昨シーズンの覇者である宇都宮。Bリーグ発足からの9年間で3度の優勝を果たしているBリーグの盟主と言っても良いチーム。6年ぶりの2連覇チームとなるべく、今シーズンもChampion Ship(以下、CS)に臨みます。
今回も勝敗データやスタッツ系などを見て、「CS優勝へのロード」を結論付けていこうと思います。
なお、CS出場を確定させた以降の試合データも分析していくと参考になりにくいため、基本的には「CS確定まで(4/18@群馬)のデータ」を参照していきます。シーズン全体のデータは必要に応じて参照していきます。
勝敗状況
| 勝 | 負 | |
| CS確定段階 | 41 | 13 |
| HOME | 21 | 7 |
| AWAY | 20 | 6 |
昨シーズン優勝を果たしたことで、今シーズンはリーグ戦の合間にEast Asia Super League(東アジアスーパーリーグ;EASL)への出場もしたことで、ほとんどのBリーグチームよりもかなり多くの試合を戦ってきました。
地区別戦績
| 勝 | 負 | |
| 東地区 | 22 | 9 |
| 西地区 | 19 | 4 |
東地区チームとは31試合、西地区チームとは23試合と母数に大きな差がありますが、同地区である東地区のチームとの戦績はやや奮いませんでした。要因としては、同地区の強豪チームとの試合が多く組まれていたことにも要因がありそうです。下記にて具体的に提示します。
CS出場チームとの戦績
| 勝 | 負 | |
| 長崎ヴェルカ | 1 | 1 |
| 琉球ゴールデンキングス | 1 | 1 |
| 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ | 2 | 0 |
| シーホース三河 | 2 | 1 |
| 千葉ジェッツ | 2 | 2 |
| 群馬クレインサンダーズ | 2 | 2 |
| アルバルク東京 | 2 | 2 |
| Total | 12 | 9 |
今シーズン、CSに出場している8チームの内、各チームとの試合数が最も多いのが宇都宮。レギュラーシーズンのおよそ1/3の試合数を占める21試合も戦っています。しかも勝ち越しているのも驚きですね。
EASLの優勝まで果たした上に、レギュラーシーズンでもレベルの高いチームとの試合が多く組まれていたにも関わらず、東地区1位の称号を引っ提げているのはある種の恐怖心さえ抱きます。
宇都宮の強みとは
安定感が高過ぎるゲームコントロール力
宇都宮にとっての強みとして、最も大きな要素がこの【ゲームコントロール力】。
と言っても、今一つピンとこないかもしれないので、データを中心に紐解いていきましょう。
まず、第一にTOVが少ないこと。リーグでも5本の指に入るTOV数の少なさを誇る上、勝利時・敗戦時問わずおよそ11~12本の間を推移し、平均値から大きく離れることが少ないです。TOV%も勝利時:13.3%、敗戦時:13.7%とほとんど差がありません
敗戦時にTOVが15~16本と跳ね上がるなら、自チームの自滅で負けていることになってきますが、少なくとも、自滅的な負け方を避ける戦い方を心得ている証明になります。
次の第二に、試合のペースコントロールにも長けており、こちらも勝利時・敗戦時問わず、POSS:72~73を推移しています。相手チームのペースに巻き込まれることなく、常に自分たちの土俵で試合をコントロールしていることになります。
この安定感の背景として考えられるのは、ハンドラー主体のOFシステムにあるかもしれません。今シーズン、3試合をフル観戦していますが、傾向としてパスの数自体はそこまで多くなく、ハンドラーのアタックに合わせてのバックカットや、ハンドラーからのキックアウトでシュートで終わるよう徹底しているように感じます。
ハンドラーであるDJ・ニュービル選手や比江島慎選手のTOVがそれぞれ2.5本・1.9本とやや多いですが、フィニッシャーとなる選手たちが余分なプレーをせず、しっかり「フィニッシャーとしての役割」を果たしていることで、常に自分たちのOFリズムで試合をコントロールすることが出来ています。
FOUL-Draw能力の高さ
前述のゲームコントロール能力の高さの裏付けにもなり得る要素ですが、相手のFOULを誘発する力も強く、こちらも勝利時と敗戦時で大きく変わりません。変わらない上で、FOUL-Drawは平均20本超得ています。
