これまで4シーズン連続でファイナルまで勝ち上がっている琉球。2023-23シーズンぶりの優勝を目指し、今シーズンもChampion Ship(以下、CS)に臨みます。
今回も勝敗データやスタッツ系などを見て、「CS優勝へのロード」を結論付けていこうと思います。
なお、CS出場を確定させた以降の試合データも分析していくと参考になりにくいため、基本的には「CS確定まで(4/22@川崎)のデータ」を参照していきます。シーズン全体のデータは必要に応じて参照していきます。
勝敗状況
| 勝 | 負 | |
| CS確定段階 | 39 | 17 |
| HOME | 17 | 11 |
| AWAY | 22 | 6 |
W杯2023の会場にもなった沖縄アリーナを本拠地とする琉球。沖縄自体もバスケ熱の強い地域ではありますが、HOMEでの勝率は60.7%とやや悲しい結果に。
地区別戦績
| 勝 | 負 | |
| 東地区 | 20 | 6 |
| 西地区 | 19 | 11 |
勝利数は東西にほとんど差がありませんが、勝率で見ると西地区チームとの戦いでは後れを取る形に。直近2年、ワイルドカード枠に滑り込むような形で出場している要因でもありそうです。
CS出場チームとの戦績
| 勝 | 負 | |
| 長崎ヴェルカ | 1 | 1 |
| シーホース三河 | 1 | 3 |
| 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ | 0 | 2 |
| 宇都宮ブレックス | 1 | 1 |
| 千葉ジェッツ | 2 | 0 |
| 群馬クレインサンダーズ | 1 | 1 |
| アルバルク東京 | 2 | 0 |
| Total | 8 | 8 |
CS出場チーム全体で見ると8勝8敗で勝率5分。ただ、得意とするチームと苦手としているチームが割とくっきり分かれている感じです。
琉球の強みとは
説明不要のOREB力
直近5年間、連続でリーグTOP3のOREB力を見せつけている琉球。今シーズンも名古屋DDに1位の座を譲ったものの、堂々のリーグ2位の数字を叩き出しています。この強さは勝敗関わらず発揮されているもので、実数値においては常に15本弱のOREBを確保しています。
このOREBからもたらされる2nd Chance PTsもやはり強力で、平均:16.23得点はCS出場チームではトップの水準。レギュラーシーズン全日程が終えた段階ではリーグで唯一2nd Chance PTsで1,000得点を超え、リーグNo.1の2nd Chanceチームと言えます。
特に重要なのは、敗戦時であっても2nd Chance PTsが15.18得点もあり、敗色濃厚であっても、この部分で踏ん張ることが出来るのは、接戦となりやすいCSでは重要なファクターと言えるでしょう。
そんな琉球のOREBを支えるのはジャック・クーリー選手。CS確定までのOREB数は241本(平均4.3本)で、DREB:282本(平均5.0本)と、REB全体の46.1%がOREBという驚異的な数字を誇っています。
本来、DREBよりもOREBの方が少なくなるのが一般的ですが、クーリー選手はOREBの方が多くなった試合は18試合。時にはOREBだけで10本以上獲得している試合(12/21@富山戦、4/12茨城戦)もあります。
リザーブの得点力が高い
HCの桶谷氏は日本代表のHCも務めていますが、以前のインタビューで自身のHCとしての考え方をコメントしていました。
うろ覚えで出典がないのが大変申し訳ないですが、「前半に出来るだけたくさんの選手を出場させて、勝負所で当たっている選手を長くコートに立たせる」という方針です。
そういうベンチワークの影響もあってか、チームの平均Bench PTs:31.86得点はCS出場チーム中トップの数字。観測上、他チームは24~28得点の範囲を推移している印象があるため、この数字が如何に特異的か分かるでしょう。
およそ4割弱の得点をベンチから挙げており、敗戦時に少し比率は低下するものの、それでも36.7%がベンチからの得点となっています。
この強みは単なる得点力に留まらず、相手チームのアジャストを弱体化させる可能性を秘めている、相手からしたら実に厄介なチームスタイルです。
ローテーション選手(プレータイム15分以上)のベンチ出場時の得点とプレースタイル(注:筆者のイメージです)をピックアップしてみましょう。
| 得点 | プレースタイル | |
