバルク東京20
Total97

レギュラーシーズンでは高い勝率を誇っていた名古屋DDですが、CS出場チームとの戦績は僅かに勝ち越している程度。

ただ、宇都宮はCS出場を決めた後の4/25~4/26の2連敗。カーディング調整なども多少はあると感じるので、もしかしたら、そこまで全力で勝利を目指していなかったのかもしれません。

名古屋DDの強みとは

安定且つ強力なREB能力

CS確定までの名古屋DDはREB面においてリーグ最強のリバウンダーチームでした。昨シーズンのトップREBチームであった琉球(4/18終了時の琉球のREB:40.60本)を抑えてダントツの42.85本という数字を残しています。

チームトップのリバウンダーは208cmのビッグマンであるスコット・エサトン選手。出場試合数が規定に届かず、Bリーグ公式のスタッツランキングではランク外に押しやられてはいますが、49試合の出場でREB:8.3本と、リーグ7位相当の成績を残しています。

しかし、最強のリバウンダーチームにいて、チームのREBリーダーが平均8.3本なのは一見して寂しい感じ。ですが、逆に言うと、REBリーダーの本数が少なくても、他の選手でもREBが獲れているのが名古屋DDの凄いところです。

ここで、ローテーション選手(平均プレータイムが15分以上の選手)のREB数を見てみましょう。

平均REB数
(OREB/DREB)
齋藤 拓実2.1
(0.7/1.4)
アイザイア・マーフィー2.3
(0.7/1.6)
アーロン・ヘンリー5.9
(1.1/4.8)
中東 泰斗2.8
(0.7/2.1)
アラン・ウィリアムズ6.2
(2.4/3.9)
今村 佳太2.6
(0.9/1.7)
カイル・リチャードソン6.2
(2.6/3.6)
スコット・エサトン8.3
(3.3/4.9)

この8選手だけで、合計36.4本のREBを獲得しており、チームの平均との比較で実に84.9%を占めています。ローテーションを回していく中でREBが穴にならないのは安定感がありますね。

加えて特筆すべきは齋藤拓実選手がREB:2.1本も記録していること。齋藤選手と言えば、(間違っていなければ)リーグでも5本の指に入る低身長プレイヤーですが、そんな選手が2.1本もREBを獲りに行っています。最近はPGもサイズアップしてきている中、齋藤選手のREB力は素晴らしいの一言に尽きます。

REBに関連するデータとして、Fast Break PTs:15.54得点、勝利時には16.49得点という数字が挙げられます。その下支えには、齋藤選手を始めとしたバックコートのプレイヤーがDREBを確保して、そのままハンドラーとしてボールをプッシュしていくことが出来るのも、名古屋DDの強みと言えるでしょう。

ペイントエリア内の得点力で優位

CS確定までの名古屋DDのペイントエリアでの得点は平均して37.65得点。1試合の平均2PFGM:21.0本(=42.0得点)なので、全体の2PFGMの内89.6%がペイントエリア内の得点になっています。

3Pがあまり得意ではないチーム(3P:9.6/29.3;32.9%)において、本来ならばDFはインサイドを固めることが多くなりますが、そんな中でもこの数値を叩き出しているのは名古屋DDのOF面の強みと言えるでしょう。

「ペイントエリアでの得点」と一言で言っても、以下にように様々なシチュエーションがあります。

  1. ハンドラーのアイソレーションからのフィニッシュ
  2. ビッグマンによるポストアップ
  3. カッティングによる合わせ
  4. Tip-Inなどの2nd Chance PTs
  5. Fast Break PTs

名古屋DDの試合は今シーズン2試合しか見ていませんが、データも含めた印象としては、1・3・5番のシチュエーションが多いように感じます。

【1】については、言わずもがな齋藤選手やアーロン・ヘンリー選手にその役割があり、それに派生して【3】のフィニッシュもあるでしょう。
【5】についてはデータ上に根拠があり、1試合平均15.54得点がF.B.PTsにより生み出されています。勝利時には16.49得点にまで向上するため、当たらずも遠からずな印象だと思います。

ペイントエリア内の得点が名古屋にとっての強みだとして挙げている根拠として、勝利時・敗戦時問わず同じ水準で得点できている(勝利時:37.59得点、敗戦時:37.85得点)背景にあります。チームにとって、いざという時に頼れる「型」のようなものが土台としてしっかりアイデンティティとなっているのは「強み」と言えるでしょう。

計算が立てやすいセカンドユニットの得点力

チームの平均Bench PTsは28.04得点。それ自体は際立って高い数字ではなく、およそ平凡と言っても差し支えないデータではあります。

ただ、注目したいのはその内訳。Bench PTsの数字が高くなるチームの特徴として、リザーブに外国籍選手がいて、その選手がセカンドユニットのスコアラーとしてバシバシ点を獲るケースが多いです。長崎なんかはその最たる例ですが、他にも島根のコティ・クラーク選手や広島のクリストファー・スミス選手なんかが分かりやすいですよね。