FOUL-Draw:20.36はリーグでも上位に位置する水準で、相手にたくさんFoulを誘発させて、DFの強度を落とさせる効果をもたらしています。だから、常に自分たちのペースで試合運びをすることが出来ているのでしょう。
また、FTAも勝利時・敗戦時問わず平均17本超で安定しています。同じ数のFOULを誘発して、同じ数のFTAを確保していることになり、最早美しささえ感じてしまうデータです。FTA獲得本数の多い選手を列挙してみます。
| 平均FTA数 | |
| DJ・ニュービル | 4.2本 |
| 比江島 慎 | 3.0本 |
| アイザック・フォトゥ | 3.6本 |
| ギャビン・エドワーズ | 3.3本 |
ハンドラー役の2選手が獲得本数が多いのは良い点ですし、ビッグマンであるギャビン・エドワーズ選手が多いのも○。それ以上にアイザック・フォトゥ選手がチーム2位のFTAを記録しているのが素晴らしいです。
フォトゥ選手のようなウイングの選手がペイントアタックすることによって、本来ハンドラー役であるニュービル選手や比江島選手がシューターとして動くことが出来るので、OFシステムの幅が広がります。平均FTA:3.0本以上を記録する選手が1つのチームに4人もいるのは、大阪と宇都宮の2チームのみという希少性を持っています。
リーグトップクラスのシューティングチーム
昨シーズン同様、今シーズンも全FGAに対する3PFGAの割合を示す%FGA3Pが50%を超える唯一のチームとなった宇都宮。確率もリーグトップクラスの35.4%(※CS確定までのデータ)を記録し、高い攻撃力を今シーズンも有しています。
宇都宮のシューティング能力の高さは3P%リーグトップの長崎よりも正直高いと見ています。その理由として、3Pシューターの【量】と【質】両方を兼ね備えているからです。
| 3PFG(%) | ||
| 比江島 慎 | 1.7/4.6 | 37.1% |
| 小川 敦也 | 0.5/2.3 | 23.2% |
| 遠藤 祐亮 | 1.4/3.9 | 36.5% |
| 高島 紳司 | 1.5/4.2 | 35.6% |
| DJ・ニュービル | 3.3/8.4 | 39.9% |
| ギャビン・エドワーズ | 1.6/4.2 | 38.6% |
| グラント・ジェレット | 1.7/5.0 | 36.1% |
平均3PFGA:2.0本以上の選手をピックアップしたところ、小川敦也選手を除く6人の選手が35.0%以上の確率を残しています。表にして並べると本当に圧巻ですね。
この確率がしっかり機能すると、勝利時には90点近くの得点を稼ぎ、OF Rateは実に122.95と驚異的な数値を叩き出します。
CS優勝を目指す上での課題
これまでは宇都宮の強みとなる点を3つ挙げていきましたが、逆にどのような課題がチームとして残っているのか、勝利時と敗戦時の比較をしていきます。
FT確率の低さ
FOULを誘発する能力やFTAを獲得する能力が高いと評しましたが、反面、FT%:70%付近と決して高くなく、宝の持ち腐れ状態となっています。
FT%:80%を超える選手はグラント・ジェレット選手(83.0%)のみで、そのジェレット選手もFTA:1.39本しか得ておらず、ローボリューム。プレースタイル的にはストレッチプレーヤーなので、中々FTAを獲得できないジレンマがあります。
特に敗戦時に影響が大きく、FT%:65.5%まで下がってしまっています。全般的にシューティング能力が高いチームなので、FTも安定するのかと思いきや、案外そうでもないというのがデータに現れていました。
シュートの不調が波及しやすい
勝利時には3P%:37.3%と非常に高い数字を残していますが、敗戦時には打って変わって29.2%まで落ちています。
成功本数の面を見ても、勝利時:13.0本、敗戦時9.6本と3.4本も少なくなり、得点にして約10点分の差が発生しています。勝利時と敗戦時の得点差が12.77点となっているため、ほぼ3Pの成功数の差がそのまま勝敗に直結していることが分かります。
問題なのは3Pの確率だけに留まらず、そこの決定力が落ちると、TS%:60.7%→52.0%、eFG%:58.3%→49.4%と全体的な効率まで大きく下がります。