| 佐土原 遼 (48/54) | 6.5 | フィニッシャー |
| 岸本 隆一 (18/54) | 14.2 | プライマリーハンドラー |
| 松脇 圭志 (19/54) | 3.2 | スポットアップシューター |
| 脇 真大 (27/44) | 4.4 | ピュアハンドラー |
| デイミアン・ドットソン (10/37) | 13.8 | スコアリングハンドラー |
| ジャック・クーリー (15/56) | 14.6 | ビッグマン |
| アレックス・カーク (16/56) | 13.8 | ビッグマン |
※ヴィック・ロー選手はベンチ出場時得点なし。
あくまでOFスタイルに着目して分類しましたが、ここにDFの要素を加えた時に、小野寺祥太選手や崎濱秀斗選手、荒川颯選手らも加わってきます。ビッグマンの2人以外は微妙にスタイルが異なるため、相手チームとしては琉球の「アジャストのアジャスト」にアジャストしないといけず、かなり頭を抱えそうです。
2P主体のフィジカルOF
琉球というチームのシグネチャーと言うと岸本隆一選手の「ココナッツ3P」が印象に残りますが、データを紐解くと、得点構成は基本的には2Pが主体となっています。
ペイントエリア内での得点は平均36.36得点。全体の得点の内、44.6%を占めています。また、%PTFT:17%台と併せると約62%となります。もちろん、FTはペイントアタックのみに限りませんが、それでもフィジカルなOFを展開することが得意ということの根拠となり得ます。
この得点構成は、先に挙げた2nd Chance PTsの多さにも繋がる部分があり、ハンドラーによるペイントアタックによるフィニッシュよりも、ビッグマンによる押し込みが多いという背景もあります。
CS優勝を目指す上での課題
これまでは琉球の強みとなる点を3つ挙げていきましたが、逆にどのような課題がチームとして残っているのか、勝利時と敗戦時の比較をしていきます。
敗戦時はOFがチグハグな乱発系
ビハインド試合となると、自チームの強みである2POFを捨てて、確率の悪い3Pシュートを選択する傾向にあります。%FGAの2Pと3Pの割合が勝敗時で3.8%変化しています。
3Pを打ってシュートが決まっているなら構わないのですが、Attemptが増える半面、成功本数は減っているのがまた致命的(勝利時:8.8/26.1→敗戦時:7.6/28.6)。
このOFの偏りがチームのアイデンティティを崩壊させるほどの修正力の弱さで、本来の武器であるペイントエリア内での得点も、敗戦時には勝利時よりも約7点少ない31.53得点まで下がってしまいます。
他にもOFがチグハグしてしまう根拠となるデータがあり、それはAST%。勝利時の時点でも64.8%とそこまで高くありません。2nd Chanceによる押し込み得点の比率が高いことも影響しているのでしょう。そのただでさえ高くないAST%が、敗戦時には58.7%まで落ち込みます。
AST%は「チームのFGの何%がASTによって生み出されているか」という指標なので、本来の型を保っていれば、そこまで変動するはずのない指標ではあります。
そのAST%がここまで低下しているということは、ボールムーブで少しでもいい形でシュートを打とうとしているのではなく、個人技で何とか打開しようとしているものの、それが敵わないということ。
唯一信頼感のある選手と言えばエースのヴィック・ロー選手ですが、中盤以降、同選手のアイソレーションシチュエーションが増えてくるようだと、琉球としては厳しい試合を戦っていると言えるのかもしれません。
3PシュートへのDF力
名古屋DDほどではありませんが、琉球も3PシュートへのDFには苦しんできています。
平均したOpp 3PFGは9.3/28.6(32.4%)とEPS:1.00は超えないものの、比較的高い確率で3Pシュートを決められており、勝利時においても30%以上の被弾率を示しています。
これが敗戦時になると36.6%まで跳ね上がるのですが、興味深いのが、負けている時のOpp 3PFGAの方が少ないこと。全体のOpp FGAも勝利時に比較して2本程度少なくなっています。
「たくさんシュートを打たれて負けている」のではなく、「質の良いシュートを与えて負けている」というように言い換えることも出来、単なる攻撃力の差で負けているわけではないというのが、琉球にとって苦しいところ。