そういった強力なスコアラーが1人いるのももちろん脅威ではあるのですが、名古屋DDはその傾向はやや薄く、どちらかと言えば、「ベンチから出てきた選手がみんな3~5点獲る」という場合が比較的多いです。
この場合、ベンチスコアラーが外れの日だった時に目も当てられなくなることが少なく、全員がOFの歯車になってくれるので、コーチ陣としてもゲームプランをある程度構築しやすいのがありがたいですね。

CS優勝を目指す上での課題

これまでは名古屋DDの強みとなる点を3つ挙げていきましたが、逆にどのような課題がチームとして残っているのか、勝利時と敗戦時の比較をしていきます。

DFの集中力

名古屋DDは今シーズントップクラスのDFを発揮してリーグを牽引してきたため、課題の部分にDF面を挙げるのはおかしいと思う人もいるかも知れません。筆者自身、データをまとめるまで「名古屋DDの強みは全般的なDF力だ」と思っていました。

「明確な弱点」と言うより「CSでこれが出たら致命的」という論点となります。まずもって、敗戦時のDF Rateは111.56と、割としっかり負けています。勝利時は91.47と驚異的な数値を叩き出している裏で、敗戦時には20以上も悪化してしまっており、意外とDFに安定感がありません。

その要素を列挙してみます。

  • FOULが嵩みやすい(敗戦時:21.08本)
  • 上記の影響でFTをたくさん与えている(同:15.7/20.4)
  • TOVからの失点が多い(同:17.92失点、Opp P.O.T.E:1.32)
  • TOVを誘発させられていない(同:14.54、Opp TOV%:16.1%)
  • P.O.T、F.B.PTsが少ない(同P.O.T:15.15得点、同FB.PTs:12.54得点)

DFからリズムを作るのが基本なチームだと思うので、以上の要素が重なり合わさると、中々自分たちのリズムに持って行けず、厳しい試合になってきます。

ここで「DF『力』」ではなく、「DFの『集中力』」としたのには理由があり、これらのデータが勝利時との比較でかなり大きくなっていることにあります(後述のスタッツ情報を参照してください)。本来のDF力を出し切れば相手を圧倒できるところ、それを出せないとズルズルとやられてしまう。そんな課題が見え隠れしています。

シューティングチームに大苦戦

敗戦時のデータとして顕著なのが、相手チームの3P%が著しく高くなっています。特に3PシュートをOFの基調としているチームとのマッチアップではかなり苦しい状況です。勝利時のOpp 3P%:27.8%に対して、敗戦時のOpp 3P%:37.3%で約10%も上昇しています。このように外角のシュートに対するDFが失点増に直接的に影響していることは明白です。

本記事作成現在(2026/4/29時点)の成績で、チームの3P%が34.0%を超えているチームは12チームいますが、名古屋DDはその12チームの内、7チームに黒星を喫しており、14敗した内、8敗がそれらのチームに該当します。

それを象徴しているのが、2026/3/28~29に行われた第27節の群馬との2連戦。2試合合計で22/64(34.4%)であり、Opp 3PFGAが2戦とも30本を超えています。他にも、CS出場確定後ではあるものの、第35節の宇都宮戦でも、2戦合計で22/56(39.3%)の高確率で決められています。

前述したように、名古屋DDはペイントエリア内の得点力に強みを持っているため、OFで大崩れしないのですが、その反面、3Pシュートが安定するチームではないため、上振れ感が他のチームと比べてやや劣ります。

3P攻勢によるOFの爆発力に飲まれて、そこに追いつこうと不得意な3Pシュートに頼るOFに偏って、結果、OFもDFもチグハグしてしまうのが辛いところです。

計算出来るスポットアップシューターが不在

3Pシュートが苦手なチームと解説しましたが、齋藤選手やヘンリー選手は別。それぞれ、1試合平均の3PFGAが5本以上打ちながら、齋藤選手はCS確定時点で40.7%、ヘンリー選手は同35.9%という高確率で決めています。

ただ、この2選手はあくまで「ハンドラー」であって「シューター」ではないのです。齋藤選手やヘンリー選手が楽にペイントアタックしてOFをクリエイト出来るように、スペーサーとなるシューターが本来は必要です。

ここで、上記2選手以外で1試合平均の3PFGA:2.0本以上の選手の3P%をピックアップしてみましょう。

3PFG3P%
加藤 嵩都たかと0.6/2.226.2%
小澤 飛悠0.7/2.627.0%
アイザイア・マーフィー1.0/3.230.2%
中東 泰斗0.9/2.435.0%
今村 佳太1.9/6.131.2%
CS確定時点までのスタッツを参照

3PFGA:2.0本以上の選手が5人いて、期待値が1.00を上回るのが中東選手のみという状況。
ローテーションのメインが齋藤・ヘンリー+ビッグマン1~2人という編成なので、残りの1~2人はシューターの選手が担いたい所ですが、中々計算の立つシューターがいないのが悩みの種と言ったところでしょうか?