3Pが不調だと%FGA2Pが50%を超えてきますが、ペイントエリア内の得点が伸びてこないため、2P%も61.1%→55.0%まで大きく下がってしまいます。3Pシュートの調子の良し悪しがOFの機能全体に影響を及ぼすため、ペリメーターDFが強力な群馬・千葉J・広島・長崎あたりは苦手な相手と言えるかもしれません。
Bench PTsが少ない
平均も21.22得点とCS出場チームの中で最低の水準。敗戦時にはさらに下がって15.69得点というデータとなっています。
スターティングラインナップに名を連ねる比江島・ニュービル・ギャビン・フォトゥの得点力が強力なのは言わずもがなですが、ベンチプレイヤーとしての出場が多い選手の中では、スコアリングに期待が出来るのはジェレット選手程度と言った所。これは、「リザーブの選手の得点能力が低い」ということではなく、OFのシステム自体がスターターへの比重が大きすぎている印象です。
ゲームチェンジャーとなり得る選手が逆境時に存在しないため、勝利時と敗戦時の得点差の大きさに繋がっていることが考えられます。
そういう意味で、CSでは小川敦也選手のカッティングプレーや、遠藤祐亮選手のSelf-Shootmake能力のステップアップを期待したい所です。
CS優勝のためのキーポイント
宇都宮がCSで優勝するためのキーポイントは、ズバリ「3Pシュートのクリエイト力」と考えます。
チームとしての最大の武器である3Pシュートが、データで紐解くと、実は諸刃の剣であることが分かりました。特にCSのような舞台ではDFの強度が高くなるため、上手く3Pシュートをクリエイト出来なくなる可能性もあります。
ただ、勝敗の主要因が3P%にほぼ集約されていると言っても過言ではありません。持ち前の安定したゲームコントロール能力を駆使し、如何に良い3Pシュートをクリエイト出来るかが重要になるでしょう。
スタッツ情報
CS確定までの平均・勝利時・敗戦時のデータも併せて提示していきます。
基本スタッツ
| 平均 | 勝利時 | 敗戦時 | |
| PTs | 86.07 | 89.15 | 76.38 |
| FG | 30.8/65.7 46.9% | 31.8/65.7 48.4% | 27.8/65.9 42.1% |
| 2P | 18.6/31.3 59.4% | 18.8/30.8 61.1% | 18.2/33.0 55.0% |
| 3P | 12.2/34.4 35.4% | 13.0/34.9 37.3% | 9.6/32.9 29.2% |
| FT | 12.2/17.5 69.9% | 12.5/17.6 71.2% | 11.2/17.2 65.5% |
| REB | 37.98 | 38.68 | 35.31 |
| OREB | 12.22 | 12.17 | 12.38 |
| DREB | 25.76 | 26.51 | 22.92 |
| AST | 21.87 | 22.85 | 19.23 |
| TOV | 11.22 | 11.27 | 11.69 |
| STL | 6.11 | 6.10 | 6.46 |
| BLK | 2.26 | 2.17 | 2.54 |
| FOUL | 17.85 | 17.63 | 17.85 |
| FOUL-Draw | 20.36 | 20.37 | 20.46 |
基本Oppスタッツ
| 平均 | 勝利時 | 敗戦時 | |
| Opp PTs | 80.41 | 77.73 | 88.85 |
| Opp FG | 29.8/65.9 45.2% | 29.0/65.8 44.1% | 32.3/66.3 48.7% |
| Opp 2P | 20.0/38.2 52.4% | 20.3/38.2 53.3% | 21.8/38.5 56.5% |
| Opp 3P | 9.8/27.7 35.3% | 8.7/27.7 31.3% | 10.5/27.8 38.0% |
| Opp FT | 11.7/16.1 72.9% | 11.1/15.5 71.6% | 13.7/17.9 76.4% |
| Opp REB | 36.52 | 34.76 | 40.23 |
| Opp OREB | 11.93 | 11.32 | 12.77 |
| Opp DREB | 24.59 | 23.44 | 27.46 |
| Opp AST | 20.65 | 20.22 | 22.31 |
| Opp TOV | 11.24 | 11.59 | 11.23 |