特にストレッチビッグを擁する三河や群馬、宇都宮などのチームと相対すと後手に回りやすく、琉球側が有しているビッグマンはあまりその辺のDFが得意なタイプではないのは明白。その分、ウイング陣のDFローテーションを如何に素早く敢行できるかがカギになりそうです。
TOVを誘発させる力が弱い
琉球のDFの特徴として、相手に多くのTOVを誘発させるよりも、どれだけ相手のシュートを落とさせて、優位に立てるREB合戦に持ち込めるか、というデータになっています。
| 勝利時 | 敗戦時 | |
| Opp FG | 25.9/64.3 (40.3%) | 28.8/62.1 (46.4%) |
| Opp TOV | 12.08 | 10.88 |
| Opp TOV% | 14.6% | 13.4% |
| DREB% | 69.7% | 68.2% |
勝敗時の比較ではTOVの本数の違いはありますが、全体的にそこまで多いかというとそうでもありません。その影響もあって、Fast Break PTsが著しく少なく、平均で9.50得点、敗戦時には6.94得点まで落ちます。
反面、勝利時のPTs off TOV:15.38得点は素晴らしいもので、TOVから得点に結びつける能力自体は実は高いのも特徴です。P.O.Tは自チームに流れを引き寄せるために重要なファクターとなるため、そのきっかけを増やすTOVを誘発させる力が弱いのはCSという舞台でどう響いてくるでしょうか?
CS優勝のためのキーポイント
琉球がCSで優勝するためのキーポイントは、ズバリ「ベンチワークの質」と考えます。
途中で述べたように、琉球は前半にロスター全体を使って試合を作り、前半調子が良かった選手を中心に、後半のローテーションを考えるチームスタイルを持っています。
となると、選手個人のパフォーマンスももちろん重要ですが、HC含めたベンチワークの正否がそのまま勝敗に直結するといっても過言ではありません。選手個々の能力は1人ずつ見ていくとリーグでも有数の層の厚さがありますから、それらのピースをどう組み合わせていくのか、コーチ陣の手腕が問われます。
スタッツ情報
CS確定までの平均・勝利時・敗戦時のデータも併せて提示していきます。
基本スタッツ
| 平均 | 勝利時 | 敗戦時 | |
| PTs | 81.59 | 85.28 | 73.12 |
| FG | 29.5/66.5 44.4% | 30.8/66.5 46.4% | 26.5/66.5 39.8% |
| 2P | 21.0/39.7 52.9% | 22.0/40.4 54.5% | 18.9/37.9 49.8% |
| 3P | 8.5/26.8 31.5% | 8.8/26.1 33.9% | 7.6/28.6 26.5% |
| FT | 14.1/18.5 76.3% | 14.7/19.5 75.8% | 12.6/16.2 77.8% |
| REB | 41.27 | 42.64 | 38.12 |
| OREB | 14.89 | 14.97 | 14.71 |
| DREB | 26.38 | 27.67 | 23.41 |
| AST | 18.63 | 19.97 | 15.53 |
| TOV | 11.00 | 10.72 | 11.65 |
| STL | 6.48 | 6.92 | 5.47 |
| BLK | 2.79 | 3.13 | 2.00 |
| FOUL | 18.79 | 18.28 | 19.94 |
| FOUL-Draw | 20.45 | 20.64 | 20.00 |
基本Oppスタッツ
| 平均 | 勝利時 | 敗戦時 | |
| Opp PTs | 74.64 | 71.62 | 81.59 |
| Opp FG | 26.8/63.6 42.2% | 25.9/64.3 40.3% | 28.8/62.1 46.4% |
| Opp 2P | 17.5/35.0 50.0% | 17.0/35.1 48.4% | 18.8/34.8 54.1% |
| Opp 3P | 9.3/28.6 32.4% | 8.9/29.2 30.7% | 10.0/27.3 36.6% |
| Opp FT | 11.8/15.9 73.8 | 10.8/14.9 72.5% | 13.9/18.3 76.2% |
| Opp REB | 34.77 | 34.05 | 36.41 |
| Opp OREB | 11.71 | 12.05 | 10.94 |