CS優勝のためのキーポイント

名古屋DDがCSで優勝するためのキーポイントは、ズバリ「3Pシュートに対するDF」と考えます。

明確にシューティングチームに弱い上に、CS出場チームは3PによるOF力が強いチームが中心。なので、3Pシュートに対するDFアジャストが名古屋DDの勝ち上がりには必須事項になってくるでしょう。

特にストレッチビッグな選手を擁する宇都宮や群馬は天敵とも言えるチームですし、長崎はリーグトップの3P%を誇るチーム。また、3勝1敗と勝ち越している三河においても、ボールムーブからシステマチックに展開されるシュータープレーを多用してくるため、油断は一切出来ません。

ですが、3PシュートへのDFにアジャスト出来れば、自チームはOREBを含めたペイントエリア内で強さを発揮することが出来るため、安定感という面ではCS出場チーム内でも随一。自分たちの土俵に相手を引き込めれば、CS優勝まで案外危なげなく行ける可能性は十分にあると思います。

スタッツ情報

CS確定までの平均・勝利時・敗戦時のデータも併せて提示していきます。

基本スタッツ

平均勝利時敗戦時
PTs83.9885.8878.00
FG30.6/71.6
42.7%
31.1/71.2
43.6%
29.1/72.9
39.9%
2P21.0/42.3
49.6%
21.1/42.2
50.1%
20.4/42.9
47.6%
3P9.6/29.3
32.9%
10.0/29.1
34.2%
8.7/30.0
29.0%
FT13.1/18.1
72.4%
13.8/18.7
73.9%
11.2/16.5
67.4%
REB42.8543.2441.62
OREB15.7815.5116.62
DREB27.0727.7325.00
AST21.7422.4619.46
TOV12.4112.0513.54
STL9.079.298.38
BLK3.223.293.00
FOUL18.5617.7621.08
FOUL-Draw19.5919.6119.54

基本Oppスタッツ

平均勝利時敗戦時
Opp PTs73.8169.8386.38
Opp FG27.2/65.7
41.3%
26.2/65.3
40.1%
30.3/67.1
45.2%
Opp 2P19.2/39.1
49.1%
18.8/38.8
48.5%
20.2/40.1
50.5%
Opp 3P8.0/26.6
30.1%
7.34/26.4
27.8%
10.1/27.0
37.3%
Opp FT11.5/16.4
69.8%
10.2/15.2
66.8%
15.7/20.4
77.0%
Opp REB39.4138.5942.00
Opp OREB12.6712.5113.15
Opp DREB26.7426.0728.85
Opp AST18.8118.0221.31
Opp TOV16.3316.9014.54
Opp STL6.696.597.00
Opp BLK2.562.463.00

詳細スタッツ

平均勝利時敗戦時
%FGM2P68.5%68.0%70.1%
%FGM3P31.5%32.0%29.9%
%FGA2P59.1%59.2%58.8%
%FGA3P40.9%40.8%41.2%
%PT2P49.9%49.2%52.3%
%PT3P34.5%34.8%33.4%
%PTFT15.7%16.0%14.3%
PTs off TOV19.9421.4615.15
Fast Break PTs15.5416.4912.54
2nd Chance PTs15.2214.9316.15
PTs in the Paint37.6537.5937.85
Bench PTs28.0428.7125.92

詳細Oppスタッツ

平均勝利時敗戦時
Opp %FGM2P70.6%72.0%66.8%
Opp %FGM3P29.4%28.1%33.3%
Opp %FGA2P59.6%59.5%59.8%
Opp %FGA3P40.4%40.5%40.3%
Opp %PT2P51.9%53.9%46.8%
Opp %PT3P32.5%31.5%35.0%
Opp %PTFT15.6%14.5%18.2%
Opp PTs off TOV12.9411.3717.92
Opp Fast Break PTs13.0713.0013.31
Opp 2nd Chance PTs12.0411.7812.85
Opp PTs in the Paint33.5633.1234.92
Opp Bench PTs23.2622.8824.46

アドバンスドスタッツ

平均勝利時敗戦時
POSS76.2475.9977.05
Opp POSS76.6176.3477.43
OF Rate110.15113.01101.24
DF Rate96.3691.47111.56
Net Rating13.7921.55-10.33
Pace76.0876.1775.78
TS%52.7%54.0%48.7%
eFG%49.4%50.6%45.9%
P.O.T.E1.221.271.04
Opp P.O.T.E1.040.941.32
2nd C.E0.960.960.97
Opp 2nd C.E0.950.940.98
REB%52.1%52.8%49.8%
OREB%37.1%37.3%36.5%
DREB%68.1%68.9%65.5%
AST%71.1%72.3%66.9%
Opp AST%69.3%68.9%70.3%
TOV%13.5%13.2%14.5%
Opp TOV%18.3%19.0%16.1%
FTR0.250.260.23

今シーズンレビューした試合

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