| Opp STL | 6.26 | 6.20 | 6.92 |
| Opp BLK | 2.09 | 1.83 | 2.54 |
詳細スタッツ
| 平均 | 勝利時 | 敗戦時 | |
| %FGM2P | 60.4% | 59.0% | 65.4% |
| %FGM3P | 39.6% | 41.0% | 34.6% |
| %FGA2P | 47.6% | 46.8% | 50.1% |
| %FGA3P | 52.4% | 53.2% | 49.9% |
| %PT2P | 43.3% | 42.1% | 47.5% |
| %PT3P | 42.5% | 43.8% | 37.8% |
| %PTFT | 14.2% | 14.0% | 14.7% |
| PTs off TOV | 14.21 | 14.85 | 13.31 |
| Fast Break PTs | 10.83 | 11.00 | 10.46 |
| 2nd Chance PTs | 12.56 | 13.10 | 11.00 |
| PTs in the Paint | 33.74 | 34.24 | 33.85 |
| Bench PTs | 21.22 | 22.66 | 15.69 |
詳細Oppスタッツ
| 平均 | 勝利時 | 敗戦時 | |
| Opp %FGM2P | 67.2% | 70.1% | 67.4% |
| Opp %FGM3P | 32.8% | 29.9% | 32.6% |
| Opp %FGA2P | 58.0% | 58.0% | 58.1% |
| Opp %FGA3P | 42.0% | 42.0% | 41.9% |
| Opp %PT2P | 49.8% | 52.3% | 49.0% |
| Opp %PT3P | 36.4% | 33.4% | 35.6% |
| Opp %PTFT | 14.6% | 14.2% | 15.4% |
| Opp PTs off TOV | 13.69 | 13.68 | 14.08 |
| Opp Fast Break PTs | 15.09 | 13.83 | 17.92 |
| Opp 2nd Chance PTs | 12.37 | 11.29 | 14.15 |
| Opp PTs in the Paint | 37.22 | 36.63 | 39.54 |
| Opp Bench PTs | 27.57 | 26.05 | 32.69 |
アドバンスドスタッツ
| 平均 | 勝利時 | 敗戦時 | |
| POSS | 72.54 | 72.51 | 72.78 |
| Opp POSS | 72.75 | 72.90 | 72.66 |
| OF Rate | 118.66 | 122.95 | 104.95 |
| DF Rate | 110.52 | 106.63 | 122.28 |
| Net Rating | 8.14 | 16.32 | -17.33 |
| Pace | 72.15 | 72.05 | 72.72 |
| TS% | 58.6% | 60.7% | 52.0% |
| eFG% | 56.2% | 58.3% | 49.4% |
| P.O.T.E | 1.26 | 1.28 | 1.18 |
| Opp P.O.T.E | 1.22 | 1.21 | 1.20 |
| 2nd C.E | 1.03 | 1.08 | 0.89 |
| Opp 2nd C.E | 1.04 | 1.00 | 1.11 |
| REB% | 51.0% | 52.7% | 46.7% |
| OREB% | 33.2% | 34.2% | 31.1% |
| DREB% | 68.4% | 70.1% | 64.2% |
| AST% | 70.9% | 71.9% | 69.3% |
| Opp AST% | 69.3% | 69.7% | 69.0% |
| TOV% | 13.3% | 13.3% | 13.8% |
| Opp TOV% | 13.3% | 13.8% | 13.1% |
| FTR | 0.27 | 0.27 | 0.23 |




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