| Opp DREB | 23.05 | 22.00 | 25.47 |
| Opp AST | 18.86 | 18.23 | 20.29 |
| Opp TOV | 11.71 | 12.08 | 10.88 |
| Opp STL | 5.45 | 5.18 | 6.06 |
| Opp BLK | 2.36 | 2.31 | 2.47 |
詳細スタッツ
| 平均 | 勝利時 | 敗戦時 | |
| %FGM2P | 71.3% | 71.3% | 71.3% |
| %FGM3P | 28.7% | 28.7% | 28.7% |
| %FGA2P | 59.6% | 60.8% | 57.0% |
| %FGA3P | 40.4% | 39.2% | 43.0% |
| %PT2P | 51.6% | 51.6% | 51.6% |
| %PT3P | 31.1% | 31.1% | 31.1% |
| %PTFT | 17.3% | 17.3% | 17.2% |
| PTs off TOV | 14.48 | 15.38 | 12.41 |
| Fast Break PTs | 9.50 | 10.62 | 6.94 |
| 2nd Chance PTs | 16.23 | 16.69 | 15.18 |
| PTs in the Paint | 36.36 | 38.46 | 31.53 |
| Bench PTs | 31.86 | 34.05 | 26.82 |
詳細Oppスタッツ
| 平均 | 勝利時 | 敗戦時 | |
| Opp %FGM2P | 65.4% | 65.5% | 65.3% |
| Opp %FGM3P | 34.6% | 34.5% | 34.7% |
| Opp %FGA2P | 55.0% | 54.6% | 56.0% |
| Opp %FGA3P | 45.0% | 45.4% | 44.0% |
| Opp %PT2P | 47.0% | 47.4% | 46.1% |
| Opp %PT3P | 37.2% | 37.5% | 36.8% |
| Opp %PTFT | 15.8% | 15.1% | 17.1% |
| Opp PTs off TOV | 12.64 | 11.85 | 14.47 |
| Opp Fast Break PTs | 10.36 | 9.51 | 12.29 |
| Opp 2nd Chance PTs | 11.21 | 11.41 | 10.71 |
| Opp PTs in the Paint | 29.97 | 28.87 | 32.35 |
| Opp Bench PTs | 23.55 | 24.23 | 22.00 |
アドバンスドスタッツ
| 平均 | 勝利時 | 敗戦時 | |
| POSS | 70.70 | 70.77 | 70.53 |
| Opp POSS | 70.61 | 70.85 | 70.05 |
| OF Rate | 115.41 | 120.51 | 103.67 |
| DF Rate | 105.72 | 101.08 | 116.47 |
| Net Rating | 9.69 | 19.43 | -12.80 |
| Pace | 70.50 | 70.59 | 70.29 |
| TS% | 54.7% | 56.8% | 49.7% |
| eFG% | 50.8% | 53.1% | 45.5% |
| P.O.T.E | 1.24 | 1.27 | 1.14 |
| Opp P.O.T.E | 1.15 | 1.11 | 1.24 |
| 2nd C.E | 1.09 | 1.11 | 1.03 |
| Opp 2nd C.E | 0.96 | 0.95 | 0.98 |
| REB% | 54.3% | 55.6% | 51.1% |
| OREB% | 39.2% | 40.5% | 36.6% |
| DREB% | 69.2% | 69.7% | 68.2% |
| AST% | 63.1% | 64.8% | 58.7% |
| Opp AST% | 70.4% | 70.3% | 70.4% |
| TOV% | 12.9% | 12.5% | 13.7% |
| Opp TOV% | 14.2% | 14.6% | 13.4% |
| FTR | 0.28 | 0.29 | 0.24 |




コメント